どーも、苛立ちと醜さです。
前回のあらすじ
主人公 自称しがない商人を助ける
どーも、しがない商人を助けた?オッサンです。
アンデットの群れから助けるんだ、もちろん対価があって当然だと俺は思う。命の恩人なのか?少し高圧的になり過ぎたかも。少し反省...しねーよ!
「グランツはあの剣しか持っていないのか?」
「ああ、私のコレクションの中でも1番効果が優れていたからね。まさか、暴走するとは思っていなかった」
爆発の原因は俺なんだけどね。魔石に魔力を付与させて暴走させたんだけど、上手くいって良かった。
代わりの剣をグランツに渡して、俺は向かってくる骨鬼を斬り捨てる。それを繰り返しながらグランツに問いかける。
「本当にキリがない。グランツ、前線って言ってたよな?このまま帝国に帰っても大丈夫なのか?」
「戻ったとしても、また前線に送り込まれると思う。死ねと命令してくる奴らだから。アンデットにされて帝国に戻るなんて残酷でしかない」
「なぜ帝国は魔人と戦争になったのですか?」
「私が聞いた話によると、戦争のきっかけはとある魔人が殺されたことらしい。騎士たちはそれを否定しているけど」
「とある魔人って何者?」
「人族と友好的だった女性の魔人らしい」
「先程から憶測みたいな言い方ですね。信憑性あるのですか?」
ユリさん...グランツに対して態度キツいよ。さっきからイライラしてるし。
「それは、あるとは言い切れない。私は商人のツテで聞いたに過ぎないから。真実を知るのは帝国の上層部ぐらいだろう」
「ふーん、魔人側が偽の情報を流して撹乱させてるのかもしれないね。帝国の騎士って強いの?」
「君たちほど強くないけど、私たち平民や農民に比べたら手も足も出ないさ」
「あなたは、どうして生き残りたいと思われたのですか?」
「まだ、やりたいことがあったからとしか言いようがない。あの剣だってその為に騎士たちの目を盗んで持ち込んだのだから」
「グランツをこの場から助けるのが俺たちとの約束だし、こちらとしては情報があれば何でもいい。やっと、アンデットの数が減ってきた...」
身体能力向上のスキルの効果がもうすぐ切れるだろう。アンデットはほとんど俺たちに始末されるか通り過ぎて本陣の方へ向かっている。
「ケンさん、あと少しです。頑張りましょう?」
「そうだね、もう少しの辛抱だ。グランツ、この場で生き残りたいのなら俺たちの言う通りに動けよ?」
「もちろん従う。君たちの名前は、なんと呼べばいい?」
うん?別に俺たちのことを話すことが出来ない契約だから何でも良いんだけど。
「ユリさん、どうする?任せるよ」
俺はユリさんに丸投げし、アンデット退治に勤しむ。前線は崩壊、帝国は時間稼ぎのために死んでもいい人間を配置したと考えられる。兵士に偽装したのはいいけど、本陣を通って帝国の街に行かないといけない。
「ケンさん。名前はそのままがいいです。私の名前は、ケンさんが考えて与えてくださったもの。だから...」
名前ってそんなに大事かね?ユリさんが、そう言うならそのままでいいか。
「分かった。グランツ、俺の名前はケン。そしてユリさん。改めてよろしく」
了承をしたということで頷くグランツ。
「ケン、私は何をすればいい?」
「しっかり休んでおけ。そろそろアンデット達が居なくなる。お前は、アンデットに有効な物を所持しているのか?」
「あるにはあるが、精々アンデット1体倒すだけで終わってしまう。アンデットは死者。生者の回復魔法やポーションはアンデットには毒になる。私はポーションを数本所持している」
こいつ...そんな装備だけで前線にいたのか。商人ならもっといい装備は出来ないのか?死にたくないなら、もっと足掻けよ。
「あくまでもこの場から助けてやるだけなんだが、お前この後どうするの?」
「君たちに同行してはダメか?」
「ダメです!あなたをこの場から助けるだけであって、その後のことは約束しておりません」
「そこをなんとか!頼む!私は君たちがいないと死んでしまう!」
「寄生虫ですか、あなたは。私はあなたに対して存在価値を見出せません。ハッキリ言いましょうか。邪魔なのです」
ユリさんは正論を言ってると俺は思う。別にグランツが居なくても俺たちならこのまま帝国に潜り込める。
「金なら店にある!それに私がいれば君たちは、帝国兵士の1人だと証言できる!君たちは帝国のことを知らないだろ?知っている情報は全て話す。引き続き私を守ってくれ!」
「はぁ、あなたは戦わず私たちが守れと?それに、この場から助ける際のこちらからの要求をまだしておりません」
「要求?君たちのことを口外しないということだけではないのか?私は、命をかけて君たちに従っているんだ!」
いざ自分の死が近くにあると普通こうなるよな。でもさ、取引きしただろ?この場から助けるだけと。良い情報を期待してアンデットから守っていたのに...こいつ初めから帝国の情報を持っているから優位にいると勘違いしてないか?
「命をかけて従っている?別に口外しなければどこに逃げても構いませんよ。ねぇ、ケンさん?」
「そうだね、ユリさん。グランツ、お前を助けて守っていたのは情報が欲しかっただけ。命を救ってやったんだ、だったら命をかけて従うのは当たり前だろ?」
「それは、横暴だ!」
その通りです。この世界のことわりだ。力なき者から死んでいく。それが嫌なら考え行動しなきゃ。
「一応聞いておこうか。お前、何が望みだ?」
「生きて家に帰る。そしてこんな国から出て...」
「いや、違う。俺たちに対して望むことだ」
「そ、それは、私を家まで護衛してほしいことだ」
最後のアンデットを倒した俺は、グランツに返答する。
「もう、お前とはここでお別れ。もう、従わなくていいぞ」
なんでこんな奴助けたんだろう。面倒くさい、煩わしい。テメェのことはテメェでなんとかしろよ。
「待ってほしい!私と改めて取引きしないか?」
「しません。早くここから消えてください。あなた、先程から私を値踏みしていましたよね?そんな人とは取引きしたくありません」
あー、そういうことだったのか。ユリさんがこいつに冷たい対応してたのは。グランツ、お前、値踏みするとかアホだな。
「エルフのお前に聞いていない!ケン!お前と交渉がしたい!」
「白金貨10000枚。確実に払えるなら1日だけ護衛してやろう。金でお前は安全を買えるんだ。いい提案だろ?」
「払えるわけがない!くそっ、これだから力しか脳がないバカは困る」
いい加減、こいつに時間かけてられない。
「ユリさん、このバカを助けた判断をした俺がバカだったよ。猛烈に後悔している」
「私は始めから嫌でした。この男を見ていると、奴隷商人を思い出します」
本当に申し訳ない事をした。俺とユリさんは、本陣とは別の方向へ歩いていく。俺たちの後ろからついて来るグランツ。
あのさー、いい加減にしろよ?
次回 バカな発想




