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第14話 場違いの変態さん!


 俺はエア・バーニングさんの妹に渡す昼飯を持って七階の職員室から出ると、一フロア下の階層に行こうと階段に足を乗せた。

 すると。


 「昼ごはん、おばあちゃんの家に忘れてきちゃった」


 「クロエまた弁当忘れたの? 一昨日も忘れてたじゃん」


 「最近、寝起きが良くなくてさ。ぼっーとしちゃって……」


 「勇者お披露目会からそんなんだけどどうかしたの?」


 「ううん? 全然? ただの寝ぼすけなだけ!」


 そんな会話が俺が降りようとした階段の下からから聞こえ、俺はエア・バーニングさんの妹さんか? グッドタイミングだな! と思い、階段で待っていると案の定、その二人に出くわした。

 一人は青髪短髪の元気そうな子で、もう一人は片目まで伸ばした髪が目立つ金と黒の混ざった髪色の子だった。多分、金と黒の混ざった髪色的にこっちの子が妹だ。


 「あ、あの」


 「あ! ねえ! クロエ! この人! 勇者パーティーに入った場違いさん!」


 「場違いって君ね……」


 そりゃ場違い感はあったかもしれないけども……。というか、エア・バーニングさんの妹さんにさっさと昼食を渡して帰ろりたいのだが。


 「あの、これ、エア・バーニ――――んっ!?」


 なんだ!? エア・バーニングさんの妹がなぜか俺の口を塞ぐように両手を押し付けてきた!? 俺は困惑して彼女を見るが彼女は首を横に振るばかりだった。


 「あ、あのさ、メグ、私この人に用があるから先行ってて?」


 「え!? もしかして……元気が無いのはそういうことだったのか!」


 「な、何か誤解してない!?」


 「してないしてない、じゃあ私、先に行くからね~」


 エア・バーニングさんの妹の友人はなぜかはしゃぎながら階段を降りていく。すると、俺はエア・バーニングさんの妹に手を取られ、八階の転移魔法陣に突き飛ばされた。


 ――――


 「いたっ!?」


 魔法陣から転移した俺は冷たい石の地面に叩きつけられる。ここは塔の教育用の資材が置いてある物置だ。幸い誰も居らず、後からエア・バーニングさんの妹がやってきた。随分乱暴な子だ。


 「な、何すんだよ」


 「それはあなたの方ですよ、あんなところで兄の名前を出すなんて」

 

 「どういうことだよ、あの友達知らないのか?」


 「教員以外は誰も知らないんですよ、私がエア・バーニングの妹って」


 「その髪色でか?」


 「これは偶然被ったってことにしてるんです」


 「結構無理矢理だな」


 「それでもこの二年無事に過ごしてきたんだから良いんです!」


 「なんでそんなにお兄さんの事言いたくないんだ?」


 つい、聞いてしまった。普段なら聞かないような話題だが、エア・バーニングさんの妹への言葉も重なってつい、気になってしまったのだ。だが、クロエは俺の質問に口を閉ざした。そして、俺の手から昼食をひったくろうと強硬手段に出たため、背中に隠した。


 「ちょっと! 私の昼食!」


 「質問に答えたらあげる」


 手をスカらせたクロエは何も掴めずに空中で放り出された手を拳に変えてプルプルと震わせんがら、ゆっくりと手を引っ込め、俺を睨んだ。


 「あんた、それ届けに来たんでしょ!?」


 「おう、その通りだ」


 「なら、それ渡して帰ってくださいよ! 勇者パーティーの人は学業免除で卒業できるんですよね?」


 「俺は向上心のある人間だから関係なく来るんだよ」


 「向上心のある素敵な方なら後輩の女の子の昼食をとらないでください!」


 「まぁまぁ教えてくれたら何か甘いものでも奢るからさ」


 「教えま!! せん!!」


 「おっと!?」


 ついに堪忍袋の緒が切れたのか、クロエは左手の掌をこちらに向け、燃え盛るオレンジ色の球体をこちらに向けた。中級魔法【火球(ファイアーボール)】だ。


 「お、おい! 腕を下げろ! 投降するんだ! 今なら罪は軽くなる! 黙秘権の行使だって認められるんだ!」


 「なんで私に罪があるのよ! こうしてるのもあんたのせいでしょ!」


 「あ、すまんすまん、記憶がこういう時はこうしろと言ってきて」


 つい、警察学校での記憶が! ややこしい事になるからこの癖なんとかしたいんだよなぁ。


 「どうでもいいですから昼食をください!」


 「わ、わかったよ、ほら」


 俺が昼食を差し出すとクロエはそれをすごい勢いで奪い取り、火球を収めた。本当なら、氷魔法で凍結させようかと思ったが、彼女まで凍らせるわけにはいかないため、仕方なく諦める方向にした。


 「まったく! 本当に勇者パーティーに入れたのが不思議ですね! 場違いさん!」


 クロエは昼食を抱きしめながら俺に罵声を浴びせてくる。俺は心中で傷つきながらも彼女に近づいていた。


 「わ、悪かったよ、そんな怒らないでくれ」


 「な、なな何撫でてるんですか! 変態か! あんた!」


 「まじですまん! つい癖で!」


 近づいてしたことは頭を撫でる事。無意識だった。アニスが不機嫌になるとしていたのでつい不機嫌だな、撫でるかという思考回路になってしまっていた。もう変な癖だらけで困る。


 「もういいです! さようなら! 変態さん!!」


 クロエは俺にそう言い残して、転移魔法をくぐりどこかに行ってしまった。さすがにまずかったか。嫌われたな俺。あーあ、結局どういう理由だったのかも聞けなかったし、散々な一日だった。まだこれに加えてエア・バーニングさんとアニスの料理勝負があるってまじか。 


 「帰るか……」


 俺は疲れた思いだけを引っ張り、転移魔法で戻り、塔の外へと出ていく。

 すると。


 「ア、アービスくん!」


 「ナチ?」


 塔から出るために校門に居た俺を見つけたナチは華奢な身体と金色の綺麗な髪を揺らしながら、相も変わらず元気よく手を振ってこちらに駆け寄ってきた。


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