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第1話

新作です

こちらもよろしくお願いします

 私、薄霧桃香(うすぎりももか)は自称ではあるが良い女である。容姿も良いし頭も良い、運動神経もそれなりにあって性格も良い。なのになんで……


「なんで誰も私に告白してこないの!」


「んー?またその話?」


 夏休み前の教室。私は幼馴染の栗園芽衣(くりえめい)に悩みをぶち撒ける。芽衣は手元の編み物をする手を止めずに面倒そうにして答えてくれた。


「長所が全て自認な上に存在感が無いからじゃない?」


「酷くない!?」


 答えがグサッ!と心に刺さる。あ、相変わらず容赦の無い一言……まぁ、ここまでいつものテンプレだね。私の悩みはちゃんとしたものだけど、


「どうすれば良いのかなぁ……私がモテるには」


「目立てば良いんじゃない?朝、教室の前で奇抜なダンスをすれば目立てるよ」


「私がインキャなの分かってるでしょ?無理だよ……」


 痛い子認定されたくない。それとここまでの言葉のナイフでダメージが……メンタルは強くないんだよシクシク。私が泣き真似していると芽衣は深い溜め息を吐いた。その反応が1番辛い!


「あ、そうだ桃香。夏休み暇?まぁ、聞かなくても暇だよね?」


「暇ですけど何か?てか聞き方……」


 心を抉るような聞き方しないでと思いながら芽衣の話に耳を傾ける。芽衣が夏休みの予定を聞いてきた理由……それはゲームのお誘いだった。


「【マルチバース・マイセルフ】?それって確か今度発売のVRMMOだよね?」


「そう。私それのβテストやっててね。招待券が1枚あるんだよ……それあげる」


 あげるって……あのゲームかなり人気で通常販売が高倍率の抽選になってたはず。そんなゲームを私に?


「理由は?幼馴染だからってわけじゃないでしょ?」


「理由は単純に労働力。私、生産職で遊びたいんだけど……素材集めが面倒だから桃華にやらせたくて」


「あー、そういうことね」


 芽衣は物作りが好きだからね。そのための素材を私に集めさせたいわけか……それは良いけど。


「私、戦闘もののVRMMOなんてやったこと無いから活躍できるか分からないよ?」


「別に平気。その場合は別の手段がある」


 なら良いんだけど。とりあえず夏休みの予定は空けておこう……そもそも予定なんて全然無いけど。今年の夏休みは暇が少なくて済みそうだね。


「てか1つ聞きたいんだけど……なんでこのクソ暑い日に毛糸のマフラー編んでるの?」


「え?特に理由無いけど?」


 理由無しが1番怖い。私は目の前で編まれ続けるマフラーを見ながらそう思った。



 真夏のマフラー事件からしばらく経って夏休みになった。あのマフラーは結局どうなったか分からない……この時期にプレゼントされた人は芽衣に恨まれてる可能性があるね。


「えーと、とりあえずキャラクリをしたら合流だったね……待たせると悪いから手早くやろう」


 私はささっとヘルメットみたいな形のゲーム機を頭に付けた。ゲーム機自体は持ってたんだよね……1人用のゲームで遊んでたから。


「ゲームスタート」


 私はベッドに横になってゲームを開始した。意識がふんわりと浮かんでいく感覚を感じ、一瞬暗転したかと思うと鏡が何枚も浮かんでいる不思議な空間に立っていた。


『ようこそ。【マルチバース・マイセルフ】へ』


 私が周囲を見回していると男女が混ざったような声が聞こえ、目の前にボーリング球程の光の玉が出現する。確か芽衣がキャラクリをサポートしてくれるAIが居るって言ってたけどこれかな?


『まずはあなたの名前を決めてください』


 光の玉がそう伝えてくると光でできたウィンドウが出現した。キーボードみたいな操作パネルがあるから打ち込めば良いみたいだね。


「名前……モモカで良いや」


 ヘンテコな名前を付けると面倒だし。私がネーミングセンス抜群だったら凝るんだけどさ。


『次は容姿を選択してください。容姿はパネルで変更、調整が可能です』


 名前の次は容姿。容姿はリアルの容姿を基準に作るのね。これもあんまり変えなくて良いか……髪色と目の色変えるだけにしよ。


「髪をピンクにして……目までピンクだとあれだから目は水色にしよ」


 これで良し。さて次は何かな?


『次は職業です。職業は一度決めたら変えられないので気をつけてください。キーワードを伝えてくれればこちらでピックアップできます』


 容姿を決めたら職業。確かこれは戦闘職を選べば良い。芽衣は基本的な戦闘職なら好きに選んで良いって言ってたからね。


「とはいえ戦闘職だけでも結構多い……」


 近接に魔法。この中から自分に合うのを探すの大変。こういう時は光の玉に頼ろう。私が求める職業……そのキーワードは。


「目立てて戦闘できる職業出して」


『分かりました。目立てる職業ですね……ではこちらをお勧めします』


 光の玉が提示してきたのは誘惑士という職業……これがオススメ?戦闘職っぽくも無いし。とりあえず説明確認しよ。


ーーーーーー

誘惑士

▷適正ステータス

CAM、INT、MP

▷職業スキル

誘惑の香り(メロウアロマ)

モンスターからの敵意を向けられやすくなる

自分のCAMが多いほど効果は上がる

恋の一撃(ラブアタック)

自分の攻撃に魅了を付与

相手のCAMが低いほど効きやすい

ーーーーーー


 ふむふむ……素人発言だけど誘惑士は魅了で相手を苦しめる系の能力みたいだね。魅了がどういうものかは分からないけど。

 ちなみに適正ステータスっていうのはlvを上げた時に伸びやすいステータスのこと。ステータスはHP(生命力)MP(魔力)STR(物理攻撃力)VIT(物理防御力)INT(魔法攻撃力)MID(魔法防御力)AGI(敏捷性)CAM(魅力)の8つ。このステータスに合うようにスキルとかを集めていくんだったかな?


「他のステータスが魔法よりだから……魔法で攻撃すれば良さそうだね」


 この後、3つまで自由にスキルを取得できるらしいしね。ちなみに他の職業を見るつもりはない。一目見て気に入ったからね……要するにこの職業は相手を悩殺できる職業。セクシー要素が追加されるなら取る理由は充分。


「あとのスキルは……気に入ったものを選ぼう」


 早くしないと芽衣が待ちくたびれてそうだからね。私はオススメをまた光の玉に出してもらってスキルを選んだ。選んだのは攻撃用の《水魔法》。攻撃を受けたくないから《回避》。CAMを上げた方が良さげだから《カリスマ》を選んだ。説明文はよく読んでない!後で確認しよ。


『以上でキャラクタークリエイトを終了します。それでは良い第2の人生を』


 全ての工程を終えると私は光に包まれた。そして光が消えると中世っぽい町の通りに立っていた。中世っぽいって言い方なのは建物は石造りなのに大きなガラスのショーウィンドウがあるからだね……どちらかというとイタリアっぽいって方が正しいか。


「お、容姿が変わってる……」


 ガラスに映る私はピンクの髪に青い目をしていた。違和感凄ー……服もなんかファンタジーの旅人っぽい服になってる。


「と、自分の容姿を見ている場合じゃなかった。芽衣のところに行かないと」


 待ち合わせ場所は町の中心にある大きな時計塔……あれか。私は見つけた大きな時計塔を目指して歩き始めた。



1週間程、7時と18時に投稿します

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