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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
剛志強化プロジェクト

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第169話 ゴーレムvsゴーレムその3

新しく出てきた“搭乗型ゴーレム”に乗り込む権蔵。そのゴーレムの図体はおおよそ10mほどで、形としては乗り込むロボットとは言ったが、いわゆるロボット然とした見た目ではなく、単純にゴーレムの内側に乗り込むスペースがあるだけの構造だ。


しかしそのゴーレムは権蔵が内部に乗り込むスペースを確保するためか、護衛として出していたどのゴーレムよりも巨大で、どことなく人間に近いシルエットをしている。そしてゴツゴツしていてずんぐりむっくり、胴体部分が最も分厚い。


そんな“搭乗型ゴーレム”だが、その性能は今までのゴーレムたちと比べてもそん色なく、引き続き続いているゴーレム鎧たちの波状攻撃に、護衛のゴーレムとともに自らも参戦して対処し始めた。


今まさに、ゴーレム鎧のうちの一体が“搭乗型ゴーレム”に掴まれたところだ。


「ちょこまかと小賢しい。どうせお前さんの攻撃は今のわしには効かんのだ。おとなしくすっこんどれ!」


そう言って、掴んだゴーレム鎧を反対の手で握りつぶそうとする権蔵。しかしそれは、ゴーレム鎧の緊急脱出によって回避された。


だが権蔵の言っていること自体は正しい。先ほどまでは護衛に守られていなければ権蔵は確実に倒されていた。しかし今では護衛のゴーレムが漏らした分を本人自体が処理できるようになった。この差は非常に大きい。


とはいえ、完全に主導権が移ったかというとそうでもない。理由は二つ。ひとつは“搭乗型ゴーレム”だけでは心もとないのか、依然として4体の護衛ゴーレムを外せていないこと。もう一つは、権蔵は今の剛志の位置を正確に把握できていないということだ。


位置を把握されていない――この一点だけでも、剛志側がどれほど有利か分かるだろう。つまり現時点で権蔵の“勝利条件がない”ということだ。


権蔵との勝負は、彼が策もなく正面からやってきた時点で、ほとんど決していたと言っていい。A.B.Y.S.S.の面々が怒るのも無理はないだろう。権蔵の傲慢さが、必要のないデメリットを自ら生み出し、そして今まさに敗北しようとしているのだから。


こうして見ると、権蔵という男が哀れに思えてくる剛志であった。


ことダンジョン探索という面で言えば、基本的にダンジョンは個人に合わせて対策をとってくるわけではない。そのため今回のように“完全に対策を取られて後手後手に回る状況”になることはなかっただろう。


そして、本来の真正面からの戦闘であれば、権蔵という男はとてつもない強敵だ。圧倒的なパワーと、最後には自爆で追撃を与えるゴーレムたち。そして作り直すことで、ある意味“無限の軍勢”を誇る。


加えて、先ほどからもがき続けている超巨大ゴーレム。これはそれ単体で戦況を覆すほどのとんでもない怪物で、相手がどれほど対策を練ろうと、力業でねじ伏せてしまうだけの潜在能力を持つ。


対してイチロイドは、それを“倒す”という方向からは逃げ、まともに戦わない・戦わせないという戦法によって無力化しているにすぎない。


そして最後の切り札“搭乗型ゴーレム”。これもゴーレム使いの弱点である本体の戦闘力不足を補って余りあるもので、今もなお剛志のゴーレム鎧たちによる波状攻撃にもびくともしていない。


こう思い返してみると、もし権蔵が“奇襲で”現れて剛志を襲っていた場合、剛志が生き残れた可能性はかなり低かったのではないかとすら思えてくる。


もちろん臼杵や万葉の援護もあるし、いざとなれば身代わりゴーレムで耐えることもできる剛志なので、ある程度は善戦できただろう。しかし、あれだけの超巨大ゴーレムを気づかれず至近距離でいきなり召喚されていたら――控えめに言っても“詰み”だった。


そんな権蔵であるが、今回は正面からやってきてくれた。なぜそんな愚行をしたのかは本人のみが知るところかもしれないが、そのおかげで剛志たちは十分な準備をすることができたのだ。


そしてこちらには“最強頭脳”イチロイドがいる。権蔵が登場してからの言動、戦い方、ゴーレムの特性、戦闘力――あらゆる情報を今もなお吸収し続けながら、これから権蔵が取りそうな行動を“計算で導き出し”、先回りするという離れ業を行っている。


その戦闘予測の精度は、もちろん情報があればあるほど高くなる。つまり何が言いたいのかというと――すでにかなりの精度で権蔵の行動はイチロイドに筒抜けだったのだ。


「『マスター。新規情報も組み込み、作戦を再構築いたしました。問題ありません、対処可能です。』」


「わかった、じゃあお願い」


「『かしこまりました。ではこれより相手の制圧に移ります。一点だけ懸念材料がありますので、それだけはご注意ください』」


「ん? 懸念材料って?」


剛志がそう聞くと、イチロイドは唯一こちら側にとって嬉しくないパターンの可能性を伝えてきた。


それを聞き、息を呑む剛志。


「…確かに、それは嫌だね。そうならないよう祈るしかないのか…」


「『こちらでも準備は進めておきますが、まったくの被害ゼロとは断言できません。私としては、そうならないうちに決着をつけたいと考えております』」


そう言うイチロイド。剛志もその言葉を受け、気合を入れ直し戦況を見守ることにした。


これだけ状況分析に長けているイチロイドですら“懸念”を示す――それは逆に言えば、権蔵がそれほどの強敵である証明でもあった。


その性格が災いし、窮地に立たされていた権蔵だが、“搭乗型ゴーレム”で自身の周囲を覆ったことで少しだけ頭が冷えてきていた。


「(クソ……若造にいいようにやられておる。こちらがしたいことを悉くかき回して潰してくる。真正面から戦えばわしの圧勝だというのに。むかつくのう……むかつきすぎて息苦しくなってきよったわい)」


搭乗型ゴーレムの内部で戦況を分析し、自身の行動がすべて後手に回っていることを改めて認識する権蔵。しかしここで引き下がるような男ではない。今の状況からの打開策を考える。


「(今いちばんの問題は、本体にうまく隠れられているということだ。先ほどから追加戦力はどこからか投入されているため、この階層にはいるだろう。しかし――その場所が分からん。どうにかして探さんと……いっそのこと“すべて”をぶち壊してしまうか!)」


そんな悪魔のような発想に至った権蔵。

果たしてどんな暴挙に出るつもりなのか。


イチロイドの先読みと権蔵の悪あがきによる戦いは、ついにクライマックスへ差し掛かろうとしていた。


本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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