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AIOライト  作者: 栗木下
6章:鉱山街・ケイカ

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293:58-1

【AIOライト 58日目 16:42 (半月・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


「あー、久しぶりの太陽がまぶしいわね……」

「本当だねぇ……」

「まあ、そう言う感想になるよな」

「丸一日以上潜っていた計算になりますもんね」

 翌日。

 魔銀鉱石を探す俺たちは、プレンゴーレムを倒しつつ、採取を続けた。

 その結果、俺とシュヴァリエは必要数を確保し、グランギニョルも必要数の半分近くを回収。

 インベントリも埋まった……それもただ埋まるのではなく、幾つかインゴットにする必要があるレベルで埋まったという事で、日暮れも近づく今になってケイカ北坑道を脱出した。


「しかし、想像以上のドロップ率だったわね」

「おおよそ七割だっけ。凄い数字だよね」

「此処まで確率が高いと、単純にGMがここで回収するように、と、言っている感じがするよなぁ」

 結局、プレンゴーレムから普通の魔銀鉱石をドロップする確率はおおよそ70%という所だった。

 確定ではないが、高い確率で剥ぎ取れる、そんな数字である。

 まあ、特に罠の類もなかったし、純粋にありがたいと思っておこう。

 裏を返せばこれからは、このぐらいの装備がないとやってられないと言っているようなものだしな。


「さて、そろそろか」

「へ?」

「ん?」

 で、俺はちょっと身構える。

 と言うのもだ。


「「ーーーーー!?」」

「やっぱ大量に来るよな」

 大量のメッセージが飛んできた事を知らせる着信音が飛んでくるからである。


「ゾ、ゾ、ゾッタ兄!?」

「いやー、まさかここまでとはな」

「こ、腰が……」

 どうやらグランギニョルとシュヴァリエは俺よりも交友関係が広い影響で、それだけ多くのインフォが飛んできたらしい。

 多少ではあるが、腰を抜かしてしまったようだ。

 それにしても……うん、今まで通信が通じなかったエリアから、通信が通じるエリアに移動した際に生じる大量のインフォ音。

 これの対策は何かしら考えておくべきだろうな。

 結構洒落になっていないみたいだ。


「つ、次からは一時的にでも着信音を切っておきましょう……これは心臓に悪すぎるわ……」

「そ、そうだね……」

「そうだな。それが良いと思う」

 俺は二人が落ち着きを取り戻す間に、周囲の建物を観察する。

 そしてケイカ支部と同じように妙な気配を発している建物を見つける。

 当然ながら、その建物にモンスターたちが気付いている様子はない。


「さて、メッセージの確認はあの建物に入ってからにするか」

「は?あの建物って……ん?」

「あの建物だけ……傷が無い?」

「そう言えば、マスターってば建物が一つしかないとは言ってませんでしたね」

 うん、まず間違いなく錬金術師ギルド・ケイカ支部と同種の建物。

 機能の詳細については分からないが、安全地帯だ。


「本当にゾッタ兄のその目だけは反則だと思うわ」

「うん、僕もそう思う」

「そうか?」

「だいたいの仕掛けを初見で看破出来る目ってだけで反則よ。きっとGMは常日頃からゾッタ兄に泣かされているわね」

「それなら嬉しい限りだ」

「いやまあ、GMについては自業自得かもしれないけど、それでもその目はやっぱり色々とアレだと思うよ。師匠のPM錬金にも関わっているみたいだし」

「二人とも言うだけ無駄だと思いますよ。マスターですから」

「「デスヨネー」」

 なお、移動途中に俺の目の話題になったが、俺としてはGMが特に修正をかけていないのであれば、問題はない、という判断で行動している。

 実際、問題があったミアゾーイは回収されたし、GM本人がイレギュラーが発生する可能性は予め勘定に入れてあると言っていたしな。

 GM的には俺の目くらいは特に問題がある代物ではないのだろう。


「さ、着いたぞ」

 そうして歩くこと数分。

 俺たちは傷が無い建物の中に入った。



----------



【AIOライト 58日目 17:00 (半月・晴れ) 鉱山街・ケイカ】


「ふうん、本当にただの安全地帯って感じね」

「だな。こうしてみるとケイカ支部が如何に整った環境だったのかが良く分かる」

「あそこは最低限必要な物は全部揃っていたもんね」

「いずれにしても安心できる場所が有るのは嬉しいですね」

 俺たちが入った建物は、すし詰めになる前提でも30人入るかどうかというケイカ支部に比べたら随分と小さな建物だった。

 置いてあるものと言えば、机と椅子ぐらいなもので、他は絨毯の一つもなく、壁や天井は無機質な白い石が剥き出しになっているだけだった。

 何と言うか、本当に休憩をするためだけに用意された建物と言う感じである。


「そうだな。とりあえずここなら腰を据えて話を出来るだろう」

 まあ、一番重要な機能である敵に気づかれない、と言う機能は生きているのだから、何も問題はない。


「そうね。それじゃあ、まずは各自でメッセージと掲示板の確認の方から始めましょうか。きっと全員それなりにメッセージが来ているだろうし」

「そうだね。それでいいと思う」

「では、私は少し早いですけど、夕食の準備をしてますね」

「分かった」

 と言うわけで、俺は携帯錬金炉を取り出してシアに渡すと、自分宛てのメッセージの内容を確認し始めた。

03/09誤字訂正

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