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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

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199/621

199:42-2-D2

「ゴブアッ!」

「おっと」

 カースゴブリンたちの攻撃は激しい。

 五匹が五匹とも、俺に惹き付けられ、積極的に攻撃を仕掛けて来ている。

 だが、五匹が手に持っている武器は短剣、槍が2、剣、斧とそれぞれに違うため、当然ながら攻撃の頻度も俺との距離の詰め方も異なる。


「ゴブー!」

「甘いっと」

 そのため、五匹の攻撃のタイミングが半端にずれている。

 そしてそのおかげで、俺は少し立ち位置を変えたり、攻撃を短剣や防具の硬い部位で受けたり、ネクタールの表面を瞬間的に硬質化させるなどの対抗策が行えている。

 そうやって被ダメージを抑える事が出来ていると言う事はだ。


「ふんっ!」

「ゴブー!?」

「「「ゴブー!!」」」

 集団行動の性質を得る代わりに一匹当たりのステータスが抑えられたカースゴブリンたちの攻撃では俺に有効打を与えられず、自然回復だけでHPの維持が行えてしまえるという事でもある。

 勿論、このHP維持はシアの援護攻撃や、ネクタールの牽制とヘイトコントロールの賜物でもあるので、そこは感謝である。


「あははははっ!どうした!」

「「「ゴブー!」」」

 何にしても、HPの維持に問題が無いのであれば、後は何の躊躇いもなく緑色の肌の小人に斧を振り下ろし続け、そのHPを削り続けるだけである。

 そして、こちらのHPは最大値の80%前後から動いていない。

 このまま行けば、特に何事もなく終わるだろう。


「ん?」

「ゴブー!」

「マスター!」

 と、ここで俺のHPバーの下に状態異常の表記が現れる。

 名称はカース……呪いだ。

 どうやら、カースゴブリンの武器には、低確率ではあるが、呪いを付与する効果があったらしい。

 まあ、『呪詛招く草原の図書館』は特性:カースが付いたダンジョンなので、特に驚く事ではないが。


「なるほど……丁度いいな」

「マスター!?」

「……!?」

「「「ゴブッ!?」」」

 だがこれはチャンスでもあった。

 状態異常:カースの効果は与ダメージの一部反射。

 それが実際にどんな物であるかは、経験のない俺には分からない事である。


「あははははっ!行くぞっ!!」

「マスタアアァァ!?」

「……!?」

「ゴギャアアァァ!?」

「「「ゴブウウゥゥゥ!?」」」

 だから俺は特性:バーサークを自発的に発現できる範囲で最大限に発動。

 その上で目の前に居たカースゴブリンの顔面に全力で斧を振り下ろし、残り20%ほどだったHPバーを全損させる。


「っつ!?」

 そうしてダメージを与えた俺が感じたのは?

 顔面に走る僅かな痛み……いや、不快感だ。

 そしてHPバーも4%から5%程ではあるが減っている。

 なるほど、これが呪いの効果か。

 カースゴブリンのステータスと俺のHPの具体的な数字が分からないので何とも言えないが、おおよそ与ダメージの20%ぐらいは返している感じだろうか?

 火力特化型ならともかく、火力控えめな上に、ある程度は生命力も伸ばしている俺にとってはそこまで脅威ではないな。


「ま、分かってしまえば問題ないな」

「「「……」」」

 俺は残ったカースゴブリンたちの方を向く。

 カースゴブリンたちは仲間の仇とでも思っているのか、少しずつ間合いを詰めている。

 呪いは……今消えたな。

 そしてダメージの方も少しずつ回復していっている。

 これならば何の問題もないな。


「あと四匹、殲滅するぞ!」

「は、はい!」

「「「ゴブー!!」」」

 最後の懸念である状態異常:カースも問題ない事が分かった今、既に残りHPの少ないカースゴブリンたちを俺たちが恐れる意味は無かった。

 と言うわけで、周囲のモンスターの乱入が無いかだけ注意して、俺たちはカースゴブリンたちをさくっと仕留めたのだった。


「さて、剥ぎ取りはっと」

 戦闘終了後。

 俺は剥ぎ取り用ナイフでカースゴブリンの身体を突く。

 一応は亜人系のモンスターなので、素材にはそこまで期待できないだろうが、それでも何かは手に入るだろうと考えてである。


「ふむ」

「微妙……ですね」

「だが、ネクタールが食べる素材にはなる」

 そうして手に入ったのは壊れた装備品(槍)が一つ、カースゴブリンの耳が三つ、カースゴブリンの骨が一つ。

 まあ、ある意味では予想を裏切らない結果だな。

 と言うわけで、一応カースゴブリンの耳とカースゴブリンの骨の詳細を見てみる。



△△△△△

カースゴブリンの耳

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:カース(傷つけたものを傷つけ返す)


その名の通りにカースゴブリンの耳。

かつてはゴブリンの耳と言えば討伐の証明として有名だった。

が、現在ゴブリンの耳にはそこまでの価値はない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

カースゴブリンの骨

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:カース(傷つけたものを傷つけ返す)


カースゴブリンの身体の何処かでその身を支えていた骨。

人の物によく似ているが、人の物よりも密度は低く、それを示すように軽い。

だが強度はだいたいの生物と比べても明確に劣るほどではない。

▽▽▽▽▽



「……」

「マスター?」

 うーん、耳は本当に使えないな。

 たぶんほぼ売却専用だ。

 骨は……密度の割には丈夫だが、強度は少し落ちるってところか。

 うん、やっぱり微妙そうではあるな。

 ちょっと面白いフレーバーテキストが読めただけだ。


「いや、何でもない。戦闘は問題なく行けると分かったし、探索を進めよう」

「はい、分かりました」

 と、そう結論付けた所で、俺たちは探索を再開することにした。

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