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【AIOライト 64日目 14:52 (半月・晴れ) 北の湿地】
「やっぱり俺たちの足は速くなっているんだな」
「ですね」
15時ごろ。
俺たちは赤土の沼に辿り着いた。
前回は日が暮れる直前に着いたと思うので、それから考えると、戦闘が無かった事を含めてもなお、俺たちの足は随分と速くなっていると言えるだろう。
なお、当たり前のことではあるが、周囲に俺たち以外の人影はない。
まあ、メンテナンスが開けた直後にこんな面倒な所に来るのは、はっきりとした目的があるプレイヤーだけだろうしな。
「じゃ、採取してくる」
「分かりました。マスター」
俺は適水粉を使用すると、赤土の沼に入り、採取ポイントで採取を行う。
【液体状のアイテムを獲得しました。インベントリ内のリジェネシルバーボトルを使用して回収します】
なお、今回の容器は余っていた銀鉱石から作ったリジェネシルバーボトルである。
勿体無いと思われそうだが、普通の銀鉱石は有り余っている素材なので特に問題はない。
「よし、問題なく採取できた」
「おめでとうございます。マスター」
と言うわけで、これで目先の目標は達成である。
「それでマスター。これからどうしますか?」
「んー、歩いて帰るとなると途中で日が暮れるしなぁ……」
現在の時刻は午後の3時。
出発が午前の9時頃だったはず。
となれば、順当に進んでも片道で6時間。
今から帰るのは無謀と言う他ないだろう。
モンスターに襲われる事は無くても、底なし沼の脅威は変わらずなのだから。
「宿探しも兼ねて適当な自動生成ダンジョンを探した方がいいな」
「どうせなら攻略もしますか?」
「そうだな。ちょっと気になる事もあるし……検証も兼ねて攻略するつもりでダンジョンを探してもいいかもな」
と言うわけで、俺たちは周囲に発生している白磁の扉から、攻略をするのに良さそうな自動生成ダンジョンを探す事にする。
なお、検証と言うのは……ホムンクルスの核についてだ。
掲示板情報やこれまでの経験からして、自動生成ダンジョンのボスをプレイヤー一人で攻略する事によって真球のホムンクルスの核が手に入るのはほぼ間違いない。
が、ほぼ間違いないだけで確実ではない。
だから検証してみようと俺は思っているのだ。
「じゃあ、レア度:1の自動生成ダンジョン探しですね」
「だな」
そうして俺たちは暫くの間、赤土の沼の周囲を探し回り続けた。
【ゾッタは『呑気な湿地の巣』を発見した】
【『呑気な湿地の巣』 レア度:1 階層:3 残り時間71:59:59】
「ふむ」
やがて俺たちが見つけた自動生成ダンジョンの名前は『呑気な湿地の巣』。
「呑気な……マイナス特性ですか?」
「そうなるな。確か特性:レイシュアと言うはずだ」
特性:レイシュアはマイナス特性の中でも特にマイナスの幅が大きい特性だ。
効果としてはあらゆる行動の速度が大幅に下がり、反応も鈍くなるというもの。
正直なところ、特性を反転させる特性……特性:アンチが無ければ、運用など間違っても出来ない特性である。
「湿地の巣……大丈夫でしょうか?」
「まあ、とりあえず中に入ってみてだな。無理そうなら別のダンジョンを探してみるとしよう」
ちなみに、他にも自動生成ダンジョンは存在していた。
存在していたが……流石に宿と検証と帰り道を兼ねた自動生成ダンジョンでレア度:2や3に挑むのはどうかと思うし、特性:スタンや特性:ジェネレも止めておいた方がいいだろう。
特に後者は普通に死に戻りしかねない。
それらを選ぶくらいなら……沢山モンスターが居るだけの巣の方がマシと言う物だろう。
「じゃ、行くぞ」
「はい、マスター」
「ーーーーー」
と言うわけで、俺たちは『呑気な湿地の巣』に突入した。
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【AIOライト 64日目 15:13 (半月・晴れ) 『呑気な湿地の巣』】
「さて……」
『呑気な湿地の巣』その一部屋目は……
「中々に壮観な光景だな」
「ですね」
「ーーー……」
「「「フシュルルル……」」」
「「「シャアアァァァ……」」」
「「「ベベベベベ……」」」
30を超える数のモンスターが俺たちを取り囲むように屯しており、しかもその全員の目がこちらを向いていた。
種類はレイシュアリザードマン、レイシュアサーペント、レイシュアベロストの三種類。
マーカーは当然ながらアクティブ。
そしてゆっくりではあるが、少しずつ俺たちの方に向かってきている。
と言うわけでだ。
「フシュ……」
「シア」
「『カースウッドキング・フォースハウル』」
とりあえずシアに『カースウッドキング・フォースハウル』を撃ってもらった。
「「「!?」」」
俺たちの周囲のぬかるんだ地面から大量の木の根が出現し、俺たちを取り囲んでいたモンスターたちを薙ぎ払い、悲鳴を上げる暇すら与えずに即死させていく。
それはまさに蹂躙と言う他なかった。
だが当然だろう。
俺たちとモンスターたちのレベル差は小さく見積もっても10以上、大きく見積もれば20。
それだけのレベル差が有ったならば、一撃耐えることも不可能だろう。
「よし、片付いたな」
「ですね」
そうして木の根が消えた後。
ぬかるんだ地面と沼地が混在する広場には、モンスターたちの死体に、幾つかの採取ポイント、それに次の階に繋がる下り階段だけが残されていた。




