終
※サブタイトルを修正しました
序を受けての終です。
「エルダ・スティル」本編とは別の時代。
赤々と燃える、暖炉の薪が一つ大きく爆ぜた。
子供達は、固まる様に身を寄せ合いながら、身体を丸めて寝息を立てている。
「おやおや、婆の話は退屈だったようだねぇ。
どれどれ……こんなところで眠ってしまってはいけないよ。
さぁさ、ベッドにお行き」
老婦人は静かに立ち上がると、子供達をそっと揺り起こした。
皆眠そうに目を開けると、側のベッドまで足を引きずるように歩いて、そのまま転がり込んでしまった。
そんな様子を暖かな笑顔で見守り、それぞれの子が寝入ったのを見届けると、毛布を掛け直してやりに近寄った。
一人一人にお休みと声を掛けながら、毛布を掛け直す。
外を吹く風は、一段と荒々しさを増したようだ。
老婦人はゆっくりと歩いて戸口まで進むと、そっと戸を開けて外へ出た。
目の前には、荒涼とした大地が広がっていた。
今夜は満月のせいか、青白い月光に浮かぶ大地は、冷たい死の世界を連想させた。
急に吹いた強い風が、老婦人の羽織っている肩掛けを巻き上げた。
慌てて押さえた胸元には、碧く輝く玉石の破片があった。
鋭い水晶の一片のように砕けた石の破片。
首から下げた石の破片は、月光を反射するのではなく、まるで月の光そのものの様に輝いていた。
星の瞬きは燦然として、大地を覆う天蓋のようだ。
老婦人は夜空を見上げて何事かを呟くと、そっと屋敷に戻った。
後にはただ、動くものさえない、静かで果てしない大地が広がっているだけだった。