休息
帰り道、お互い聞きたいことはあったが、話しかけられずにただ歩いているだけの沈黙の時間が続いた。僕は気まずかったので、話しかけた。
「桜井さんて、めちゃくちゃ強いんだね。僕も強くなりたいな〜。」桜井さんは前を向いたまま、
「小さい頃、爺ちゃんにみっちりしごかれたからな。」と小声で言っていた。元気がなさそうだったので、それ以上何も話さずに家に帰った。
数日後、いつも通りに桜井さんの作った夜ご飯を食べると、味が変な気がした。桜井さんの顔を見てみると、ほとんど死んでるみたいな感じの顔だった。また、少しふらついているような気もした。そう思った瞬間キッチンの方でドタンという音がした。僕が様子を見に行くと、桜井さんが倒れていた。僕は慌てて駆け寄って、
「桜井さん、起きて、桜井さん...。」声を掛けて揺すってみたが、返事はなかった。僕はパニックになって、救急車を呼ぶことができなかった。けれど、ちょうどよくママが帰ってきてくれた。ママによると、相当疲れが溜まっていて体力に限界がきたから倒れたのだろうということだった。僕は少しホッとした。桜井さんを家に運ぶのは無理なので、うちの空いてた部屋のベッドに寝かせて様子を見ることにした。
翌日、学校から帰ってきてもまだ目を覚まさなかった。夜になって僕とママが覗き込んでいると、ようやく目を覚ました。
「ここは...」
「うちだよ。桜井さん、いきなり倒れちゃったんだよ。」と僕は言った。
「そうか...みっともねえな...ハハハ。」と笑っていた。
「もう大丈夫だ...。」と言って桜井さんは立ち上がろうとしたが、ママが制止して、
「無理しちゃダメ。あとちゃんと睡眠をとらないと、最近全然寝てないんじゃない。」と言った。図星だったのか桜井さんは何も言わずにまた眠ってしまった。
翌日はふらつきながらも起きて活動していた。休日だったので、少し手助けもしてあげた。桜井さんの話によると2週間近くまともに寝ていなかったらしい。なんでかは教えてくれなかった。
桜井さんがちゃんと動けるようになったのはその翌日からだった。今思えばよくこんな状態で7人も同時に相手していたなと思う。




