↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

191/621

191:39-1

【AIOライト 39日目 09:15 (4/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「随分と賑わっているな……」

「本当ですね……」

 翌日。

 俺、シア、ネクタールはボンピュクスさんにメッセージを送り、了承を取り付けた上で服飾向上委員会が入っている建物の近くにやって来ていた。

 そして色取り取りの頭に埋め尽くされた通りに圧倒された。


「これ全部客だよな」

「職人さんも多いとは思いますけど、半分以上はお客さんだと思います」

 服飾向上委員会の入っている建物の前は大変な賑わい様を呈していた。

 男女構成はおおよそ半々だが、誰も彼もが最低限には整った身なりをしており、中には目を惹くような美しかったり、力強かったりする装備品を一式で身に纏っているプレイヤーもいる。

 で、俺はこの無数のプレイヤーたちが服飾向上委員会に用が在るプレイヤーだと思っていたのだが、よく見れば面白い事になっていた。


「レア度:1素材の買い取りやってるよ」

「麻痺招く薬草、要るかい?」

「特性:アライアスの装備品を……」

 道の端の方には、よく見れば露店用の布を敷き、店を開いているプレイヤーが多数居た。

 そして、彼らの前にはそれらの露店に用があるプレイヤーが居る。

 そう、何時の間にやら服飾向上委員会前の通りは、大規模なプレイヤー用の市場と化していたのだった。


「さあさあ、レア度:2の武器!特性はパワー!鉄製の巨大剣だよ!スタートは2000Gから!」

「2200!」

「2500!」

「オークションまでやってるのか……」

「凄い光景ですね……」

 中には以前訪れた時には建物があった場所を舞台に改装、オークションを開催しているプレイヤーまで居た。

 その熱狂度合いは、若干退くぐらいである。


「おっ、ゾッタ君来たんやね」

「ボンピュクスさん」

 と、ここで俺はようやく服飾向上委員会の前に辿り着き、建物の前で待っていたボンピュクスさんと合流する。

 どうやら、待っていてくれたらしい。


「凄い賑わいですね」

「せやな。最初はうちの近くで商売をしたい。と言うプレイヤーたちが集まって来ただけやったんやけど、気が付いたらこんなんや。アタイも驚いたで」

 相変わらずどこの方言か分からない口調でボンピュクスさんは驚いたと言う。

 が、その顔は何処か嬉しそうな物である。


「でもま、これもゾッタ君のおかげやな」

「俺のですか?」

「あー……なるほど」

 シアは既に何かを察したような顔をしているが、俺にはボンピュクスさんの言葉はまるで分からなかった。

 一体なぜこの賑わいが俺のおかげになるのだろうか?


「まあ、本人には分からんやろうな。けど、この賑わいは確かにゾッタ君のおかげやで。あの日ゾッタ君がニラモをぶちのめしたおかげで、服飾向上委員会は有名となり、服飾向上委員会に向かう人の流れが、次の人の流れを産み、その結果がこれなんやからな」

「は、はあ……」

「勿論、他にもアタイらの地道な営業努力とか、GMの流通促進とか、プラスになる事は色々あったけど、一番のきっかけはゾッタ君やね。職人みんな感謝しとるよ」

「えーと、どういたしまして?」

 ニラモ……ああ、ストーカー六兄弟長男の名前か。

 割と本気で忘れそうになってた。

 しかし、あの日の事だけでここまでになるものなのか?

 うーん、経済ってのはよく分からないな。


「さてとや」

 と、ここでボンピュクスさんがほんの一瞬だけ、俺たちの周囲でもの珍しそうにこちらを見ているプレイヤーたちに視線を向ける。

 ああなるほど、此処で俺と話す事も服飾向上委員会にとっては宣伝活動の一環だったのか。

 まあ、別に宣伝に使われても問題も文句もないな。

 そう言う契約はしてるし、俺と服飾向上委員会との仲だって良いのだから。


「話の続きは中でしよか。全部大っぴろげに話すのは流石にNGやさかい」

「分かりました」

「はい」

 と言うわけで、周囲への十分なアピールも終わったところで、俺たちはボンピュクスさんと一緒に服飾向上委員会の建物に入り、いつの間にか増設されていた二階へと上がった。



----------



「さて、早速本題と行きたい所やけど……その前に一ついいか?」

「なんでしょうか?」

 俺たちが通された部屋は、初めて来た時と同じような感じの応接室だった。

 ただ、椅子や机の質は何となくだが前回よりもよくなっているように感じる。


「ゾッタ君の身に付けてるマント。ただのマントやないね」

「……。分かりますか」

「アタイは戦闘ステータスについては感知力に特化したビルドになっているからな。実数値なら30に到達しとるで」

「なるほど」

 さて、本題の前に何の話かと思っていたが、どうやらネクタールについての話だったらしい。

 ボンピュクスさんがネクタールに気づいているのは予想外だったが、感知力特化だと言うならば、気付くのにも納得がいく。


「で、どうなん?」

「正解です。名前はネクタール。俺の二体目のホムンクルスです」

「やっぱりか。ゾッタ君によく似た気配で巧妙に偽装をしとったから、半信半疑やったんやけど、正解して何よりや。で、装備品は……」

「あ、すいません。装備品は無理です」

 で、気付かれたからには隠す意味など何も無いので、とりあえずボンピュクスさんにはネクタールのインベントリがかなり限られている話をすることになった。

 ボンピュクスさんはネクタールの装備品には自分が手を出す余地がないと分かって多少悲しそうにしていたが……まあ、こればかりは仕方がない。


「じゃ、そろそろ本題行こうか」

「はい」

 そして本題が始まった。

11/27 誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。