35.サミュエルの告白
「何が戻って来た……よ!!?貴方、自分が何をしたのか分かってる??」
「うん!ソフィアを一生守り続けるっていう誓いを立てた」
「……なんでそんなに元気に返事をするの?分かってる?誓いを破ったら死ぬのよ??」
「当然だろう?僕は、君を守れないくらいだったら死んでもいいとすら思っているよ」
正直、軽薄すぎるのもどうかと思うが、こう重すぎるのもどうかと思う。
というかもうこの人が重いのか軽いのか良くわからなくなってきている。しかし私を害さないという気持ちは本物なのだろうと思った。
それに私もこの男と暫く過ごして、毒されてしまったのかもしれない。
憎めないのだ。どれだけ勝手な振る舞いをされても、本当の意味で私達に害が及ぶことはしてこない。むしろ危険が降りかかりそうになったら、巻き込まれてくれる。大会に出すための魔道具が盗まれた時もそうだった。
クラウスと違って、サミュエルは巻き込まれる必要なんてないのに、結局犯人を取り押さえるところまで協力してくれた。
「……信じてくれた?僕は君を害したりしないって」
「貴方の馬鹿な行動のお陰で」
「ハハッ!馬鹿な行動とやらをした甲斐があった。僕は君のことを愛しているよ、ソフィア」
「急に本気で口説いてくるのやめて。あと手を握らないで」
「赤くなってる。可愛いなぁ」
この男……急に命を賭け始めたと思ったら、もう昔出会った時と同じようなことを言っている。明らかに含まれる言葉の意味は重くなり、中身が入っていると分かるような声音で囁いてくるのだ。こんな重い感情、他人に抱かれたことはない。頬が赤いことを揶揄ってくるこの男が憎らしい。
それに、この人は自分の命を何だと思っているんだ。私は本気で心配したというのに。少しイラッと来てしまった。
でも認めようと思う。私は散々嫌っていたはずの彼に、情が生まれてしまっている。だからこそ、正体がバレたとほぼ確定している時でさえ彼を攻撃しなかったし、消そうともしなかった。
「はぁ……帰る」
「ああ。帰ろうか、今度は一緒に」
サミュエルの手を振り払って帰ろうとした私に反応して、すぐに今度は指を絡めるような手の繋ぎ方をしてくる彼。
その行動に呆れながらも、かなり迷惑を掛けて、今後の命を全て賭けさせるという甚大な被害を出した自覚はあるので、今回だけは許してやろうとそれを素直に受け入れた。
少し歩くと汗ばんできたサミュエルの手に、『この人も緊張なんてするんだ』なんてことをなんとなく考えた朝だった。




