第四試験
試験が終わった後、エデンは控室から案内され、面接室に入った。
部屋は簡素で、中央に大きな机が置かれている。
机の向こう側には――
「エデン君か」
右目に傷のある男性――盤上 流鹿が座っていた。
整った姿勢、冷静な眼光。
「俺は盤上流鹿や。Sランク隊員の一人やで」
「今日は君の資質、しっかり見せてもらうわ」
エデンは深く一礼する。
「よろしくお願いします」
流鹿は静かに頷き、指を組む。
「せやけど、まず聞きたいんや」
「なんでECOに入りたい思たんや?」
エデンは考える。
第三試験のことが頭をよぎる。
仲間を守り、生存者を助けたあの感覚。
「僕は……人を助けたいんです」
「正しいことをしたい。誰かを守る力をつけたいんです」
流鹿は右目を細めてじっと見る。
「ほう……正義感が強いんやな」
「せやけど、それだけやったら戦場で通用せえへんで」
「冷静さ、判断力、チームの連携――そいつらをどう活かすかも大事や」
エデンは頷いた。
「はい……第三試験でも、仲間と協力して任務を遂行しました」
「僕が前に出て道を作り、カイトさんが護衛、リナさんが生存者搬送、ドロイさんが後方支援――全員の役割を意識しました」
流鹿は椅子から体を少し前に乗り出した。
「なるほど……君は実戦での判断、理解してるみたいやな」
「せやけど次の質問や」
「もし仲間が危険に晒されて、自分も危ない状況になったら、どうすんねん?」
エデンは迷わず答える。
「僕は……仲間を優先します」
「でも、自分も守るために最善を尽くす」
「守るために、戦うんです」
流鹿は静かに頷き、エデンを見つめる。
「ほー……なるほどな」
「君は正義感が強く、仲間思いやな……でも思慮もある」
「判断力、統率力、冷静さ……最低限の条件は揃っとるで」
エデンは少し緊張して息を整える。
「ありがとうございます」
流鹿は最後に一言。
「入隊後はな、資質を本物にするんは自分次第や」
「感情だけやなく、状況判断と戦略を磨かんとあかんで」
深く一礼するエデン。
「はい、必ず努力します!」
面接室のドアが開き、係員が告げる。
「面接終了です」
エデンはゆっくり立ち上がり、胸の奥に静かな決意を抱えながら部屋を出た。
その背中を見送る流鹿の目には、評価の光が宿っていた。




