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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

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212/621

212:43-9

【AIOライト 43日目 14:05 (新月・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「お、来たんやね。ゾッタ君」

「今回もよろしくお願いします」

「こっちこそよろしくや」

 待ち合わせ場所は服飾向上委員会近くの広場。

 先日訪れた際にはオークションが開かれている場所だった。


「それでえーと……」

 互いに頭を下げて挨拶が終わったところで、俺は自分の背後の方に視線をやる。

 そこには多数のプレイヤーが居て、俺たちの事を見ては何が始まるのかと話をしているようだった。

 正直に言って、見世物のようであまり気分が良いものではないが、それ以上に気になるのは、俺の個人的な用の為にこんな広場を使ってもいいのだろうかと言う点である。

 どうにも集まっているプレイヤーの中にも、オークションが開かれていない事に対して不満がありそうな様子のプレイヤーが複数人居るようだし。

 本当にいいのだろうか?


「心配せえへんでも、大丈夫や。オークションは出す側と買う側が揃わないと開けへん物、今の時間帯は元々集まりが悪くて、オークションがあまり進まない時間やからな」

「はぁ……?」

「それよりも、珍しいものが見れそうだって事で、オークション会場の管理人プレイヤーは心置きなく貸してくれたで」

 そう言うボンピュクスさんの後ろ、服飾向上委員会に所属しているプレイヤーたちの脇に立っていた男性プレイヤーが納得顔で頷いている。

 もしかしなくても彼が管理人だろうか。

 んー……期待に沿えるといいが……どうなんだろうな?


「ほれ、そう言うわけやからゾッタ君。早くアタイらの為にも出す物を出すんや」

「あー、はい。分かりました」

 まあ、ここまで準備してもらった以上は話を進めるしかない。

 と言うわけで、俺はボンピュクスさんたちとPTあるいはアライアンスを組むと、普段は客席として使われているであろう場所に用意された二つの台の上に乗せる形で、インベントリから『呪詛招く樹の王』の亡骸を取りだす。


「これでよし」

「「「!?」」」

 インベントリから取りだされた『呪詛招く樹の王』の亡骸は多少の振動音を周囲に響かせながら、無事に台の上に乗る。

 枝葉や根についても、台にそれなりの高さがあったおかげで傷ついていない。

 うん、これなら色々な物が剥ぎ取れる事だろう。


「それじゃあ早速……」

 と言うわけで、早速作業を進めてもらおうと思ったのだが……。

 どうにもボンピュクスさんたちの……いや、周囲に居るプレイヤーたちの様子がおかしい。


「こ、これは予想以上の代物が出てきてしもたね」

「流石は師父……」

「お、おおう……」

「マジかあ……マジでボスの体そのものが出てくるのかぁ……」

 ボンピュクスさんたちは若干頬を引き攣らせている感じか?

 ただ、それでもやるべき事は分かっているのか、『呪詛招く樹の王』の亡骸の周囲を回って、観察を始めている。


「ボソッ(何なんだよアレ!?)」

「ボソッ(俺が知るか!)」

「ボソッ(どう見てもボスです。本当にありがとうございました)」

「ボソッ(やっぱり狂い斧は狂い斧だったよ)」

「ボソッ(攻略組息してるか?)」

「ボソッ(レア度:2のボスを単独討伐とか止めてくださいますか……)」

 周囲のプレイヤーたちは……よく分からないが、全体的に慌てているというか、動揺している感じか?

 まあ、気にしなくてもいいか。

 実体化している事でPT外のプレイヤーでも詳細を確認出来るけど、見られたところで困る情報は特に書かれてないしな。


「ふうむ……」

「ボンピュクスさん、どうですか?」

「んー……ちょっと時間がかかりそうやけど、たぶん大丈夫や。ただ、ゾッタ君も手伝ってな。斧で切るべきところもありそうやし」

「分かりました。あ、報酬の方は……」

「心配せえへんでも、メッセージの通りや。解体が完了した後に相談して決めよ」

 と言うわけで、ボンピュクスさんの指揮の下に『呪詛招く樹の王』の亡骸の解体が始まる。

 作業手順について具体的に言えば、葉を慎重にもいだり、枝をナイフで切り落としたり、樹皮の一部を削いだり、根を剣で切り落としたり、斧で全体を断ち切ったりなど色々だ。

 ただ、とにかく『呪詛招く樹の王』の亡骸のサイズは大きかった。

 それこそ、戦闘並に疲れる作業だった事は確かで、シアの魔法による強化も随時行われていたほどである。


「ふう、やっと終わったな」

「ですねー」

「ほんまやな」

 で、三時間ほど経った頃。

 ようやく解体作業は終わった。

 取れたアイテムは以下のとおりである。



△△△△△

『呪詛招く樹の王』の丸太×1

『呪詛招く樹の王』の枝×6

『呪詛招く樹の王』の葉×8

『呪詛招く樹の王』の樹皮×3

『呪詛招く樹の王』の根×6

『呪詛招く樹の王』の樹液×2

▽▽▽▽▽



「合計26個……フルアライアンス時のプレイヤーより多いのか」

「まあ、そこについてはウッド種が元だったからじゃないか?」

「しかし、単独討伐だと旨味がやっぱり桁違いなんだな……」

 『呪詛招く樹の王』の素材が合計26個。

 元のサイズが大きいとはいえ、大収穫である。

 後はこれをどう分けるかだが……。


「どう分けましょうか?」

「んー……とりあえず丸太含めて全素材一つずつはゾッタ君が持っていくのは確定でいいやろ。他は……これだけ取れてるなら、解体に参加したプレイヤー一人につき一個ぐらいはくれると嬉しいってところやな……」

「ふむ……」

 解体に参加したプレイヤーはボンピュクスさん含めて8人。

 うん、もう少し渡してもいいぐらいだな。


「それじゃあ、こうしましょうか」

「え!?えーと、ゾッタ君……ええの?」

「これだけ数がありますから」

 と言うわけで、俺は今後もよろしくお願いしますと言う念を込めつつ、おおよそ半数の素材をボンピュクスさんたちに渡す事にした。

 実際、ボンピュクスさんたちが手伝ってくれなければ、亡骸から採れた素材の数は半分以下だっただろうし、妥当な所ではないかと思う。

 なので、最終的に今回俺が入手した素材はこうなった。



△△△△△

『呪詛招く樹の王』の丸太×1

『呪詛招く樹の王』の枝×3

『呪詛招く樹の王』の葉×4

『呪詛招く樹の王』の樹皮×1

『呪詛招く樹の王』の根×3

『呪詛招く樹の王』の樹液×1

▽▽▽▽▽



 うん、これでも大収穫だな。


「それじゃあ、今回はお世話になりました」

「あー、うん、今後もよろしくなゾッタ君」

「じゃ、行こうか。シア」

「はい、マスター」

 そうして俺たちは満足顔で服飾向上委員会を後にしたのだった。

12/18誤字訂正

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ソフィアさんも解体要員ですか
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