ブラックドラゴンと夢魔の王
ロビー
ブラック「ファイアブレス!」
ゴァァ!
夢魔の群れ「ぎにやぁぁぁ!」
ビャッコ「今ので最後か?」
玄関ロビーにはたくさんの夢魔の死体が散乱していた。
あるものは木の杭でハリネズミ状態。
あるものは四肢がバラバラ。
あるものは黒焦げ。
キュウビ「いきなりご挨拶ね。」
ビャッコ「ヤクザの事務所をカチコム時もこんなもんだ。」
ブラック「ビャッコって普段何やってたの?」
暇つぶしと応えたビャッコは先を急いだ。それを見て俺も後に続いたが、
パシッ
キュウビに手を取られた。
ブラック「何?」
キュウビ「こんな時になんだけどさ……」
ブラック「うん?」
俺はキュウビに向き直った。
キュウビ「き、キスして!」
ブラック「え?!」
ビャッコ ブフー!
それを聞いたビャッコも吹き出す。
顔を真っ赤にしたキュウビがまくし立てるように、その意義を唱え始めた。
キュウビ『し、失礼な!』「昔、どっかの国でキラキラモードとかツヤツヤモードになった女性は潜在能力が飛躍的にUPするって聞いたから。私はどうなんだろ?って。」
ブラック「お、俺でいいの?」
キュウビ「うん。た、試すだけだから!」
ビャッコ「……早く済ませろよなー。」
(ボア!)
体の内側から一気に熱くなる。しかし、
ちゅっ
か、軽くでいいのだろー
キュウビ『足りない。』
かっ?
ガバ!
むちゅむちゅ
アムアム……
キュウビ(キラキラ)「これでよし!」
ブラック「なんか、」『色々凄かった……』
ビャッコ『……俺もたまには家に帰ろうかな?でもなー。奥さん怖いんだよなー。』
無事にキュウビのキラキラモードが発動し、次に進もうかと思ってた矢先に、
吹き抜け2階の扉から色違いの夢魔と悪魔(トゥアレッチン?)の色違いが出てきた。
ソイツらはゆっくり階段を降りてきた。
色違い夢魔「人んちで勝手にいちゃつきやかって!」
色違い悪魔「覚悟しやがれ!」
それを見たビャッコがすぐさま大太刀を振るった!
ビャッコ「五行剣!火!火炎斬り!」
ドボワッ!
色違い夢魔「五行結界!水!」
ジュ!
ビャッコ「何?!」
ブラック「結界だって?!」
色違い悪魔「けけけけ!ザマァ!」
ビャッコの一撃を結界で防いで色違いどもは天狗になっている。今までの奴らとは一線を画す存在のようだった。
しかし、
キュウビ(キラキラ)「ソイルウォール!」
ドゴォ
色違い夢魔「うわあ!」
勢いよく伸びた土塀は色違い夢魔の背中に当たり天井に激突した。分厚い先端に夢魔を乗せたまま。
ドォーン!
ボキボキ!
ブビー!
色違い夢魔「うぼっ!」
天井まで伸びた土塀に夢魔の血といろんな穴から飛び出た内臓が滴っている。ピクピクとまだ四肢が動いている夢魔は土塀と天井に挟まれて絶命している。
色違い悪魔「げえ?!」
ブラック「あれって、防御用じゃないの?!」
キュウビ(キラキラ)「次はお前だ!神砂嵐!」
ズッドオ!
色違い悪魔「ぎゃぁ!ご、五行……!」
空中に逃げようとしていた悪魔は突風にあおられ、砂で羽がズタズタになる。
咄嗟に結界で防御しようとしたのだろうが神砂嵐の部分的な真空状態がそれを許さなかった。
ボロボロで虫の息の悪魔がつま先立ちをして2歩ほど前にでた。
色違い悪魔「う、ウソだ……」
ドサッ
ビャッコ『女は怖い。』
キュウビ(キラキラ)「今のうちに上にあがりましょう。」
夢の中のように肥大化した屋敷の中、迷路のように入り組んだ道、
そのまま領主の反応をたどって真っすぐ進むのかと思ったら、
先頭を行くキュウビは何かを思い出したかのように横道に入った。
ブラック「あれ?」
ビャッコ「領主の所に向かわないのか?」
一番強い魔力反応がある場所は屋敷の上からなんだが?
キュウビ(キラキラ)「ラストダンジョンの醍醐味と言えば、宝探しよ!」
えぇ……
ビャッコ『女はこれだからなぁ。』「ブラック、素直に荷物係をやるぞ。」
ブラック「そ、そうしよう。」
訪れた部屋はどこもめぼしいものはなかった。
唯一、魔封のペンダントを見つけた。
ここまでの道中、たくさんの敵を倒し、たくさんのトラップを無力化してきたが、戦利品と呼べるものはそれくらいだった。
ビャッコ ハァハァ
ブラック『マップ的に、ここで最後かな?』
キュウビ(キラキラ)「私もこれ欲しかったの!いただきよ!」
マノンに上げたものより大きく濃いピンクの天然石だ。あれ以上の魔封効果を期待したい。
玉座の間
領主(?)「ようやく来たか。」
ブラック「小細工は無駄だ!」
ビャッコ「お前はジンガー本人じゃないな?!」
キュウビ(キラキラ)「神の目を騙そうったってそうはいかないよ!」
領主(?)「う、そうだった!こうなったら!エレメンタル!」
広い玉座の間の柱の陰から転移してきたエレメンタルが2体顔を出す。
ボン!
そして、領主に化けていた色違い悪魔が正体を現した。
悪魔「やっちまえ!」
赤いエレメンタル「!」
ボア!
赤いエレメンタルから激しい炎が放たれる。
ブラック「ファイアブレス!」
キュウビ(キラキラ)「土塀!」
それを俺とキュウビが防いでいる隙にビャッコが左側から悪魔達の側面に回り込む。
ビャッコ「五行剣!水!水龍斬!」
赤いエレメンタルに水龍が放たれるも青いエレメンタルがかばう。
ドプン!
青いエレメンタル「………………」
悪魔「くらえ!泥散弾!」
ビャッコ「五行結界!金!」
赤いエレメンタル「!」
泥の散弾を防いだ金の結界も、激しい炎で溶かされてしまった。
間一髪、ビャッコは柱の陰に隠れた。
キュウビ(キラキラ)「岩礫!」
ズドドド!
悪魔「危ねえ!ソイルウォール!」
青いエレメンタルめがけて放たれた岩の礫も悪魔の呪文で防がれてしまう。
ブラック「無属性だ!ビャッコ!」
ビャッコ「おう!」
ブラック「プラズマキャノン!」
カァォン!
青いエレメンタル「!?」
防御に回った青いエレメンタルの体をプラズマ化した炎が蒸発させる。
ばっじゅぅぅ!
青いエレメンタルは激しく沸騰し体を保ってられない。
ボコボコ……!
グツグツ……!
悪魔「や、やべぇ!」
その隙をビャッコが付く。光輝く大太刀を上段に構える!
ビャッコ「必殺!麒麟刃!」
ドバッ!
赤いエレメンタル「!?」
ズゥッパ!
光刃に両断された赤いエレメンタルが光を失い床に転がる。
キュウビ(キラキラ)「ソイルウォール!」
ズドォ!
ズドォ!
悪魔「うげ?!」
悪魔の左右からせり上がった土塀が押しつぶそうと迫る。悪魔は両手で必死に迫りくる壁を押さえている。
悪魔「こんな!こんなぁ!」
キュウビ(キラキラ)「もう一丁!ソイルウォール!」
ズドドォ!
天井から悪魔めがけて土の円柱が勢いよく伸びる。
悪魔「うぐぐ!お!俺達がなっ!」
ぷぢゅっ!
でろでろ……
キュウビ(キラキラ)「よし!」
ブラック&ビャッコ『ひぇえ……』
王の部屋
玉座の間を奥へと進み、領主の反応を頼りにほぼ一本道の通路を部屋へと向かう。
ジンガー「遅かったな、たった今、王を呼び寄せた所だ。」
部屋の奥の祭壇にいたジンガーが振り向く。その手前には、
ビャッコ「ガルム!」
ブラック「マノン?!どうして!!」
キュウビ「つけられた?!」
魔法陣の中央に寝かされたマノン親子と傷だらけで虫の息のリカント。
彼女らが異世界へ吸い込まれると同時に地響きが鳴り、魔法陣の描かれた床から、目のないブヨブヨとしたドラゴンが出てきた。
ジンガー「ようこそ!夢魔の王よ!」
夢魔の王「俺は人間なんて食わないんだが……?」
クンクン
夢魔の王「ファフニール?奴がなぜここに?」
ジンガー「ソイツとは違う個体じゃないですか?」
俺達三人は自分たちだけの心の会話を始めた。
ブラック『奴は精神攻撃系のドラゴンだ、すぐ傍受されるだろうから手短に。
キュウビ達は部屋から出てマノン達を救出しろ。』
ビャッコ『分かった。』
キュウビ『ブラックはどうするのさ?』
ブラック「ファイアブレス!」『こうするのさ!行け!』
広範囲の激しい炎が夢魔の王達の視覚、聴覚を遮る。
ビャッコ「死ぬなよ!」
キュウビ「っ。いいかっこして!」
バタン
後ろで扉の閉まる音がした。夢魔の王達は何事もなかったようにその場にたたずんでいる。
夢魔の王「丁度いい、お前も魔王に下れ。命の保証はされるぞ?」
ブラック「やなこった!誰があんなヤツ。」
夢魔の王「奴と同じ事を言う。なら、同じ目に遭ってもらおう。」
キーン
ブラック「ぐあ!?プラズマキャ……」
耳鳴りがなって意識が遠のく。




