第三試験②
「開始」
ブザーが鳴った。
四人は同時に走り出す。
崩壊都市フィールド。
瓦礫の山を越えながら進む。
ドロイが指示を出す。
「目標地点は北東300メートル」
「倒壊ビル内部に反応があります」
エデンが先頭を走る。
「分かった!」
数分後。
目的の建物に到着する。
内部は暗く、崩れていた。
「誰かいますか!」
エデンが叫ぶ。
奥から弱い声。
「た……助けて……」
リナが駆け寄る。
「大丈夫!もう安心だよ!」
生存者は足を怪我していた。
歩けない。
リナが即座にしゃがむ。
「背負うね!」
軽々と持ち上げる。
「任せて!」
その瞬間——
地面が揺れた。
ゴゴゴゴ……
ドロイが言う。
「来ます」
次の瞬間。
壁を突き破り——
機兵が現れた。
人型装甲兵器。
複数。
エデンが前に出る。
「カイト!」
「……分かってる」
カイトは救助者の護衛に。
リナは生存者を抱えたまま後退する。
役割は完璧だった。
ドロイが冷静に告げる。
「リナさんは搬送をカイトさんは救助者の護衛を優先してください」
「我々が時間を稼ぎます」
リナが叫ぶ。
「絶対戻るから!!」
走り出す。
エデンは拳を握る。
能力は使えない。
だが——
(関係ない)
「守るぞ!!」
機兵が襲いかかる。
第三試験は。
本格的な戦闘に突入した。
リナは必死に走っていた。
背中には生存者。
瓦礫を飛び越え、崩れた道路を駆け抜ける。
(大丈夫……まだいける……!)
後ろでは戦闘音。
金属がぶつかる音。
エデン達が時間を稼いでくれている。
だから——
止まれない。
ドロイの声が聞こえる。
「搬送ルートは南側が安全です」
「直進してください」
「了解!」
その瞬間だった。
ガシャン!!
前方の道路が爆ぜた。
地面を突き破って現れたのは——
機兵。
しかも一体ではない。
三体。
リナの顔が青ざめる。
「うそ……」
通常の機兵より大型。
装甲が厚い。
明らかに強い。
本当に危険なやつ。
リナは歯を食いしばる。
(でも……)
背中の生存者が震えている。
「た、助けて……」
リナの目が変わる。
覚悟の目。
「大丈夫」
「絶対守るから」
機兵が腕を振り上げる。
カイトがそれを防ぐ。
しかし数が多い。
「クソ......守り切れない」
その瞬間——
ドン!!!
横から衝撃。
機兵が吹き飛んだ。
リナが振り向く。
「え……?」
そこにいたのは——
エデン。
息が荒い。
肩には傷。
だが笑っていた。
「間に合った……!」
ドロイも来る。
「申し訳ありません」
「敵の増援が発生しています」
「恐らく試験官の言っていた脅威でしょう。」
大型機兵がゆっくり立ち上がる。
ギギギ……
装甲が展開する。
内部から赤い光。
ドロイの声が低くなる。
「……危険度が跳ね上がりました」
「この個体」
「通常の三倍以上の出力があります」
沈黙。
エデンが一歩前へ出る。
能力は使えない。
それでも。
拳を握る。
「リナさん」
「走れる?」
リナは頷く。
「うん……!」
カイトが前に出る。
「時間を稼ぐ」
ドロイが言う。
「作戦を変更します」
「ここで迎撃」
「三人で突破口を作ります」
大型機兵が咆哮のような駆動音を出す。
大型機兵が突進してきた。
地面が揺れる。
「来るぞ!!」
カイトが叫ぶ。
次の瞬間——
ブンッ!!
巨大な腕が横薙ぎに振られた。
エデンが叫ぶ。
「伏せろ!!」
三人が同時に回避。
衝撃で背後の瓦礫が吹き飛ぶ。
リナが息を飲む。
「威力……やばい……」
ドロイの声が冷静に入る。
「正面からの撃破は非効率です」
「関節部を狙ってください」
「右脚、膝関節」
エデンが頷く。
「カイト!」
「分かってる!」
カイトが機兵の前に飛び出す。
わざと大きく動く。
挑発。
「こっちだ鉄クズ!!」
機兵が反応。
腕を振り上げる。
その瞬間——
「今だ!」
エデンが横から突っ込む。
全力疾走。
地面を蹴る。
跳躍。
拳を叩き込む。
ドゴォ!!
金属音。
衝撃が腕まで返ってくる。
(硬い……!!)
だが——
わずかに体勢が崩れる。
そこへカイトが滑り込む。
「うおおおお!!」
脚部へ低い蹴り。
ガキン!!
関節が軋む。
機兵がよろめく。
ドロイの声。
「良い連携です」
「続けてください」
機兵が咆哮のような駆動音を出す。
背中の装甲が開いた。
赤い光。
「エネルギー反応上昇!」
ドロイが警告する。
「回避!!」
直後——
ドン!!!
衝撃波。
三人が吹き飛ばされる。
エデンは地面を転がりながら止まる。
息が荒い。
腕が痺れている。
(強い……)
(でも……)
視線の先。
リナが必死に生存者を抱えて走っている。
その姿を見た瞬間——
エデンの目が変わる。
覚悟。
「……絶対」
「守る」
立ち上がる。
カイトも笑う。
「ああ....」
「もう一回いくぞ」
ドロイの声。
「作戦を更新します」
「次で決めましょう」
「私がタイミングを指示します」
機兵が再び突進。
地面が揺れる。
ドロイ。
「三秒後、左へ回避」
「3」
「2」
「1」
「今」
三人が同時に動く。
完全な同期。
エデンが正面から突っ込む。
カイトが側面。
ドロイの指示が続く。
「右脚荷重増加」
「関節露出」
「エデンさん」
「そこです」
エデンが跳ぶ。
全体重を乗せた一撃。
拳が——
膝関節へ突き刺さる。
ドゴォォォン!!!
金属が砕ける音。
機兵の脚が崩壊。
巨体が傾く。
カイトが叫ぶ。
「倒れるぞ!!」
エデンが最後の力で押す。
「うおおおおお!!」
ドォォン!!!
大型機兵が地面に倒れた。
静寂。
煙。
沈黙。
そして——
動かない。
ドロイの声。
「……停止を確認」
「撃破成功です」
三人がその場に座り込む。
息切れ。
汗。
だが——
達成感。
カイトが笑う。
「やった....」
エデンも笑う。
「うん……!」
大型機兵が倒れたあとも、緊張は解けていなかった。
ドロイが周囲を確認する。
「周辺の脅威反応はありません」
「今のうちに移動しましょう」
エデンが頷く。
「リナ!」
少し離れた場所で、リナが生存者を支えながら立っていた。
額に汗。
だが目はしっかりしている。
「大丈夫!歩ける!」
救助対象の男性は足を怪我しているらしく、うまく歩けない。
ドロイが端末を確認する。
「目的地まで約二百メートル」
「直進です」
瓦礫の間を進む。
前方にテントと医療班の姿が見えた。
救護拠点。
カイトが叫ぶ。
「見えた!!」
エデンが最後の力を振り絞って走る。
到達。
医療班が駆け寄る。
「救助対象確認!」
「こちらへ!」
男性は担架に乗せられて運ばれていく。
その瞬間。
ピーーーーッ
電子音。
上空のスピーカーから声。
「指定地点到達」
「第三試験——クリア」
四人が同時に息を吐く。
終わった。
カイトがその場に倒れ込む。
「ふぅ......」
リナも座り込む。
「もう無理……」
ドロイは静かに言う。
「非常に良い連携でした」
エデンは空を見上げる。
達成感。
チームで連携して救助が出来た。
だが、まだ試験は終わっていない。
遠くで試験官達がこちらを見ている。
評価の視線。
──第四試験 面接開始




