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ラビリンス 白と黒の狭間で

洞窟発着場


バッサバッサ……!

ミニョーン


ブラック「ふう。」


洞窟に戻り、人間モードのキュウビと合流する。


キュウビ「あ、帰ってきた。」


グニャァ……


突然、空間が歪む。


キュウビ「え!?」


ブラック「これは?!」


あたりは灰色に変色し、洞窟の出入り口の方から夢魔達がワラワラと湧いてきた。


夢魔「オラー!ドラゴンやろうはどこだー!」


ブラック「夢魔?!一体、誰の夢だ?!」


キュウビ「とりあえず、コイツラをなんとかしないと!」


夢魔「あ!いやがった!やっちまぇ!!」


ブラック「プラズマキャノン!」


キュウビ「フウスイ魔法!岩杭ロックステーク!」


夢魔達「ぎゃぁぁぁ!」


ドゴオォォ……ン!


どこにも逃げ場のない閉所で束になっていた夢魔達を一掃した。


キュウビ「位置がバレた?あの時、洞窟で落ち合おうって言ったからかな?」


ブラック「うん、多分。もうここには住めないな。」


キュウビ「とりあえず、ビャッコに合流しましょう。」


ブラック「あぁ。村のマノンの(元)家かな?」


地形の変わって凸凹になってしまった自分の巣とお別れする。


ブラック『さよなら、俺の家。』





村の景色も相変わらず灰色で辺りには濃い霧が出ていた。

人の夢と少し違うなーと思ったのは空がサイケデリックな模様をしているところだろうか?

二人は不気味に静まり返っている村を駆け抜けた。


タッタッタッ……!


キュウビ「マノンの家はあっちよ!」


ブラック「ビャッコがいればいいけど!」


その時、家の影から村人が足を引きずるように出てきた。


ズルズル


村人「…………」


ブラック『うっ!くっさ!』


キュウビ「なにこれ!」


腐った肉の匂いを漂わせる村人(?)。

その顔は潰れて体の所々がふやけたように膨らんでいる。

そして、その足には夢魔がかじりついていた。


その時、異形に変わった村人の奥で見知った術が放たれた。


ドォーン!


大太刀から放たれたであろう光刃が当たった村人や夢魔たちをバラバラにまき散らした。俺はソイツの名前を大声で呼んだ。


ブラック「ビャッコ!」


ビャッコ「探したぞ!ブラック!」


俺達は襲ってくる村人や夢魔を避けながら合流し、マノンの(元)家に入った。


キュウビ「なんなの?アイツラ。つか、ここは現実?」


ビャッコ「夢魔達の大宴会。現し世に幽世かくりよを重ねる大魔法だ。俺も実際に観るのは初めてだ。」


ブラック「あれは人か?」


ビャッコ「あの姿になったらもう戻らない。夢魔達の餌になるしかない。それこそ、骨の髄までしゃぶられるのさ。痛覚がないのがせめてもの救いだ。」


キュウビ「えっぐ!」


ブラック「ここから出るにはどうすりゃいい?」


ビャッコ「魔法を使った奴を倒すしかない。」


キュウビ「こんなの使えるのって夢魔達の親玉しかいないじゃない!」


その時、天井が大きな手に勢いよくはがされた。


メキメキメキ……!


村長巨人「にえ!贄!」


大きな目を高速でギョロギョロさせている村長はマノンの夢に出てきた時のように巨人化している。


キュウビ「なんなの!?」


ブラック「プラズマキャノン!」


ゴパァッ!


醜く変形していた村長の巨大な顔が溶けて弾ける。


ドドォ……


外で顔をなくした巨人が地面に倒れ、それに夢魔たちが群がってかじりついている。


ブラック「先手必勝、だ。」


ビャッコ「行こう。領主の屋敷は街を抜けた先だ。」


キュウビ「私が案内する!」





街は異形になった人々に群がる夢魔でいっぱいだった。


キュウビ「ここも全滅?!」


ビャッコ「村からここに来るまでに宴会魔法の境界が遠くに見えた。ここらが術の中心なんじゃないか?」


???「そうだ!悪神共め!」


声のする上空には翼の生えた執事風の獣が居た。


キュウビ「あの服、領主の隣にいたトゥアレッチンとか言う奴の服だ!」


ブラック「プラズマキャノン!」


カァォン!


ヒラリ


悪魔はプラズマをかわして高らかに笑っている。


トゥアレッチン「けけけけ!あたるか!ドラゴン!」


そのまま、悪魔は街の中心に向かって飛んでいった。


ブラック「あ、待て!」


ワラワラ……


今の騒ぎに夢魔や異形の人々が群がってくる。


キュウビ「フウスイ魔法! 岩礫ロックブラスト!」


ドドゴコォ……


キュウビの周りの石畳の石が宙に浮く。


ズドドドドド……!


それらが夢魔の群れに降り注ぐ。高速の石が当たり骨が砕ける音がする。

しかし、夢魔達は次から次へと街の建物の間から湧いてくる。


ブラック「きりがないぞ!」


ビャッコ「奴を追うぞ!」


町の中央広間に向かう途中、骸骨騎兵や羽の生えた芋虫が襲いかかってきたが三柱のいる神様に叶うわけもなく。


ブラック「ファイアブレス!」


キュウビ「フウスイ魔法!岩礫ロックブラスト!」


ビャッコ「五行剣!金!斬鉄剣!」


ドカーン!


俺達は魔力をセーブしながら襲い来る敵を一掃して進んだ。




中央広間


俺達がその場につくと断頭台の所に悪魔が座って待っていた。


ドスン!


背後の来た道が大岩で封鎖される。後戻りはできそうにない。


トゥアレッチン「俺達は長い間ずっとこうやって生きてきた。邪魔をするな!苔むした神どもめ!」


ブラック「なにを!」


キュウビ「知ったからには見過ごせないね!」


ビャッコ「お前らの悪事はここまでだ!」


トゥアレッチン「フハハハハ!悪事?人間より上位種である我々が食事をしてるだけだ!屍人しびとになった人間の栄養価は高いぞ?お前らも食べればいい、セイがつくぞ?」


ブラック「俺達は人間の神だ!」


ビャッコ「人世ひとよにお前らの居場所はない!」


キュウビ「観念しな!岩礫ロックブラスト!」


ズドドド!


悪魔はキュウビの面での攻撃を空中に退避した。


トゥアレッチン「食らうか!いいだろう!この星での生存権をかけた、蠱毒こどくと行こう!」


グォン!


上空に浮かぶ悪魔の周囲の空間が揺らぐ。


ビャッコ「!辺津鏡インベントリ!?」


キュウビ「みんな避けて!」


ドシュシュ!


空間から黒い杭が無数に降り注ぐ。


ブラック「っ!」


間一髪それを避けるとみんな散開して俺は悪魔の左側面についた。


ブラック「ファイアブレス!」


ゴァ!


悪魔の広範囲を炎が包む!


トゥアレッチン「無駄、無駄!ここまで届くか!」


悪魔は炎を避け上空へと舞い上がる。


キュウビ「臨兵闘者皆陣烈在前!フウスイ魔法!くらえ!全方位!木杭デンドロンステーク!」


広場に面しているすべての家の骨組みの木から杭が無数に悪魔に降り注ぐ。


トゥアレッチン「辺津鏡へつかがみ!」


グォ!


悪魔は空間を渡ってそれを回避した。


ビャッコ「麒麟刃!」


トゥアレッチン「むだだ!」


グォン!


大太刀から放たれた光刃は空間に吸い込まれた。


ビャッコ「強い!」


トゥアレッチン「今度はこっちの番だぞ!クソ神ども!」


ドシュシュ……!


悪魔を中心に全方位に向かって黒い杭が放たれる。


キュウビ「フウスイ魔法!土塀ソイルウォール!!」


俺たちの前にそれぞれに石畳を突き破って分厚い土の壁が建ち上がる。


ズドドド!


ブラック「あぶな!」


ビャッコ「どうすりゃいい!?」


キュウビ「ブラック!もう一度ファイアブレスだよ!」


わかったけど。効かないのでは?


ブラック「ファイアブレス!」


ゴァ!


もう一度、悪魔の広範囲を炎が包む!


それをまたもや悪魔は上空へと退避するのだ。しかし、


パシッ


その時、悪魔の足に木のつるが巻き付いた。

断頭台の木材からツルが伸びている。キュウビのフウスイ魔法だ。

ファイアブレスはそれを気取らせないためのフェイント。不意を突かれた悪魔は驚いている。


ブラック『ナイス!』


キュウビが右手の親指を立ててウィンクしている。ドキッとしている場合ではないのだろうが……


トゥアレッチン「は?なんだと!?」


ブラック「くらえ!プラズマキャノン!」


カァオン!


トゥアレッチン「くっ!」


咄嗟に悪魔は辺津鏡(インベントリでプラズマを飲み込むも全ては防ぎきれずに体の所々が炭化する。


トゥアレッチン「うぐぐ、かびくさい、ドラゴンのくせに……!」


悪魔がこちらを向く。反対側にいるビャッコが大太刀を上段に構えている。


ビャッコ「もらった!」


ドバッ!


麒麟刃きりんじんの光刃が悪魔を両断する!


トゥアレッチン「おろ!?」


2つに裂かれた悪魔が地面に落ちる。再生しないようにファイアブレスでこんがり焼く。


キュウビ「やった!」


ブラック「終わったか?!」


しかし、サイケデリックな灰色の世界はそのままだった。


ブラック「辺津鏡へつかがみって確か、魔女の戦略魔法だよな?」


キュウビ「長い年月で混ざったのかもね?」


太古の神代から数百億年。その可能性は十分ある。


ビャッコ「アルトのいた時代にゴブリンから夢魔が現れて、その時に全滅させたかと思ったんだが……?」


ブラック「コソコソ潜んで数を増やしてたのか。」


キュウビ「もう、それもここまでだよ。」


ブラック「行こう!領主の屋敷へ!」


キュウビ「こっち!案内するよ!」




領主の屋敷


街から北東へ石畳で舗装された道を進む。サイケデリックな霧がかった空に不気味にそびえ立つ建物が見えてきた。


ブラック「なんだありゃ?」


ビャッコ「領主の屋敷ってレベルじゃないな、あの規模感、まるで王宮だ。」


キュウビ「そんな、私が来たときは普通の屋敷だったよ?」


ビャッコ「おい!あれ!」


建物の側に血を流して倒れている狛狐を見つけて駆け寄る。俺の回復魔法で傷を癒す。


狛狐「どじりました。めんぼくねぇ。」


キュウビ「しっかりおしよ!」


狛狐「奴は……水。」


ガクッ


ビャッコ「気を失ってるだけだ。ここで休ませておこう。」


キュウビ「うん。隠蔽いんぺいの結界を張っとく。」


ブラック「いよいよ、領主様と対面だな!」


俺達は屋敷ラビリンスに突入した。




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