第EX2話 お前をからかうのは楽しくてさ
本編には関係ないブクマ100感謝小説です。今回は、ナチとアービスの下校回ですね。軽く書いたものなのであんまりじっくり読まなくても楽しめるかも。
ブクマ、感想、評価していただいた方々に感謝します!ありがとうございました!
今回の話は俺とナチの話だ。アニスはこの時、最上級向けの講義で居なかったためだ。アニスは待ってくれないと嫌だといつも言うが、あの講義は二時間も掛かる。俺はその間、師匠が居れば待つのだが、生憎師匠も、その最上級の講義に出ている。魔法は下級の師匠だが、その剣の腕は最上級の魔術士でも勝てるかどうかの持ち主だからだ。なので俺はアニスを待たずに帰る。二時間もあれば読み残した魔術書や父や母の手伝いが出来る。
俺は、その日、アニスがそういった理由のため、一人で帰ろうと校門に向かっていた。すると、綺麗な金色の髪を揺らしながら、俺を必死に追いかけてきた女の子が居た。ナチだ。
「どうした? ナチ? 悪いが、俺はアニスを待つほど暇じゃないぞ」
「いえ! 私も今日は帰ろうかと……」
「珍しいな、アニスが拗ねるぞ? ちなみに俺は拗ねられてもベッドで……な?」
「へっ!? え、ええ!?」
ナチをからかおうとそう言い含めた。ちなみにベッドでやられているのはアニスの一方的な甘えただ。俺の匂いを嗅いだり、抱き着いたりするだけだ。やましいことはない。
「冗談だ、ナチ、お前の考えている事は何もない」
「そ、そっかぁ……良かったです……」
「ごめんごめん」
俺はナチの肩を二回ほど軽く叩くと、ナチはえへへ、冗談でしたかと笑った。可愛い。
だが、先の事を考えれば、俺がナチにされている事を言ったとしてもナチは死ぬほど驚いたであろう事は明白だ。
「それで? ナチ、どうした? 俺とベッドで寝たいのか?」
「ね、寝ません!」
「嘘だ、寝たいって言われても寝ない、そんな度胸は俺には無い」
「むううう!! アービスくんのばかぁ!!」
ナチは顔を真っ赤に変え、俺に駆け寄ると手を拳に変えて、ポコポコと俺の身体を両手で叩くが力が弱く、俺にはなんだこの可愛い生き物程度にしか思えなかった。
「ごめん、ごめん、ナチ、悪かったよ」
「アービスくんは意地悪です……せっかくお母さんがスポンジケーキを焼いてくれると言っていたのでアービスくんにもあげようかと思っていたのに!」
「え? マジ? 行きたいな?」
「ダメです! 意地悪なアービスくんにあげるものなんてありません!」
「ええ……意地悪言うなよー」
「ま、待って! 意地悪なのはアービ……アービスくははは!? や、やめっ!?」
俺はナチの脇に手を差し入れ、思い切り腕を動かした。するとナチは涙を流しながらくすぐったさを堪えだした。俺は構わずくすぐり続ける。
この頃の俺は特にプレッシャーや勇者になれないという挫折が無いため、結構、こういうやんちゃな所もあった。
「わ、分かりました! あははっ! 分かりましたから!」
「よし! ありがと! ナチ!」
「はぁはぁ、アービスくんのえっち」
「それはやめろ、俺に効く」
ナチが地面に膝を付け、涙目でそう言う事を言うのは反則中の反則だ。俺は真顔でやめろと言った。
「あ、ご、ごめんなさ――――ってなんで私が謝らなきゃいけないんですか!」
「ナチが悪いから?」
「悪くないです! 私、悪くないです! もう、やだぁ」
「あ、ごめんごめん、ナチ」
ナチを責めすぎて、泣き出しそうになってしまった。俺は慌ててナチの頭を撫でながらごめんごめんと言うと、ナチは泣くのを瞬時に止め、俺の顔を見て笑った。
「冗談ですよ、アービスくん慌てすぎです」
俺としたことがナチにハメられてしてまったらしい。俺は、酷く驚いた顔をしていたんだろう。ナチは変な顔と笑いだした。
「ナチ~~!!」
「きゃっ!? ごめんなさ……あはは! や、やめ、きゃあ!」
俺はナチにハメられた悔しさをバネにナチをより一層くすぐり、ナチの口から可愛い声を上げさせ続けた。
「ナチめ! 俺をバカにして!」
「あははっ! ほ、ほんとにやめっ! い、いつもバカにするのはアービスくんじゃないですか!」
「まったく」
くすぐるのを止めると、ナチははぁはぁと息を漏らしながら立ち上がり、俺の前を歩き出し、一度止まって振り向くと、舌を出してべーっ! としだした。
「もう! これ以上やるならケーキあげませんよ!」
そのナチの言葉に俺は笑みを零してしまう。そして、頭を撫でようとするが、だからそういうのをやめてください! と怒られてしまった。
「良いじゃんか、別に」
「だ、ダメです!」
「ケチ」
「むう! さっさと行きますよ!」
「はいはい、ケーキ楽しみだわ」
「はい! 母の作るケーキは美味しいですよ!」
俺とナチはそんな話をしながらナチの家に行き、俺は美味しいスポンジケーキを食べた。次の日、アニスに責めれたのは……まぁ、大体分かるだろ?




