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婚約破棄?結構です。では国家運営は自己責任で ~辺境が黒字化したら王都が困り始めました~  作者: 雪乃フィオナ
第2部 無王の海

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第29話 三つの秩序

 南港区の高台。


 海が一望できる場所に、三人が立っていた。


 アレクシス。

 リシェル。

 セリア。


 眼下には港。


 再建された桟橋。

 行き交う船。

 動き続ける掲示塔。


 成功している。


 少なくとも、今は。


 だが――


 遠くの海には、別の現実がある。


 黒潮。

 崩壊した港。

 取り残された都市。


 アレクシスは静かに言った。


「整理する必要がある」


 リシェルが頷く。


「構造の理解ですね」


 セリアは腕を組む。


「いいわ、やりましょう」


 アレクシスは海を指した。


「連合」


 白い帆が遠くに見える。


「秩序」


「安定」


「だが遅い」


 リシェルが続ける。


「自由圏」


 港を見下ろす。


「契約」


「選択」


「だが不安定」


 セリアが言う。


「市場」


 掲示塔の数字を指す。


「利益」


「流動」


「だが暴走する」


 アレクシスが海のさらに外を見る。


「黒潮」


 黒い影。


「力」


「支配」


「だが持続しない」


 沈黙。


 三つではない。


 四つの構造。


 それぞれが欠けている。


 アレクシスは静かに言う。


「どれも完全ではない」


 リシェルが頷く。


「だから混ぜた」


 セリアが笑う。


「だから歪んだ」


 その通りだった。


 南港区は成功している。


 だが同時に、歪みも生まれている。


 アレクシスは考える。


 第一部では。


 恐怖を終わらせた。


 今は。


 自由と秩序を調整している。


 だが答えは出ていない。


 その時、リシェルが言った。


「新しい秩序が必要です」


「今の延長ではない」


 セリアが続ける。


「設計が必要ね」


 二人の視線がアレクシスに向く。


 設計者。


 彼の役割。


 アレクシスは少し黙った。


 そして言う。


「まだ足りない」


「何が」


 リシェルが聞く。


「視点だ」


 彼は海の向こうを見る。


 まだ見ぬ世界。


 まだ知らない文明。


「大陸だけでは答えは出ない」


 セリアが目を細める。


「外洋のさらに外?」


「ああ」


 アレクシスは頷く。


「世界はもっと広い」


 風が吹く。


 海が揺れる。


 秤が揺れる。


 だが今はまだ、崩れていない。


 その瞬間、見張り塔から声が響いた。


「未確認船影!」


 三人が振り向く。


 水平線の向こう。


 巨大な影。


 これまで見たどの船よりも大きい。


 帆の形も違う。


 静かに、だが確実にこちらへ向かっている。


 セリアが小さく呟く。


「……何あれ」


 リシェルの目が細くなる。


「データにありません」


 アレクシスはその影を見つめた。


 直感が告げる。


 これは――


 新しい何かだ。


 秤は、また揺れる。


 今度は。


 世界そのものが。

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