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風の神話  作者: 夢育美
エルダ・スティル
10/19

※サブタイトルを修正しました


序を受けての終です。

「エルダ・スティル」本編とは別の時代。

 赤々と燃える、暖炉の薪が一つ大きく爆ぜた。

 子供達は、固まる様に身を寄せ合いながら、身体を丸めて寝息を立てている。

「おやおや、婆の話は退屈だったようだねぇ。

 どれどれ……こんなところで眠ってしまってはいけないよ。

 さぁさ、ベッドにお行き」


 老婦人は静かに立ち上がると、子供達をそっと揺り起こした。

 皆眠そうに目を開けると、側のベッドまで足を引きずるように歩いて、そのまま転がり込んでしまった。

 そんな様子を暖かな笑顔で見守り、それぞれの子が寝入ったのを見届けると、毛布を掛け直してやりに近寄った。

 一人一人にお休みと声を掛けながら、毛布を掛け直す。


 外を吹く風は、一段と荒々しさを増したようだ。

 老婦人はゆっくりと歩いて戸口まで進むと、そっと戸を開けて外へ出た。

 目の前には、荒涼とした大地が広がっていた。

 今夜は満月のせいか、青白い月光に浮かぶ大地は、冷たい死の世界を連想させた。


 急に吹いた強い風が、老婦人の羽織っている肩掛けを巻き上げた。

 慌てて押さえた胸元には、碧く輝く玉石の破片があった。

 鋭い水晶の一片のように砕けた石の破片。

 首から下げた石の破片は、月光を反射するのではなく、まるで月の光そのものの様に輝いていた。


 星の瞬きは燦然として、大地を覆う天蓋のようだ。

 老婦人は夜空を見上げて何事かを呟くと、そっと屋敷に戻った。

 後にはただ、動くものさえない、静かで果てしない大地が広がっているだけだった。

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