俺は将軍様?
本日2話目
「俺は父さんと同じ将軍になるんだ。」
今日もリュウは元気である。
名前も思い出したくないあいつは将軍まで出世して城を枕に壮絶なる最期を遂げた。
山鯨のタロは山鯨の毒にあたって死んだ。
らしい。
ヶ
俺も将軍になったんだぞ。
俺自身は笑えることに、本当に冗談みたいな話だが帝国の姫の推薦で正式に将軍位についていたんだ。
姫様指揮下に直属の第七軍以外に、第十三軍が新設されて入りそれを俺が率いた。
実態不明な第13軍は帝国の敵を恐怖で縛ったんだぞ。
俺はドヤ顔をしてリュウを見たがゴムマスクとベールでその気持ちは伝わらなかった。
伝わってしまうとほんとは困るんだがな。
「喜べ、王宮からの連絡でお前に将軍職の内示が出たぞ。第十三軍を名乗るということだ。新たに軍勢は分けてやれんが今の部下十人がそれぞれ一騎当千なら万の軍勢と同じではないか。」
ダーランの城門をくぐるなり姫は出迎えた俺を驚かせてくれた。
今の第七軍では少なすぎる。
他を圧するために影の一軍があってもいいじゃないか?
第十三軍はそういう発想でできたらしい。
せっかくびっくりさせてやろうと思ったのにマイアがすべて念話で報告していたみたいだ。
念話は便利なんだけどね。
「将軍クラスではまだまだ私を抱くことは出来んぞ。」
そんな笑えん冗談を今言わなくてもいいじゃないか、視線が痛い。
ほんとに気の弱い俺は小さくなった。
いつかほんとにひぃひぃ言わせてやる。
水量の多い地下水は塩を入れるのを止めるとすぐ真水に戻った。
そして殊勲の第7軍は治安維持を主務とする第5軍と皇太子帝都へ凱旋した。
戦勝祝賀式典のあと論功行賞が行われ10人の部下達もそれぞれ出世しここにいる。
ここオストラントの商店街に。
オストラントはダーランと同盟を組む、順風なら海を船で2日南に進んだところにあるかなり規模の大きい城塞都市。
ダーランへの援軍もここが真っ先に出した。
後背に豊かな穀倉地帯を抱えるこの国は人口20万かなり豊かで名君と誉れの高い王の下、農業商業共に栄え民心も安定している。
大河の三角州に建てられた城砦は町ひとつをダーランより高く厚い城壁で取り囲み豊かな穀物の備蓄と鍛えられた兵士たち。
今まで第一から第三までの三つの軍が攻めたが全く城壁に瑕ひとつつけることが出来なかった。
ダーランが落ちた今湾岸諸国同盟と帝国との戦の最前線になりその攻略のために俺たち第十三軍はここに入った。
「さぁいらっしゃい、このとってもおいしい最高級豆がたったの・・・」
明るい声で呼びこみをしているのは俺の嫁さん?ことマイアで、亭主の俺は重たい豆運び、こらしょ。
豆は契約農家ではなくあるところに植えっ放しにしてある。
交配させるつぼみの選別のときと収穫のときに少し手がかかるだけ。
周りを毒のあるので取り囲んでおけば動物はもちろん虫もつかない。
せっかく祝勝会があるんだが、俺たちは次の戦のため早々とオストラントまで移動してしまって参加できないが式典に出る権利はあるはずだ。
それで対ダーラン戦の祝賀式典に第十三軍として出たのはマスクをかぶった怪しい11名。
俺役の名優といっても機密保持のためゴーレムか何からしいがなかなか良い演技をしたようだ。
しかも意外と凝り性な姫が王家の秘宝をそれぞれの体に埋め込ませたためになんともいえない見えるものには見えてしまう強力な魔力波動が周りを圧していたらしい。
謎の第十三軍の将軍タロとその幕僚達は人々の視線を跳ね返しつつ他を圧して終始無言で堂々と立っていたらしい。
マイアたち10人は二階級以上特進したのだが、戦死者名簿に載せられてしまって第十三軍という謎の軍が出来た。
一応全員家族や身内はいないと聴いているが姫様たちは無茶なことをしてくれるものだ。
オストラントが第7軍によってほぼ無血で占領されたとき、戦勝祝賀式典の上座に今度は13人の姿があり、人々はまたあらぬうわさをした。
どうやらオストラントを腐らせた第十三軍は兵力を増強したらしい。
その不明な規模が余計に人々の恐怖心と畏怖心をあおる。
『第七軍の志願者も多くなったが、第十三希望者までこっちに来てなぁ。』
マイアは姫の副官のそんな念話まで中継してきた。




