表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/99

1章14


魔族が訪れる7日目となる今日は、村人達も狩りに行かずに村にいた。皆常に武器を持ったままだったが穏やかな時間を過ごしているように見える。


昼食の片付けが終わると、俺はおじさまAのテントに呼び出された。エールも一緒だ。

おじさまがゆっくりと俺にわかるように話をする。数分かけて聞き取った内容はこうだった


「魔族が来たら我々は戦う。お前はその間に逃げろ」


戦う前から決死の戦闘になると理解しているのだろう。俺を逃がしてくれるらしい。


よくよく考えると、村人達はどうして俺の言うことを信じたのだろうか。普通に考えて、よくわからない余所者が予言みたいなことをしたら、普通は詐欺か狂言だと思うだろう。でも、村人達はよっぽどのお人好しなんだろう。


だが、俺の気持ちは1つ


「俺も戦うよ」


槍の振り方も教わってしまったしな。村人たちも事前の備えがあるし、今回はなんとかなりそうな気がする。


そして、日は傾き、いつもどおり黄昏時に魔族は現れた。


戦いが始まってすぐのことだった。


「ぬわぁああああ」


俺は焼け死んだ。



戦闘開始直後なので、後方をうろちょろしていただけだったが魔族が放った魔法を避けきれなかった。

こんなに早々に死んでしまっては、戦いの結果がわからない。戦闘開始直前からやり直そう。



そこから優に10回以上は魔族との戦闘をやり直した。

結果は惨敗。まったく歯が立たなかった。


いや、この前と同じように善戦はしているし、村人達の動きも若干よくなっている気がしたが、攻撃力が足りないのか致命傷を与えられないのと、俺が完全にいらない子だ。どうやら槍を持って参戦すると敵認定されるようで近づく前に焼き払われる。槍の練習をした時間を返してほしい。

また、乱戦中に手ぶらでゆったりと近づこうとしても、半信半疑といった顔で焼き払われる。敵か味方かわからないけど、念のためという気持ちで殺すのはやめてほしい。まぁ敵で正解なんだけど


色々と試した結果、最初に戦った時と同じようにエール以外が全滅するまで身を潜めて、エールに不意打ちさせる攻撃が最もダメージを与えられるようだ。だが、それでも致命傷にはならない。


今回のやり方ではダメということだろう。魔族の目的を探るために、村人が全滅するまで隠れてみたが魔族は特に何かを探す様子もなかった。


俺が魔族の接近を知らせたのが3日目だったので、今度は初日から伝えてやり直してみることにした。


エールとおじさま達が口論をして、エールが俺をテントに連れて行き自己紹介する。

いつもならその後エールが芋もちを取りに行くが、俺はそこでエールを引き留め、魔族のことを話す。


だが、そこからの流れは前回と同じだった。チーム分けをして狩りに行くのとおじさまBがいなくなる。

そういえばおじさまBはどこに向かったのだろうか。


結構大事なことの気もするが、魔族が来る頃には間に合わないので、とりあえず放置でいいだろう。

いや、もうすべての疑問や煩わしさの原因は言葉が通じないことだと再認識しよう。

言葉がわかれば何でもできる。そんな気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ