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【AIOライト 65日目 15:00 (2/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】
「よし、問題なく着いたな」
「ですね」
「ーーー……」
翌日。
歩速が合わないという事で、他のプレイヤーの同行を断った俺たちは、昨日赤土の沼に着いたのと同じくらいの時刻にはヒタイに帰って来ていた。
「さて、インベントリの方は……」
勿論、敵も襲って来ない中で、底なし沼に気を付けてただ歩くだけでは時間がもったいない。
いや、それどころか会話中や睡眠中であってもただ漫然とそれをしているだけでは無駄が生じる。
そう考えた俺は、昨晩の宿とした自動生成ダンジョンに着いて以降、インベントリ内にあるそれに自身の魔力を注ぎ込み続けていた。
「うん、出来てるな」
「マスター。出来ているって何がですか?まさか……」
「ああ、リジェネミスリルクリスだ」
「ーーー……」
俺は自分のインベントリの中に入っていたリジェネシルバークリス1スタック99本が、リジェネミスリルクリスに変化しているのを、シアとネクタールに見せる。
すると何を思ったのかは分からないが、周囲に他のプレイヤーの目が有るにも関わらず、シアは微妙に頬を引き攣らせ、ネクタールも凄く微妙そうな色に変化している。
うーん、一体どうしたというのだろうか。
「あの、マスター。これってインゴットに戻したりとかは……」
「掲示板で調べた限りでは、一応出来るようだったぞ。まあ、効率は悪いみたいだが」
シアの言葉を受けて、俺は昨日掲示板で調べた知識を思い出す。
さて、その知識によればだ。
種別が道具-投擲になっているアイテムを錬金術の素材として利用する場合には、そのアイテムごとに決められた数のアイテムが必要になるらしい。
で、今回のリジェネミスリルクリスの場合には10本が必要数として求められている。
つまり、このリジェネミスリルクリスをインゴットに戻す場合、混ぜ物をしないのなら20本必要と言う事だ。
「20本……あれ?でもマスター。確かリジェネシルバークリスを作る時は……」
「インゴット二つで10本前後だった。な、効率が悪いだろう」
「ですね」
シアは何故か何処か安心した様子で頷く。
まあそれはさておいてだ。
インゴット一つで20本必要と言う事は、このミスリルのインゴットだけで装備を作ろうとしたら40本も消費することになる。
となれば、わざわざインゴットに戻して何かを作る気ならば投擲具以外の何かに使うべきだろう。
なにせインゴット二つからクリスを作ったら、10本前後にしかならないのだから。
非効率にも程がある。
「それでマスター。この後は?」
「とりあえず携帯錬金炉の作成だな。今回は最初の素材の時点で弄るから、結構時間もかかるだろうしな」
「分かりました。マスター」
そうして俺たちは適当な『巌の開拓者』の支部に入ると、レンタルの部屋の中に入った。
リジェネミスリルクリスについては……まあ、気が向いたら何かに使うとしよう。
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【AIOライト 65日目 15:27 (2/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】
「それでマスター。素材の時点から弄ると言っていましたけど、具体的にはどうするんですか?」
「付与を使って、携帯錬金炉の素材に特性を乗せていこうと思っているんだよ。さて、それじゃあ始めるか」
俺は自分のステータスに問題が無い事を確かめると、倉庫ボックスとインベントリから必要なアイテムを取り出していき、作業を始める。
「ふんふふーん」
まず一つ目。
普通の白い潮の花と倉庫ボックスでずっと眠っていたハイドオクトパスの墨を錬金、秘匿する白い潮の花にする。
「……」
二つ目。
普通のガンカ湖の水と『呪詛招く樹の王』の葉を錬金、呪詛招くガンカ湖の水にする。
「さて……」
三つ目。
普通の赤い沼の泥とバーサークアームの刃片を錬金、狂戦士の赤い沼の泥にする。
「あのマスター。大丈夫なんですか?素材に特性を付与するのはともかく、携帯錬金炉を作るのなら限られし時に眠るもの……自動生成ダンジョンで手に入れたアイテムが必要になると思うんですけど……」
「ああ、そこは大丈夫だ。あの文面ならプレイヤーがどう考えるかによって幾らでも解釈は出来るからな」
「幾らでも……ですか」
「ああ、幾らでも、だ」
そう何も問題はない。
だって特に濃い魔力を込めたリジェネミスリルクリスにしても、俺の魔力の中で幾らかの時間……限られた時間だけ眠っていたからこそ、出来上がったアイテムなのだから。
その証拠にだ。
『5uK0sh1ha JiTyousulunoNya con0klioNo1』
「よし出来た」
「は、早いですね……」
呪詛招くガンカ湖の水とリジェネミスリルクリスは簡単に錬金できてしまった。
で、出来上がったのがこれである。
△△△△△
回復力溢れる刻の雫
レア度:2
種別:素材
耐久度:100/100
特性:リジェネ(回復力を強化する)
カース(傷つけたものを傷つけ返す)
青い左目の涙を元にして生み出された雫。
一人の魔と深く深く繋がってしまった雫の中では時間だけでなく因果すらも捻じ曲がっているという。
だがこれだけではさほど意味はない。
そのため、種別は他の何でもなく素材となっている。
▽▽▽▽▽
「じゃ、次行くぞー」
「あ、はい……」
『kiT3nAkutem0 iWa2un1Ha ilarena!』
回復力溢れる刻の雫が出来るのであれば、もう何も心配はいらない。
と言うわけで、秘匿する白い潮の花と狂戦士の赤い沼の泥を錬金する。
いやはや、流石に俺の錬金レベルが高いだけあって、当時と比べて入力も楽である。
そうして出来上がったのがこれだ。
△△△△△
狂戦士の空の器
レア度:2
種別:素材
耐久度:100/100
特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)
ハイド(認識しづらく、人目に付かない)
潮の花と赤い泥を組み合わせて造り出された器。
だが中身のない器にそれほど価値はない。
そして丈夫ではあるが、中に入れられる物は限られている。
これほど歪な器ならば尚更限られる事だろう。
そのため、種別は容器ではなく素材となっている。
▽▽▽▽▽
「さて、此処からが本番だな」
「特性四つと言う事はそう言う事ですもんね……」
「ーーーーー……」
こうして器と中身は出来上がった。
後はこの二つとアレを組み合わせて携帯錬金炉を造り出すだけである。
だから俺はMPを回復させるためにも、少しだけ待つ。
好機が来るのはもう少し後だと理解しているが為に。




