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「「「っつ!?」」」
「「「ーーーーー!?」」」
反応は劇的だった。
俺が魔力を放った瞬間、三人の男は雷にでも撃たれたかのように背筋を正し、規律正しい姿勢で俺の方を向く。
そして三人の反応に合せるように、俺たちの周囲では数多くのモンスターたちが物音を立てることも厭わず、慌てた様子で俺たちの傍から離れていく。
幼女も……俺に向けて目と口を大きく開けて、呆然としているようだった。
うん、これなら話は早そうだ。
「まずお前ら」
「「「は、はいっ!」」」
「相手が嫌がった時点で勧誘を諦めろ。GMに地獄送りにされるぞ」
俺はまず三人の男に話しかける。
それもただ話しかけるのではなく、以前にあったストーカー六兄弟の一件の動画を見せつつだ。
「す、すみませんでした!」
「以後気を付けます!」
「迷惑をかけてすんませんでしたぁ!!」
三人はその動画と自分たちの手元に届いているGMからのメッセージを見たのだろう。
自分たちの行動の拙さを悟ってくれたのか、三人揃って腰を直角に曲げるような礼をしてくれる。
「分かってくれたならそれで問題ない。それじゃあ……」
「はいっ!失礼します!」
「今後はこのような事が無いように努めさせていただきます!」
「攻略に邁進したいと思いますので、失礼させていただきます!」
そして、俺が何かを言う暇もなく、全力疾走でこの場を離脱。
街の方へと消え去ってしまった。
「……。まあいいか」
本当はもう少し言いたい事が有ったのだが、あの様子なら今後は攻略に専念してくれるだろうし、たぶん大丈夫だろう。
「さて……」
三人の男が茂みの向こうに消えていった頃、俺は幼女の方を向く。
幼女は……
「えーと、マスターこれって……」
「どうしたものかな……」
「……」
何故か地べたに正座し、三つ指をつき、深く深く頭を垂れていた。
「えーと、とりあえず頭を上げてもらっていいか?と言うか、出来れば立ち上がってくれ」
このままでは話も出来ない。
それと誰かに見られた時に、あらぬ噂を立てられかねない。
と言うわけで俺は軽く声をかけてみる。
「は、はい!し、失礼いたします!」
すると先程まで男たち相手に見せていた態度は何だったのかと言うぐらい丁寧な様子で立ち上がり、俺の方を向く。
「ふむ……」
幼女は……銀髪に褐色の肌、青い目と言う組み合わせに、非常に整った容姿を併せ持っていた。
が、弄ってあるのか、元々そう言う顔立ちなのかは分からないが、見た目から国籍が分かるような感じはしない。
装備については……男たちが言っていた通り、胴と脚については初期防具だ。
だが、よく見れば、頭には髪飾り、手には一応ではあるが革のグローブ、耳にはピアスで、腰には矢筒が提げられたベルトがあるし、背中に背負っている弓も恐らくだが初期装備品ではない。
つまり筋金入りの引き籠りでない限り、この幼女は先日のメンテナンスで入ってきたが、攻略をきちんとやっているプレイヤーと言う事になるだろう。
「ひ、貧相な肉体で申し訳ありません。そ、それとも、何か粗相でもあったでしょうか」
彼女について問題点を挙げるならば……やはりその身長か。
俺よりも頭二つ分は低いし、恐らくだが140センチメートルも無い。
現実とゲーム内で身長を大きく変えてしまうと、相応の問題が発生することも考えれば、彼女は現実でも同じくらいの身長と言う事になるのだろう。
そんな幼女が、『AIOライト』内に居るというのは……はっきり言って異常極まりないというか、普通に考えて有り得ない。
これは何かしらの裏があると見ていいだろうな。
「悪いがそう言う方面の興味はない。それよりも名前を教えてくれるか?」
「は、はい!わら……私はリュドミラと言います!『氷河魚の末裔』所属です!」
俺はシアに目配せをして、迂闊に口を開かないように注意を促した上で、幼女……リュドミラに質問をする事にする。
「言葉遣いとかは別に気にしなくていいぞ」
「そ、そう言うわけには……」
「気にしなくていいぞ。それよりどうして子供がこんな所に居るんだ?この間のメンテナンスで抜けられなかったのか?」
「こ、子供ではないのじゃ!これでも成人じゃ!ウォッカだって飲めるのじゃ!」
「へー……」
ウォッカ……ねぇ。
となると国籍の本命はロシア、あるいはその周辺国と言う所か。
しかし、これで成人かぁ……俄かには信じがたいというか、信じちゃいけない予感がするというか……この身長なら成長ホルモン関係の諸々の治療とか受けられる気がするというか……のじゃロリと言うか……うん、やっぱり油断しない方がいいな。
「で、どうしてこの場に居るんだ?」
「そんなものレベル上げに決まっているのじゃ!レベルを上げなければ、神様を探す事だって出来ないと思っていたからの!」
「ほー、神様……」
神様……ねぇ。
何と言うかガンガンヤバい情報が積み重なっていくな。
これ明らかに迂闊に関わっちゃいけない感じだろ。
と言うか神ってなんだ神って、GMの事か?
それならまだ納得は出来なくはないが、アレは神だとしても、明らかに邪神の類だぞ。
「うむ、だが神様探しは今日で一段落なのじゃ。なにせ……」
と、ここでリュドミラは満面の笑みを浮かべる。
その笑みはとても可愛らしい物ではあったが、同時に獲物を狩る狩人のそれでもあった。
そして、そんな事を考えていたが為に、次のリュドミラの行動に対する俺の反応は少しだけ遅れた。
「こうして無事に出会う事が出来たのじゃからな!」
「んなっ!?」
「えっ!?」
そう、俺に抱きつくというリュドミラの行動に。




