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【完結済み】妹が私の婚約者も立場も欲しいらしいので、全てあげようと思います  作者: 皇 翼
第三章:ポッシェ村

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49.魔力欠乏症①

「そういえば、私と戦っていた方の男はどうしたの?」

「ああ。ハルトリッヒのことか。彼は……まだ目覚めていない。魔力欠乏状態に陥っているらしい」


危険人物の動向を聞こうとしたら、予想外の返答が返って来た。

魔力欠乏症。それは魔法を使う者が魔力を使いすぎて、身体の中の魔力タンクが空っぽになってしまった時に陥る症状。魔力を持つ幼い子供などが、幼少期に陥りやすい症状だ。

私も昔は、強制的に魔法を行使させられていたこともあり、この症状によくなっていた。

通常であれば、薄めたエーテルを数日に渡って飲ませ続ければ治療できる。エーテル――あのまっずい液体だ。飲めば、自身の体内の魔力と同化し、自分の魔力に変換されて変質する。しかも飲んだ時のあのエーテルが馴染むために身体の中で暴れ続けるというのたうち回りたくなるような苦しみと言ったら……。

とにかく、あれを飲めば魔力補充なんてすぐなのだ。


しかし、あの男――ハルトリッヒにそれは出来なかったのだろう。

戦ってみて分かった事だが、彼はあの左目の刻印によって、強制的に物理攻撃も魔法攻撃も弾くシールドを貼り続けている。あの時、色んな攻撃を試してみたが、少しでも魔力が籠っているものは全て弾くようだ。

もしかしたら、自分で解除することは出来ないのかもしれない。文字通り、解除されるのは彼の魔力が完全に尽きた時……即ち、死んだ時だろう。


だから魔力の塊であるエーテルは当然の如く、《《弾かれてしまって》》飲めない。見た感じ、身体もかなりヒョロヒョロなタイプだった。筋力を魔力で補っているタイプの戦闘スタイルだと今なら言い切れる。きっと、食べられるものも制限されているに違いない。


悲しいかな、最強だと思われた男の弱点が、その強力な能力そのものになってしまっているというわけだ。


「放っておいたらそのまま死ぬと思うけど……どうする?」

「答えなんてどうせ分かっているくせに。行くわ。案内して」

「仰せのままに、姫」


******


到着したのは、村から随分離れた小さな家屋。

そこに数十人の騎士がいた。サミュエルが話を通してくれたようで、厳重に監視されている体制のようだが、簡単に入ることが出来た。


「これ、本当に生きているの?」

「息はしているよ」


部屋に入ってみると、栄養補給のための管と呼吸をサポートするための機械が繋がれたハルトリッヒがいた。

以前見た時に比べると、痩せこけて、死んでいるのではないのかと疑う程に顔色も悪かった。これはすぐにでも治療に取り掛からなければ、数日持つかすら分からないレベルだろう。

私はそれ以上は何も言葉を発することなく、魔力を流し込むために寝ているハルトリッヒの手を取った。

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