どーも、商談です
前回のあらすじ
主人公一行 サツキ公国に到着
どーも、やっとサツキ公国に到着したオッサンです。
街を見渡しながら歩く。殆どの家が石で出来ている。傘を差さない人が多い、というか傘自体ないのかも。レインコートを着ている人がそこら中にを歩いていて、俺たちが歩いていても不自然ではない。門をくぐる際に新しいローブを羽織り直して良かった。
「ネイレスさん、なんで王族専用の門なんかがあるの?他の門に近いじゃん」
「先代が時間に厳しい人だったので、無駄な時間を省くために作られてのです」
「へぇー。敢えて城下町を通るってことは、王宮まで敵軍が攻めて来るまでの時間稼ぎかな?」
「恐らくそうでしょう。先代は、この国に繁栄をもたらしました。とても頭が良かったです」
「その先代が亡くなってネイレスが即位したというわけ?」
「はい。とても不自然な死...ある日をさかえに体調を崩してそのまま亡くなりましたね。まだ、40代と若かったのですが」
「きな臭いな。どうせ、ネイレスの兄が関与しているんだろ?」
「そうですね、兄が第一発見者ですぐに遺体を燃やし事実を隠蔽しました。当時の私は、迅速な対応だと思っていましたが、今考えると兄が殺したとみて間違いないでしょう」
「ネイレスは、先代の子供なの?」
「私は違います。先代は叔父です。先代は子供に恵まれませんでしたので、海龍様と通じている私が即位しました。兄は、猛反対しておりましたが...」
「ドロドロだね。おっ、そこの雑貨屋寄っていこーぜ」
食器や小物が多く揃っているお店に目が行き、ユリさんとネイレスさんを連れ入店する。
「おや?貴方様は...」
「マジかよ、まさかこんなに早く見つかるなんて...」
「この度は、帝国ではお世話になりました」
お辞儀をする初老の男性、プルトスと再会。良い品を扱っているから寄ってみた店が、まさか探していた人の店とは思ってもなかった。
「俺の名は、ケンだ。宜しく」
「お名前を教えて頂きありがとうございます。ケン様、私を探しておられたのですね」
「そうだよ、なんでこんな小さな雑貨屋にいるんだ?」
「ここは支店の一つでして、私の趣味で雑貨屋をしております」
「良い趣味しているな。この店にある商品全てくれ」
一度言ってみたかったセリフ。初めて言えたぜ!
「構いませんが、また何か厄介ごとですか?」
「おいおい、人を見て判断するなよ。まぁ、厄介事なのは正解だけどさ」
「お話は奥の部屋で聞きましょう。どうぞついて来て下さい」
目をキラキラさせているユリさんとネイレスさん。雑貨や小物、魔法の道具、どれも新鮮な物ばかり。そんな二人の手を取りプルトスさんの後ろをついていく。
「どうぞ、こちらにおかけ下さい。ネイレス女王陛下には窮屈なお部屋かもしれませんが、何卒ご容赦ください」
「さすが、プルトスさん。よく分かったね」
「これでも、商人ですから。お茶の用意を致しますので、お時間を頂いても?」
「その必要はない。こちらで準備する」
ユリさんに顔を向け、目線を送る。ユリさんは頷き、マジックバックからティーポットとカップを取り出し茶の用意をしてくれる。
「これはこれは、帝国の妃様たちが御用達になっていた茶葉ですな。見事なお手前でございます」
「ありがとうございます。どうぞ」
ユリさんがそれぞれのカップに茶を注ぎ、一口飲む。
「さすがだね」
「本当、美味しいです」
「それでケン様、今回は何用で御座いますか?」
「何から話せばいいのやら...そうだな、まずは店の商品全部とマジックバックが欲しい。いくらになる?」
「白金貨50枚でいかがでしょう?」
「マジックバックの容量は特大を2つの品質は最高な物で頼むよ」
「畏まりました。すぐに手配致しましょう。情報と相殺させていただきます」
「話が早くて助かるよ。ここにいる女王陛下が近日中に退位する。次の王は、レストだ。海が荒れ、物価の高騰は間違いない」
「ほぉー。それはそれは大層な情報ですね。それは本当のことでしょうか?ネイレス女王陛下」
「ええ、間違いないです。私が厚意にしている煙草の販売ルートを貴方に譲渡致します」
「ほ、ほ、ほ。これはこれは。煙草の独占が出来るのであれば、この店の商品を無料で構いませんが?」
「分かりました。今後の煙草の生産から販売まで貴方に譲渡致しましょう。何か誓約書はありますでしょうか?」
誓約書を机の引出しから取り出し、それを記入するネイレスさん。煙草の独占が可能になれば大きな利益になる。それを売るネイレスさんの判断の早さも凄いが、要求するプルトスさんも中々肝が座っているな。
「マジックバックもタダにしろよ。対価に釣り合わない」
「勿論です。他に情報を売って頂ければ、望む物を提供致しましょう」
「この国はいずれキサラ法国と戦争になる。光の神官長が殺された。あとは、旧外道に出没していた強力なモンスターが居なくなったから使えるはずだ」
「その情報が確かなら、また武器が売れます。良いでしょう、ケン様たちの要望を全て飲みましょう」
「武器が欲しいならやるよ。大量にあるからな。俺たちが今欲しいのは、大量の服とこの街の一軒家くらいかな。出来れば、人通りが少ないところで風呂があるのがいいな」
「私は、ベッドが欲しいわ」
「畏まりました、明日までに用意致します。その時に武器と交換でよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。女王陛下の退位のタイミングはいつがいい?」
「本当にケン様は商人のことをよく分かっていらっしゃいますね...一週間後でいかがでしょうか?今日は、この店をお貸し致しますので」
「了解。商談成立だな。それと、王家から沢山の物がなくなるが何か欲しいものはあるか?」
「そうですね...王家にまつわる品を幾つか頂けますか?」
「ネイレスさん、さっきの短剣を」
「どうぞ、こちらは王のみが所持している短剣です。歴史的価値はあると思います」
短剣をプルトスさんに渡すネイレスさん。もう、使わない短剣なんか要らないしあげても問題ないだろう。
「素晴らしい一品です。誠意に応え、私共も良い物をご用意致します」
「宜しく頼むよ」
俺とプルトスさんが握手をし、ユリさんとネイレスさんが追加の品を打ち合わせ後日用意してもらう事になった。
次回 乾杯




