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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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402/621

402:73-2

【AIOライト 73日目 17:45 (満月・雨) ドウの地・北西の森】


 西の荒野を移動し続けること半日。

 レティクルさん、ミストアイランドさんの鳥型ホムンクルスとシュヴァリエのバルテンペッタの三体による索敵で殆どのモンスターを先んじて発見、そこから更にネクタール、レティクルさんとロラ助の妖精型ホムンクルスによる隠蔽を組み合わせることで、俺たちは満月の日であるにも関わらず、ほぼ戦闘になる事は無かった。

 そして仮に戦闘になっても、俺、グランギニョル、シュヴァリエ、ロラ助と火力が十分過ぎるほどに揃っていたため、新たな敵を招く事がないような短時間で戦闘は終了した。

 まあ、考えてみればグランギニョルとシュヴァリエの二人は戦闘を主としている上にレア度:4の武器を持ったプレイヤーな上に、今はネクタールと俺と言う敵のヘイトをほぼ完璧に集められる存在が居る。

 そこにレティクルさんとミストアイランドさんの補助に、細かいところに気が利くロラ助の組み合わせだ。

 今更、ワンダリングではない普通の特性:プレンのモンスターでは相手にならないのは当然なのかもしれない。


「さて、此処からが本番ね」

 で、直に日が暮れようかという頃。

 俺たちはドウの地・北西の森に到達。

 まだ多少緑が増えてきた程度ではあるが……うん、此処からでも分かるな。

 この先の木の密生具合はヒタイ南の森林など比でないぐらいに濃い。

 間違いなく北西の森の中は天然の迷路と化しているし、昼間であってもきちんと探索するのであれば照明が必須となるだろう。


「ただまあ、此処から見てもらっても分かる通り、とてもじゃないけど日が落ちてからの探索をしていいようなマップじゃないわ。と言うわけでゾッタ兄」

「ん?ああ、分かった」

 俺は一度周囲を見渡して、こちらに視線と言うか感心を向けている存在が居ないかを一応ではあるが確かめる。

 で、そう言う存在は……うん、別次元からこちらを見ているGMぐらいだな。

 なら問題はないだろう。


「ネクタール」

「ーーーーー」

 と言うわけで俺はネクタールを展開して全員を包み込むと、ヘスペリデスへと移動した。



----------



【AIOライト 73日目 17:49 (満月・雨) ドウの地・北西の森-ヘスペリデス】


「よし、移動完了っと」

 ヘスペリデスに無事移動した俺はネクタールを元のサイズに戻す。

 そして夕暮れのヘスペリデスを見たロラ助たちだが……


「本当に別世界みたいだ……」

 ロラ助は唖然としていた。

 たぶん、これが普通の反応なのだろう。


「事前に情報は集めていましたが……実物は想像をはるかに超えますね」

 ミストアイランドさんは薄く笑みを浮かべつつ、眼鏡を怪しく光らせている。

 ちょっと怖い。


「……」

 レティクルさんは……特に反応らしい反応は見えない。

 ただ何となくだが、興奮しているように感じる。


「うーん、何度来ても本当別次元としか感じないよねぇ」

「まあ、師匠だし。GMがあれこれ手を加えちゃうくらいだし」

「キュイ」

「カー」

「広すぎて私もまだヘスペリデスの中を全部回れていないくらいなんですよね」

 シアたちの様子は……まあ、特に変わりない感じだな。


「とりあえず時間も時間だし、夕飯にしよう。食堂に行くぞ」

「あ、はい、マスター」

 俺たちはミニラドンたちが今日一日の仕事を終え、屋敷の中に帰っていくのに合わせるように、屋敷へと向かって歩き出す。


「ゾッタさん、畑の方に採取ポイントが幾つか見えるのですが」

「ん?ああ、この畑はそう言う施設だからな。何が採れているのかの確認はまだしていないが……とりあえず今晩の飯の材料ぐらいは大丈夫なんじゃないか?」

「腕の振るい甲斐がありそうですね」

「ああ、楽しみにしているぞ。シア」

 ミストアイランドさんの言うとおり、畑の中には幾つかの採取ポイントが見える。

 ただ、ミニラドンたちが採取ポイントから回収していたり、回収していなかったりする辺り、回収するにしてもタイミングと言う物があるのだろう。


「えーと、採れるアイテムのレア度や特性はどうなっているのですか?」

「レア度に特性か。確かGMの話だとレア度の方は俺のレベル依存で、特性の方はヘスペリデスに依存したランダムとか言っていたな」

「ちなみに師匠、ヘスペリデスの特性の数は?」

「9だな。特性:プレン含めれば10だ。で、レア度については……極稀にならレア度:4も有り得るのか?とりあえずレア度:3は拾えているな」

「「「……」」」

 俺は道すがらヘスペリデスで回収できるアイテムについて説明をする。

 するとどうしてかシア以外の全員が若干頬を引き攣らせたような感じになる。


「特性付きのレア度:3がそこら中に転がっている工房って……」

「あの、下手をしなくてもヘスペリデスの方が色々と有用なアイテムが回収出来るんじゃ……」

「正に規格外……」

「やっぱり爆弾が隠れていたわね……」

「師匠ってもう街にもダンジョンにも行く必要が無いんじゃ……」

「一応言っておくが、俺が許可しなければ採取は出来ないし、アイテムの持ち出しも出来ないように設定されているからな」

 うーん、今更レア度:3程度の素材なんて珍しくもないだろうに。

 一体何に驚いているんだ?

 特性にしても勝手に二つ付くから、案外使い勝手が悪かったりするんだぞ。


「ほら、そんなことより屋敷に着くぞ」

 と、そうこうしている内に屋敷に着いたので、俺は正面玄関の扉を開ける。


「お帰りなさいませーご主人様ー」

 そしてラードーンとミニラドンたちが一糸乱れぬ動きでした丁寧なお辞儀を正面から受けた。

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