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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山
190/621

190:38-7-D6

【AIOライト 38日目 15:12 (5/6・晴れ) 『不死殺しの火山の屋敷』】


「ふむ」

「面白い物が手に入りましたね」

 『不死殺しの火山の屋敷』第二階層の探索は順調だった。

 まあ、当然と言えば当然だろう。

 キルデッドプリーストが追加され、キルデッドハウンドが仲間を呼び寄せるようになったと言っても、ネクタールのヘイト管理にシアの支援が組み合わさった俺の回復力を抜けるような攻撃力の持ち主がいないのだから。


「確かに面白くはあるが……」

 で、先程シスター姿のキルデッドプリースト……つまりは女性個体が率いるモンスターたちと戦い、倒し、剥ぎ取りを行ったのだが、その結果として少々面白い物が手に入った。

 それがこれである。



△△△△△

キルデッドクロスハンマー

レア度:2

種別:武器-鎚

攻撃力:275

耐久度:70/100

特性:キルデッド(不死者に対して強い力を持つ)


キルデッドプリーストの持つ十字架型のハンマー。

邪悪な力を持つ者に対して強い力を発揮するとされ、実体無き者も攻撃する事が出来るとされている。

光属性を有する

▽▽▽▽▽



「重いな」

 俺は一時的に装備を変えて、キルデッドクロスハンマーと言う名の金属製の大鎚を持ってみる。

 が、やはり重い。

 これを持っていたキルデッドプリーストが両手で持っていた事からも、長さが俺の首から下程度ある事からも分かっていた事ではあるが、かなり重い。

 使うなら両手で持つのは必須だろう。

 そして機動力をかなり犠牲にする事も覚悟するべきだ。

 それほどにキルデッドクロスハンマーは重い。


「使えませんか?」

「攻撃力だけなら間違いなくバーサークスチールタバルジンの上位互換なんだろうけどな。ちょっとこれを使うのは厳しいな」

 俺は装備を元に戻すと、シアと話ながら探索を再開する。

 さてキルデッドクロスハンマーだが、勿論、重い分だけ一撃の威力は高い。

 が、これだけ重いと当てるだけでも一苦労だろう。

 それになによりだ。


「後、俺の光属性は7しかない」

「あー、言われてみれば……」

 キルデッドクロスハンマーは光属性を持っている。

 しかし、俺の錬金ステータスの光属性は7しかない。

 これでは本来の威力からはだいぶ離れた攻撃しか出来ないだろう。


「じゃあ、売るしかなさそうですね」

「まあ、その方向しかないな」

 と言うわけで、ギルドショップとプレイヤー、どちらかはともかくとして売るのだけは確定である。

 レアドロップっぽいので、高く売れる期待はしていいだろう。


「あ、採取ポイントですね」

「……」

 ただまあ、折角のドロップ品、何にも使わずに売ってしまうのは流石に勿体無いと思わなくもない。

 そして、俺たちの前には第一階層にあったのと同じように、小部屋の中に出来た採取ポイントが有った。


「えーと、マスターもしかして……」

「いやまあ、折角だから試してみようかなと思って」

 俺は再びキルデッドクロスハンマーを装備する。


「先に採取はしておきますね」

「ああ、頼む」

 シアが部屋の中に在った採取ポイントで採取を行い、アイテムを獲得した所で採取ポイントから離れる。

 そして、シアと入れ替わりで俺が採取ポイントの前に立つ。


「行くぞネクタール」

 ネクタールをキルデッドクロスハンマーの柄と俺の腕に巻き付かせることで筋力の補助をさせる。

 そうして準備が整ったところで俺は大きく振りかぶり……


「ふんっ!」

 全力でキルデッドクロスハンマーを採取ポイントに叩きつける。


「凄い音ですね……」

「まあ、これだけの重量物だしな」

 轟音を鳴り響かせながら採取ポイントにめり込んだキルデッドクロスハンマーは呆気なく抜ける。

 そして採取ポイントも、光が消えただけで見た目には特に変化はなかった。

 で、肝心の採取アイテムについてだが……。


「ふむ?」

 こんな物が取れた。



△△△△△

不死殺しの石ころ

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:キルデッド(不死者に対して強い力を持つ)


何処でも拾えそうな極々普通の石。

投げつければ少しぐらいはダメージを与え、注意を惹けるだろうが、出来るのはそれぐらいである。

▽▽▽▽▽



「残念でしたね。マスター」

「……」

 シアが俺を慰めるような言葉をかける中、俺は不死殺しの石ころを実体化させ、よく見てみる。

 いや、見るだけでなく触り、振り、匂いも嗅いでみる。


「マスター?」

「何か気になるな」

 そんな事をする理由は極単純。

 ほんの僅かではあるが、違和感のような物を感じるからだ。

 尤も、具体的にその違和感の正体を話してみろと言われたら、話せないようなレベルの違和感なのだが。


「気になる……ですか」

「ああ、ちょっと持ち帰って調べてみよう。もしかしたら何か有るかもしれない。だからシア」

「分かりました。インベントリにも空きはあるみたいですし、他のと混ざらないようにしておきますね」

「頼む」

 と言うわけで、俺はシアに不死殺しの石ころを渡し、シアはそれをキルデッドバードの素材だけが入ったリジェネウッドボックスに収納する。

 これで混ざる心配はしなくていいだろう。


「さて、それじゃあそろそろ脱出するか」

「はい、マスター」

「……」

 そして、インベントリの容量の限界も近かった。

 と言うわけで、俺はシアとネクタールを連れて、何事もなく『不死殺しの火山の屋敷』を脱出した。

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