第208話 ゴーレム創造主
【名前】:岩井剛志
【職業】:ゴーレム創造主
【パーティメンバー】:臼杵健司・宮本万葉・宮本百花・ミア・コールマン
【スキル】:所持制限無視・多重思考・二重詠唱・自動記録・高速展開・自動防御補助・全属性耐性・不屈の心
【職業スキル】:ゴーレム作成・ゴーレム再作成・支援魔法【ゴーレム】・ゴーレム強化・ゴーレム異空庫・ゴーレム償還・ゴーレムカスタマイズ・特殊ゴーレムコア作成・ゴーレムアップデート・高速召喚・ゴーレム作成補助
【レベル】:1000(68up)
HP:7,004/7,004(520up)
MP:19,760/19,760(1,428up)
攻撃力:3,891(285up)
防御力:7,907(588up)
器用:10,099(784up)(+121%)
速さ:8,363(612up)
魔法攻撃力:11,816(860up)
魔法防御力:13,982(1,022up)
剛志はついに、大台のレベル1000に到達し、新しい職業に変わった。その名前はゴーレム創造主。以前戦ったゴーレム使いの権蔵がどういう職業だったのかという情報はないが、おそらく現時点で剛志のみが就いている職業だろう。
最上級職となると、大きく強くなるとか、そういうものを期待したのだが、「新しい強さを手に入れた」という実感はなかった。とはいえ剛志にとっては、とてつもなく自身の戦闘力を強化するスキルを手にしていた。
その名前もゴーレム作成補助だ。
このゴーレム作成補助というスキルは、新しいゴーレムが作れるようになったり、別の攻撃手段になったり、そういうものではなかった。効果は単純。剛志の持つゴーレム作成に必要なMP、時間、材料、その全てを10分の1に減らすというものだ。
残念なことに、ゴーレムカスタマイズの必要器用値を下げることは効果の範囲外だったので、より強力なゴーレムを作れるというようなことにはならない。だがそれでも、今までの10倍の数のゴーレムを作れるようになるというのは、剛志にとってとてつもないパワーだ。
その事実を実感して、剛志はすごいものを手に入れたと、少し遅れて理解したのだ。
その興奮を皆に共有するべく、地下82階に降りたあと、剛志は自身のステータスの強化具合を仲間に共有する。
「やばいよ、めっちゃ強化されてる!」
珍しく剛志が語彙力がなくなるほど興奮していることを理解し、どんな具合かを確かめようとする臼杵。
「おいおい。落ち着けって。落ち着いた上でどうやばいのか教えてくれ」
「そうだね。ごめん。ちょっと興奮しすぎたよ。簡単にいうと、今までの10倍ゴーレムが作れるようになったって感じ」
その言葉に続けるように、より詳細なスキルの効果をメンバーに剛志が伝えると、だんだんと皆、呆れたような反応を示した。中でも臼杵が代表して剛志に話しかける。
「お前さんは全くよ。どれだけゴーレムを作れば気が済むんだ?今でも異常なまでのスピードなのにも関わらず、これからより大量に作れるのかよ。もうすでに訳わからない強さが、より強化されたって感じだな。しかし、そのスキル、剛志以外がもらっても、せっかくレベル1000になるまで頑張ったにしちゃ微妙だよな。剛志にはピッタリだけど」
そう呟く臼杵に、万葉が補足を話す。
「おそらく、剛志だからのスキルじゃないかしら?まだレベル1000になって最上級職になった人の数が少ないからリソースが少ないけど、皆、その人に合ったスキルが手に入ったということを聞いたことがあるわ。私は少なくとも使えるスキルだったわ」
そう万葉が言うと、同じく最上級職の臼杵とミアも、思い返すように斜め上を見上げる。
「俺も言われてみればそんな気がするな」
「私も、そうだと思う」
「ま、三人は元々戦闘職だから強力な武器になるスキルが生えても違和感を感じなかったんだろうね。俺の場合、どちらかというと非戦闘職だから、一見すると微妙なスキルが出てきて違和感を感じたってところなんじゃない?」
そんな剛志の考えは、あながち間違っていないように思える。今までもダンジョンというものが探索者個人に対して、都合がいいような報酬を用意していたケースはかなり多く、探索者達の動向を観察、ないしは監視しているのではないかという論文すら存在するのも事実だ。
しかし、結局のところそんなものを気にしている意味はなく、今の剛志にとってはゴーレム創造主になったことで手に入れたスキル、ゴーレム作成補助が、名前のダサさ以外は最高のスキルであるという事実のみが重要だ。
『マスター、新スキルの使用感の確認は後にしますか?もしそうなら先にこの階層の探索を始めてしまいますが』
剛志はイチロイドからそう言われたことで、今の目的を思い出した。
「ああ、そうだね。使用感の確認なんかは探索してもらっている間にできるし、先に探索を進めちゃおうか」
そう言うと、ここまでくる途中に回収したCゴーレム達をどんどん解放し、そのまま横浜第三ダンジョン地下82階層の探索を始めた。
剛志が放ったCゴーレム達をイチロイドが操っている間に、剛志は早速、新スキルの使用感を確認する。
「せっかく手に入れた新スキルだけど、一回一回発動するタイプではなく常に発動しているパッシブ型だから、やること自体は同じなんだけどね」
そんな軽口を叩きながら、剛志は早速Cゴーレムの作成を始める。
いつものように魔石変換器を取り出し、魔石を投入する。そして、その機械に触れながらゴーレムの作成を始める。
材料はいつもの10分の1。元々10未満のものは1以下にはならないため、最小の1個に減る。そして、消費するMPもいつもの10分の1だ。剛志自身のMPは魔石変換器を使うことで元々1しか消費しないが、それは残りを魔石で補っているにすぎない。なので、今回から魔石の消費量が10分の1に減っていた。
そもそも剛志のMPを全て消費するほどのゴーレム作成は、時間が足りなくてできていなかった。しかし今回はここが大きく違う。作成の時間も今までの10分の1になっているのだ。それによって早送りのようなスピードでゴーレムが作成され、剛志の精神的にもかなり楽になっていた。
これでもすでに剛志のMPを全て使い切るほどのゴーレム作成は現実的ではないのだが、それでも今までの10倍のゴーレムを作れるというのは、とんでもないパワーアップに違いはない。そのスピード感を実感した剛志は、そのまま集中したようにゴーレムを作り続けるのだった。
「剛志のやつ、完全に集中してやがるぜ。ああなったらほっとく方がいいな」
剛志の集中っぷりを見て、臼杵がそう呟いたのを皮切りに、剛志以外のメンツは前回と同様に、剛志の周りで休憩しつつ、周囲の警戒を始めた。
そして、剛志のゴーレム作成は、イチロイドが地下82階層の探索を終えたことを教えるまで続いた。
『マスター、階層の探索が完了いたしました。今回の階段の場所は約10kmほど西に行ったところでした』
「…ん?ああ、ありがとう。ちょっと集中してたよ。待ち時間が減ると、サクサク作れていいね。でも逆にどんどん作れるから、いつもより疲れはするね…」
新しいおもちゃを手に入れた子供のように、ゴーレムを作り続けた剛志。いきなり強くなるというスキルではなかったが、確実に剛志の強さをワンランク上げた新スキルの存在は、ダンジョン攻略にどれだけの影響を及ぼすのか。それが体感できるのは、もう少し後の話になるだろう。
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