5.魔道具②
それからの行動は我ながら凄まじかったと思う。
自分の培った魔法定理を魔道具の制作をする際に利用して、新たな原理の魔導回路を組み込んだ魔道具を作り上げたのだ。
集中している間は文字通り寝食すらも忘れてずっと机と魔導書、そして魔道具と向き合っていた。早朝、夜通し作業して完成した際には疲れが吹き飛ぶほどの喜びと達成感。そのまま準備していた性能の検証テスト後に感じたのは、更なる高揚感と、そして誰かに早くこれを見てもらいたいという気持ち――。
その気持ちのままにフィオレント帝国で行われる一年に一度の大会に自信の作成した魔道具を出展する。
その魔道具は、聖女をしていた頃、一番苦労した魔法を魔導具化したものだった。
『強固な結界を創り出す魔法』
聖女になって、結界を一番最初に張らされた頃のことだ。私はかつて、国王の指定した通り壮大な王都全体を覆うような結界を張った。
まだ魔法を使えるようになって間もない年齢。歴代の聖女たちが残してくれていた魔法に関する記録を漁り、なんとか短い期限内に完成させたものだった。
しかしその記録に残されている結界には大きな欠陥があった。
元々魔力の核となるものが存在しない王都には、魔力を供給するための核となるものがない。それ故に、魔力を補充するための核を私自身の魔力とする必要があった。
今迄の聖女たちは、ここまで大きな結界を張る事などなかった。精々が小さな村ひとつ分程度。私はあの時、本当に無理難題を押し付けられたのだ。
だから、かつての聖女たちはそこまで身体的な被害が出ることはなかったのだが、私が作らされたのは王都一つを覆う結界。結界を張った数日後に魔力切れで全身の穴という穴から血が噴き出すという途轍もなく苦しい思いをした上、魔力の大元であった私自身の魔力がなくなった故に、貼られていた結界がなくなったと、国王からも父親からも散々怒鳴られた。
そこからまさに血の滲むような努力と、様々な代償を支払って、私は最小限の魔力で最高強度の結界を創り出す魔法式を創り出した。
原理としては、魔力を留めておくための魔力の結晶を王都の何か所かに配置することによって、王都の結界を維持してきたのだ。……そこに定期的に私が魔力を補充しなければ、結界を維持できないという欠点は残っていたが。
そうしたこともあり、私は『魔力を一か所に留める』魔法と最小限の魔力で、何よりも強固な結界を創り出すことに既に成功していた。
だから今回はその技術を利用し、特殊な結界を創り出せる魔道具を作成したのだ。




