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ゴーレムの可能性は無限大 〜副業で探索者になったら職業とスキルの組み合わせが良過ぎたみたいです〜  作者: 伝説の孫の手
剛志強化プロジェクト

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第168話 ゴーレムvsゴーレムその2

超巨大ゴーレム“タイタン”。はじめはどうやって勝つかの想像すらつかないほど、圧倒的な存在感を誇る化け物ゴーレムだったが、これもイチロイドの頭脳をもってすれば解決の糸口を見つけることができた。


その証明のように、今まさにその巨体が地面に倒れている。「ズドン」と、とてつもなく重い物が倒れたことによる一種の爆発のような音が響き渡り、土煙が立ち込める中、ここまでを計画通りに進めていた剛志とイチロイドは、そのまま作戦を継続する。


この土煙を利用して姿をくらませた剛志のゴーレムたちが、一斉に動き出したのだ。


今回の戦闘に使用されているゴーレムは、主に機動力に秀でたタイプである。相手が小回りの利かない巨体であることから、相性差を考慮して採用されていた。


その機動型ゴーレムとして選ばれたのが、いわゆる“ゴーレム鎧”と呼ばれるゴーレムたちだ。


これは先日、剛志のゴーレムたちを現時点での最大性能までアップデートしようという意図で見直しを行ったところ、イチロイドの処理能力をもってすればさらにパーツを細分化できることがわかり、全身をおよそ100~200体のパーツ群で構成されるゴーレムの集合体が生まれた。


一体一体ができることは限られているが、力を合わせることができ、各々が空中移動も可能なため、おのずと機動力にも秀でている。そんな構成によって、単純計算でこれまでの剛志のゴーレムたちの100倍近いステータスを誇るゴーレムが爆誕するという、とんでもない改革がサイレントで行われていたのだ。


そんなゴーレム鎧たちがざっと30体ほどおり、それらが現在、縦横無尽に宙を舞っている。


その目指す先はもちろん権蔵だ。


タイタンが倒れるという、かつてない事態に戸惑いながらも、かなりの高さから落ちたというのに本人にはダメージがなさそうだ。さすがは高レベル探索者といったところだろう。しかし、その本体は今まさに無防備である。そこに高速飛行して一体のゴーレム鎧が近づく。


ゴーレム鎧の周囲に空気が押しのけられ、風の流れが生じ、パッと土煙に穴が開いた次の瞬間、権蔵の目の前には一体のゴーレム鎧が姿を現していた。


このゴーレム鎧はどれも同じ姿かたちをしているため、権蔵からすると剛志本人が突っ込んできたように錯覚する。そして、そのままゴーレム鎧がパンチを繰り出すが、それは権蔵の横に展開されていたゴーレムによって阻まれた。


さすが権蔵といったところか。状況がつかめていない中でも、しっかりと自身の周囲にゴーレムを配置しており、守りを固めていた。そしてそもそも、いくらゴーレム鎧が高ステータスを誇るとはいえ、権蔵が作ったゴーレムにバーサーカーが付与されている方が強い。そのため簡単に攻撃は防がれ、そのまま逆に正面からの蹴りがゴーレム鎧に叩き込まれた。


「はっ! まさかタイタンを倒すとは恐れ入ったわい。これは想定外じゃな。しかし、間抜けにも本体で攻めてくるとは舐められたものよ。その慢心が命取りじゃ。まあ、それだけの気概がある者は嫌いではないがのう!」


先ほどとは打って変わって、楽しげな様子を見せる権蔵。やはりこの男は、どこまで行っても戦いが好きな戦闘狂なのだ。むしろ、自分が有利な状況よりもピンチに立たされている今の方が、生き生きしている。


そして、権蔵のゴーレムによって吹き飛ばされたゴーレム鎧がそのまま土煙の中に消えていくのをよしとしなかった権蔵は、追撃のためのゴーレムを用意していた。


先ほど蹴りを放った権蔵の目の前にいたゴーレムとは別の個体が、瞬時に吹き飛ばされたゴーレム鎧の進行方向に回り込み、そのまま飛んできたゴーレム鎧を両腕で叩きつけようとする。


しかし、ゴーレム鎧はこのままでは攻撃を受けると判断し、緊急脱出――つまり各パーツの結合を解除し、バラバラになることを選択した。するとどうだろう。まさに叩きつけ攻撃が行われたその瞬間、パーツ間に大きな隙間が生まれたゴーレム鎧は、そのまま攻撃をすり抜けるように通り抜けてしまった。


前の蹴りによる勢いも残っていたため、ゴーレム鎧は権蔵から遠ざかっていき、いくつかのパーツは回り込んでいたゴーレムの胴体に当たったものの、致命的な追撃は回避することができた。


「なんだと⁉」


のうのうと現れた愚か者がこれで終わりだと思っていた権蔵は、その様子を見てまたしても驚愕する。


そこに剛志は、あざけるような演技で権蔵をさらに挑発する。


「さっきも“罠にはまった”って言ってあげたのに、まだわからないんですか? あれは私のおとりです。ゴーレム使いなのに本体がバカみたく突っ込むわけないでしょうが。どこかの誰かさんと違って」


その間にも、吹き飛ばされたゴーレム鎧は若干パーツを欠損しているものの、再び結合し、元の姿に戻っていた。そして、これと同じ構成のゴーレム鎧が全部で30体近く存在している。つまり、この波状攻撃が今まさに開始されようとしていたのだ。


そして、剛志の発言を皮切りに、イチロイドの指揮のもと、タイミングをずらしながら複数のゴーレム鎧たちが波状攻撃を開始する。するとどうだろうか。一体だけでは防ぎきれない攻撃に対し、権蔵は合計4体のゴーレムを自身の上下左右に召喚し、守りを固めるしかなかった。


これによって権蔵は、貴重なゴーレムの枠を4つ消費したことになる。先ほどまでの戦闘でも、一度に10体ほどしかゴーレムを召喚していなかったことから、若干数を隠しているとしても、全体で動かせるゴーレムの最大数はおおよそ13体だと推測できる。10体以上の枠数についてはあくまで予想であるが、剛志自身のレベルや所持上限の推移から考えて、そこまで大きな誤差はないはずだ。


そうなるとどうなるか。全体の約3分の1のゴーレムが、権蔵の周囲で釘付けになってしまったということだ。これだけで、戦力が約3割削れた計算になる。いまだ作戦は順調に進行中だ。


また、波状攻撃を行うことにはもう一つのメリットがある。それは、敵のゴーレムを権蔵の周囲に留めておくという点だ。そうすることで、自爆による攻撃や、所持枠のリセットが不可能になる。つまりは、どういうことかというと――このままバーサーカーの効果が切れるのを待つだけで、権蔵は無防備になるということだ。


これでさらに、権蔵としても何らかのアクションを起こさざるを得なくなった。そして、戦闘とは往々にして、動きを強いられた側が不利になるものだ。ましてや、相手が動きを予測してくるイチロイドのようなタイプならなおさらである。


次に権蔵がとった行動も、イチロイドの予想通りだった。タイタンの起動だ。


タイタンは今、倒れて無様な姿を晒してはいるが、やられたわけではない。まだ動くことができるのだ。


そこでまず、立ち上がろうと地面に手をつくのだが、このあたり一帯は落とし穴だらけである。するとどうだろう、体重をのせた瞬間、その地面は崩れ、またしても体勢を崩す羽目になった。


そしてイチロイドがタイタンに対して講じていた対策は、これだけではない。倒れたことで至るところから登れるようになったタイタンの巨体には、今もなお多くのゴーレムたちが昇っていっており、関節などの脆い箇所を重点的に攻撃している。


さらに、再び起き上がらせないように、タイタンの縁を囲むようにゴーレムたちを配置し、全身を押さえつけていた。これによって完全に封じることはできないが、起き上がる際に必要な力を増やすことができる。そして、もがいているうちに、また落とし穴にはまってしまい、起き上がれない。


まるではめ技のような状況を作り出し、タイタンの動きは完全に封じられていた。


タイタンを動かそうとしてもうまくいかない状況に、若干の焦りを見せ始めた権蔵。ここまでは完全にイチロイドの描いた作戦通りに物事が進んでいる。


だが、権蔵にはまだ“隠し玉”があった。もう一つのスペシャリティだ。


「まさか、こいつまで使うことになるとは思いもしなかったが……まあいい。おぬしのことを格下と侮っておったわ。わしの全力でもって叩き潰してくれるわ!」


そう言って、自身の足元に“ゴーレム異空庫”を展開する権蔵。そしてそこから、全長10mほどのゴーレムが出てきた。


しかし、このゴーレムには少し奇妙な点があった。胴体部分が空洞になっており、まるで口を開けるように大きく開いているのだ。


その様子を不思議がっていた剛志だったが、次の瞬間――なるほどと納得した。権蔵がそのゴーレムの内部に入り込んだのだ。


剛志の場合は、自身の身体に沿うように“鎧”としてゴーレムを纏っていたが、権蔵は“乗り込むロボット”のような形でゴーレムを操るスタイルらしい。


「特別なアイテムを使って作ることができたスペシャリティじゃ。これでおぬしの攻撃も効かなくなるのう。――第二ステージじゃ!」


完全にゴーレムに搭乗した権蔵が、高らかに宣言する。


ここから先は、イチロイドにも未知の領域だ。ここまでは作戦通りだったが、この“搭乗型ゴーレム”の出現により、作戦に修正を加える必要が出てきた。


このゴーレムをどう対処するか――イチロイドの腕の見せ所といったところだろう。



本作品を楽しんで頂きありがとうございます。

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