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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
鎌倉ダンジョンとゴーレム

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第177話 コンポジットブロックゴーレム

鎌倉ダンジョンの森の中にぽっかりと空いた、自然の円形広場。


巨木の幹が輪を描くように並び、その内側だけ空気の流れがやわらかい。

頭上の葉の天井から漏れる光が、落ち葉と土をまだらに照らしていた。


ついさっきまでジャイアントゴブリンの群れを狩っていたとは思えない、静かな空間だ。


ヘキサボードはそこを仮の作業台兼ベンチにするように、地面すれすれで停止している。

ゴーレムの足回りから伝わっていたわずかな振動も収まり、ようやく「腰を落ち着けて考え事をしていい時間」がやってきた。


「……さてと。」


岩井剛志が、ヘキサボードの縁に腰を下ろしながら息をつく。


「ゴーレム鎧とナノゴーレムの振り返りも終わったし、そろそろ“次”を形にしようか。」


『次、とは“合体前提のゴーレム”の件ですね。』


「うん。今回はその、“合体前提のゴーレム”を一つの形にしよう。」


そう言って、剛志は手を軽く前方にかざした。


「ゴーレムクリエイト――設計図モード。」


そう呟いた瞬間、剛志の視界の中に、半透明のウィンドウが幾枚も展開される。

空気に直接描かれた設計図のように、線や数値、スキルの候補が並んでいく。


「まずは“コンセプト”から固めようかな。」


剛志はウィンドウに視線を落としつつ、二人に向き直る。


「やりたいのは、ブロック状のゴーレムを、好きな形に組み替えて使う方式。

 一体一体が小さくて、合体前提で動くゴーレム。」


「ゴーレム鎧の“もっと汎用性特化版”みたいなやつか。」


臼杵が腕を組む。


「鎧は最初から“人が着る形”で設計してあったけど、今度は形に縛られない……“パーツ”前提ってことだよな。」


「そうそう。合体してもいいし、バラバラのままでも使える。でも、合体したときに真価を発揮するタイプ。」


『パーツ単位で役割を分けるのはどうでしょう。』


イチロイドが提案を挟む。


『中枢制御用、骨格・フレーム用、防御用、魔導用……など、基本となる数タイプを定義し、それらの組み合わせで様々なフォームを構成する設計です。』


「それいいね。じゃあまず、“核”から決めようか。」


剛志は設計図ウィンドウの一つに指先で触れた。

何もなかった空間に、小さな立方体のシルエットが描かれる。


一辺五〜十センチほどのブロック状。

六つの面の中心に、小さな魔力の紋様を描き込んでいく。


「サイズは、このくらいの小型ブロックで。六面全部に“魔力結合用の接続面”を持たせる感じにしようかな。」


「物理的に凸凹をつくるんじゃなくて、魔力でくっつける感じか。」


臼杵が覗き込む。


「イメージとしては……近づけると引き合うけど、その磁力を魔力で自由に調整できる、みたいな。」


「うん、そのニュアンスが一番近いかな。

 接続強度を上げればガチガチに固定、弱めれば関節みたいに動かせるみたいな。」


設計図上のブロックの面が、淡い光で縁取られていく。

六面すべてが、“結合インターフェース”として扱えるようになっていく。


『移動手段はどうしますか。』


「全ブロック、空中移動持ちで。

 単体でもふよふよ動けるように。」


『了解しました。共通スキルとして【魔力結合】【空中移動】【負荷分散】を登録します。』


ウィンドウにスキル名が追加され、淡い光で強調された。


「で、“核”になるタイプは、制御と魔力運用に特化させたい。」


剛志は、先ほど描いたブロックに“CORE”の文字を乗せる。


「合体時にフォーム全体の“脳”と“心臓”になるやつ。

 イチロイドの命令を受けて現場調整もしてくれると嬉しいよね。」


『では、制御系と魔力循環系のスキルを追加しましょう。』


イチロイドが、設計図の上でさらさらと文字を書き込んでいく。


【スキル候補】

・魔力結合

・空中移動

・負荷分散

・制御中枢

・魔力循環

・即席フレーム


「即席フレーム?」


話に出ていなかった単語を見て臼杵が疑問の声を上げる。


「合体パターンのテンプレを登録しておいて、“この型に!”って言ったら一気に組み替えるための機能だね。」


「お前、テンプレ好きだよな。」


「効率がいいって言ってほしいよ。」


軽い掛け合いのあと、剛志はコアブロックのステータス欄を開いた。


「ステータスは……こんな感じかな。」


ある程度決めているため、数値がポンポンと埋まっていく。


【ゴーレム名】:コンポジット・コアブロック

【説明】:コンポジットフォームの中核となるブロックゴーレム。合体時には行動制御と魔力循環を担当し、指示を全体に伝える役割を持つ。

【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(コア)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・制御中枢・魔力循環・即席フレーム

レベル:0

HP:1,800/1,800

MP:2,000/2,000

攻撃力:400

防御力:700

器用:1,300

速さ:600

魔法攻撃力:600

魔法防御力:900

【必要器用値:3,000】

【消費MP:1,800】

【消費材料:ブラックアイアン×5・中級魔石】


「……コアにしては結構いい数字だな。」


臼杵が目を細める。


「前に見たゴーレム鎧ほどじゃねえけど、頭脳担当にしては相当強えぞ。」


「合体したときの“全体のボトルネック”になってほしくないんだよね。

 コアが貧弱だと、せっかく他のパーツが強くても足を引っぱっちゃうし。」


『制御負荷もそれなりに高くなりますから、このくらいは必要でしょう。』


イチロイドの声には、僅かに満足げな響きが混じっていた。


 


「次は、“骨格・フレーム”担当だね。」


剛志は別のウィンドウを開き、今度は細長く連結されたブロックのイメージを描いていく。

複数のブロックが直線状に並び、伸びたり折れたりしながら形を変える。


「手足の骨、関節、アーム、脚……そういう“動く部分”全般を担当させる。」


「つまり、リーチと可動域担当か。」


臼杵が頷く。


「さっきみたいな馬鹿でかいゴブリン相手だと、こいつらで足場作ったり、槍みたいに伸ばしたりって使い方ができそうだな。」


『ならば、形状変更と機動力強化のスキルを。』


イチロイドが、スキル欄に二つの名前を書き込む。


【スキル候補】

・魔力結合

・空中移動

・負荷分散

・形状変更

・高速駆動


ステータスも順に埋められていく。


【ゴーレム名】:コンポジット・フレームブロック

【説明】:骨格や関節、フレームを構成するためのブロックゴーレム。魔力結合による接続面を軸に回転・伸縮し、フォーム全体の可動域と機動力を高める。

【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(フレーム)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・形状変更・高速駆動

レベル:0

HP:800/800

MP:700/700

攻撃力:400

防御力:500

器用:1,300

速さ:900

魔法攻撃力:300

魔法防御力:400

【必要器用値:3,000】

【消費MP:800】

【消費材料:ブラックアイアン×2・中級魔石】


「速さ高め、器用高め、防御そこそこって感じか。」


「フレームは“当てるより動かす”が仕事だからね。」


剛志は満足げに頷き、設計図を保存する。


 


「で、次は防御役だね。」


新しいウィンドウに、今度は厚みのあるブロックを描く。

それらが平面状に並び、盾や壁、ドーム状のシールドへと形を変えていくイメージだ。


「ゴーレム鎧の“装甲部分”だけを、ブロックパーツとして切り出した感じにしたい。」


『防御特化、ですね。』


イチロイドがスキル候補を挙げる。


【スキル候補】

・魔力結合

・空中移動

・負荷分散

・硬化

・衝撃吸収


「衝撃吸収?」


「受けたダメージの一部を、“揺れ”として逃がすイメージだね。

 ゴーレム鎧の時も、装甲同士で衝撃を分け合ってなんとか耐えた感じだったし。」


ステータスが次々埋まっていく。


【ゴーレム名】:コンポジット・シールドブロック

【説明】:防御に特化した装甲ブロックゴーレム。広い面積で衝撃を受け止め、魔力結合によって壁や盾、ドーム状のシールドとして運用できる。

【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(シールド)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・硬化・衝撃吸収

レベル:0

HP:2,500/2,500

MP:600/600

攻撃力:300

防御力:1,600

器用:700

速さ:400

魔法攻撃力:100

魔法防御力:1,000

【必要器用値:3,000】

【消費MP:900】

【消費材料:ブラックアイアン×8・中級魔石】


「おお、防御はやっぱり高めだな。」


臼杵が思わず笑う。


「数並べてドームにしたら、ちょっとやそっとの全体攻撃じゃ割れねえだろ、これ。」


「権蔵のタイタン自爆級はさすがに読めないけど……

 普通のフロアボス級なら十分対抗できそうだね。」


剛志は、設計図上のシールドブロックを何枚も並べ、その上に“硬化”の文字を重ねていく。


鎌倉ダンジョンの巨木の輪の中に、新たな防御手段のイメージが少しずつ形を取り始めていた。


 


「で、最後。」


剛志は深呼吸を一つし、別のウィンドウを呼び出す。


「どうせやるなら、俺の“得意戦法”も入れたいんだよね。」


そこに描かれたブロックには、他と違い、面ごとに微細な魔法陣の紋様が刻まれていく。


『魔導特化タイプによる集団魔法ですね。』


イチロイドがすぐに理解を示す。


『複数の魔法スロットを持ち、複数体が集まることで集団魔法を実現するユニット……と。』


「今までみたいに、“魔法ゴーレム大勢で同時詠唱”ってのを、もっと整理してやりたくてさ。」


剛志は、胸の中にあるイメージを言葉にしていく。


「単体では“小型魔導砲台”。

 複数集まると、集団魔法で強力な魔法攻撃をできる感じに。」


『では、スキルは……』


【スキル候補】

・魔力結合

・空中移動

・負荷分散

・多重詠唱

・魔力増幅

・魔導陣形成


ステータス欄が埋まる。


【ゴーレム名】:コンポジット・マジックブロック

【説明】:多重詠唱と魔法火力に特化した魔導ブロックゴーレム。単体では小型の魔導砲として動作し、複数体が魔力結合することで魔導陣を形成し、集団魔法を行使することができる。

【ステータス】

名前:

種類:コンポジットブロック・ゴーレム(マジック)

スキル:魔力結合・空中移動・負荷分散・多重詠唱・魔力増幅・魔導陣形成

レベル:0

HP:700/700

MP:2,200/2,200

攻撃力:200

防御力:400

器用:1,000

速さ:500

魔法攻撃力:1,600

魔法防御力:900

【必要器用値:3,400】

【消費MP:2,200】

【消費材料:中級魔石×2・トレントウッド×3】


「こっちは火力特化ってことだな。」


臼杵が苦笑する。


「攻撃力とか防御は普通なのに、魔法攻撃だけ高めだな。」


「うちのエースは魔石砲台だからね。

 ここは妥協できないところだしね。」


剛志は、自分でも笑いながら頷いた。


 


四種類のブロック――


コンポジット・コアブロック。

コンポジット・フレームブロック。

コンポジット・シールドブロック。

コンポジット・マジックブロック。


――その設計図が、森の中に淡い光を放ちながら並んでいる。


「よし、だいたいイメージは固まったかな。」


剛志は深く息を吸い、手を前に突き出した。


「じゃあ、実体化してみよう。」


ウィンドウに指先を滑らせ、「確定」の文字に触れる。


「ゴーレムクリエイト。」


小さな声と共に、設計図の光が収束し始めた。

四つの設計図から、魔力の粒子が剝がれ落ち、空間の一点に集まっていく。


やがて――


ふわり、と一つのブロックが姿を現した。

一辺五〜十センチほどの金属質の立方体。

六つの面の中心には、先ほど設計した通りの魔力紋が刻まれている。


『コンポジット・コアブロック、実体化を確認しました。』


イチロイドが告げる。


続けて、フレーム、シールド、マジック――それぞれの設計図が光を放ち、同じようなブロック状のゴーレムが次々に生み出されていく。


宙に浮かぶ小さなブロックたちが、森の輪の中でゆるやかに漂った。


「……なんか、ちょっとした工房みたいだな、ここ。」


臼杵の感想に、剛志も頷く。


「まあ、俺自体が移動式の工房みたいなもんだしね。」


「それもそうか」


そんな意味のない会話を遮るようにイチロイドの真面目な声が響く。


『動作テストを開始します。』


イチロイドの声と同時に、ブロックたちがふわりと動き出す。


コアブロックを中心に、フレームブロックが吸い寄せられ、棒状に連結される。

シールドブロックが面を揃えて並び、小さな盾のような形を作る。

マジックブロックが円形に配置され、その内側に薄い魔導陣が一瞬だけ浮かんでは消える。


「……うん、いいね。」


剛志はその光景を見ながら、満足げに頷いた。


「こいつらを全部まとめて、“コンポジットブロックゴーレム”って呼ぼう。」


「名前はシンプルなんだな。」


「機能が複雑だから、名前くらいは分かりやすくしとかないとね。略してCゴーレムだ。」


『了解しました。』


イチロイドが静かに応じる。


『本ユニット群を“コンポジットブロックゴーレム”、略称”Cゴーレム”として登録し、以後の運用データを別フォルダで管理します。』


鎌倉ダンジョンの巨木の輪の中。

新たに生まれた小さなブロックたちは、まだぎこちない動きながらも、確かに空を滑り、形を変え、魔力を巡らせていた。


それは――


岩井剛志というゴーレム使いが、自分だけの答えにまた一歩近づいた瞬間でもあった。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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