ラルーの消滅 壊滅
圧倒的な力を見せ付けられ帝国の傘下に入って命じられたことは待機のみ。
”ラルーは片付けてやるからお前達はじっとしていろ。やつらがいなくなったら二日後に出発し、自分の国にもどっていいぞ。帰ったら働け。これがタロ様からの命令だ。何をすべきか、帰れば分かるはずだ。”
いかにも面倒くさいような念話はそれで切れてしまった。
篭城していた王達は、遠視のできる偵察兵からの報告を聞いて驚いた。
「何?ラルー軍が解散してしまっただと!」
あわてて上った見張りやぐらからもばらばらになってそれぞれの方向へとぼとぼと帰っていくラルー軍が見えた。
ラルーに対しての怒りやら、溜め込んだ闘志を発散させられないままに帰国したテミスやその同盟諸国の生き残り達は信じられないものを見た。
自分達の国の荒野にとうとうと大河が流れている。
水さえあればこの荒野は豊かな大地になる。
そして帰った城の門の中には作物の種が積み上げられてあった。
”働け”とはそういう意味だったのか、各王の指揮の元、人々は開墾に精を出した。
カドスまで進出していたラルー軍は速やかに解体した。
かなりの部分を占めていた傭兵達は現実的だった。
食料をはじめとした物資が騙し取られたと知っても騒ぎ出したりしなかった。
敵の勢力圏内で完全に食料がなくなれば死ぬ。
同じく怪我でもすれば殺される。
負けを悟った瞬間に思い思いの方へ逃げ出した。
残ったラルー兵はやっと自国にたどり着いて驚く気力も無くなった。
収穫魔時価のはずの作物は枯れはて、国の主だったものはすべて逃げ去った無人に近い町のみが無傷で残っていた。
曲がりなりにも評議員制などという小知恵のついた国家を支配するのはわずらわしかった。
そこでオストラントの住民を駆り出してラルーの平野を流れる大河を上流でテミス方面へと付け替えた。
それだけでも充分だったかもしれない。
「タロ様、この女どうします?」
「テミスの城にでも放り込んで来い。」
「この娘、記憶をなくしているみたいだ。かわいそうに、逃げ遅れたんだろう。お前心当たりはあるか?」
「この薄いオレンジの髪はリア姫様と同じ色だがはて。」
城で倒れていた若い女は、そのまま教会に引き取られることになった。
「タロ様本国から命令です。『もどれ』以上です。」




