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妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~  作者: 雪野みゆ
第三部:カリュオン王国編

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1章-4

 女王サファイヤの暗殺を企てた首謀者は、イアンたちにマタタビモドキを渡した人物の特徴と一致する。


 案内された部屋で向かい合って座るフィンラスとカテリアーナの表情は厳しい。


「まさかカリュオン王国でも不穏な動きがあるとはな」

「一体何が狙いなのかしら?」


 カテリアーナはしばらく思案するが、フードの男の目的が分からない。


「それはそうと、なぜフィルと同室なの?」

「サファイヤ殿が気を利かせたのだろう」


 くくくとフィンラスは含み笑いをする。


 苦労性の侍従が案内してくれた部屋は賓客用の上等なものだが、一部屋のみだったのだ。


「もう一部屋用意していただけるようにお願いしましょう」

「俺は別に構わぬがな」

「わたくしは気にするの! まだ結婚前なのに……」


 人間の大半の国では、婚約中とはいえ男女が部屋をともにすることは厭われている。


「安心しろ。結婚するまでは手を出さぬ」


 カテリアーナは疑いの目をフィンラスに向ける。男性は誠実さをアピールしても中身は狼だという。フィンラスは猫だが……。


「どうしても同室でというのならば、フィルには猫姿になってもらうわ。それも王様猫姿ではなく、ノワールの姿よ」

「カティは猫姿がお好みか?」

「もう! そういうことではなくて。カル!」


 フィンラスがからかうので、カテリアーナは部屋の外に待機しているであろうカルスを呼ぶ。部屋をもう一部屋用意してもらうように頼むためだ。


 だが、カルスが入室してくる気配がない。


 扉がノックされ、顔を覗かせたのはエルシーだった。


「カルス様はただいまサファイヤ女王陛下の下に行っておられます」


◇◇◇


 カルスはサファイヤに呼ばれ、女王の執務室を訪れる。


「カル、久しいのう。ついこの間まで子供だと思っていたのだが、立派になったものだ」

「女王陛下から見れば、私などまだまだ若輩者でしょうね」

「他人行儀はよさぬか。(わらわ)は其方の伯母だ」

「では、伯母上。私に何かご用があって呼びつけたのでしょう? 早く用件を言ってください。まさか甥へ挨拶がしたかったというわけではないでしょう?」


 カルスは母パールの姉であるサファイヤが昔から苦手だった。


 サファイヤはふんと鼻を鳴らす。


「可愛げのない甥よ。まあ、よい。パールから便りが来ていたが、カテリアーナ姫は誠に妖精のような姫よのう。あの容姿では人間の国では肩身の狭い思いをしたことであろう」

「ええ。美しいだけでなく、カテリアーナ様は聡明な方です」


 じろりとサファイヤはカルスを睨む。微笑みを浮かべているが、これが愛想笑いだということは明白だ。


「とぼけるでない。エルファーレンはカテリアーナ姫についてどこまで調べている?」

「調査は簡単にはいきませんよ。伯母上とてそれは承知されているのでは?」


 カルスが指摘すると、サファイヤはむうと唸る。


「本当に可愛げのない。幼い頃は妾に懐いて可愛かったというのに」

「いつの話ですか? ご用件は以上ですか? それならば私は下がらせていただきます」

「何か調査に進捗があれば報せよ」


 一礼すると、カルスは執務室を退室するため扉に向かう。しかし、サファイヤに呼び止められて立ち止まる。内心舌打ちをしたのだが、サファイヤには分からないだろう。


「ああ、そうだ。今夜ささやかだが歓迎の宴を開く。フィンラス殿に伝えておいてくれ」

「承知いたしました」


 また呼び止められては敵わないとカルスは早足で執務室を退室した。

ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] サファイア様もカテリアーナに興味津々なご様子ですねー。
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