11.再会①
アレと言ったもの、それはテレポーテーションの事だった。
テレポーテーション。別名・瞬間移動。
その性質から専門的な場所では、座標転移などという風に言われることもある。地点Aから地点Bへというように場所から場所へ一瞬で移動することが出来る魔法。それをしたいのであれば、魔道具を使って、してしまえばいい。
正確には魔法式を組んで、魔法を発動した上でテレポーテーションという手も取れるのだが、それにはテレポーテーションの魔法式やら結界の魔法式やらでかなりのコストになってしまう。
例え魔力があり余っているという自覚がある私でも長距離移動では魔力の過多消費で死の淵を彷徨いかねない。だからこそ、予め魔力が籠っているものを媒体として魔道具を創り、コストを抑える。
今からソレを創り出すしかない。何せ人間が使えるテレポーテーションの魔道具などこの世に存在しないのだから。それ故に、前人未到であり、当然店での販売などはされていない代物なのである。
しかし0から生み出すわけではない。そのベースとなるものを既に私は持っている。実は物を別の場所に転移させるという魔道具は既に存在するのだ。
しかし、生物を転移させることはできない。否、正確に言うと生物を転移させようとすれば、その生き物はテレポーテーションの負荷に耐え切れず、ぐちゃぐちゃになって死んでしまう。少し前に、テレポーテーションに失敗した人間について書かれた文献を読んだが、添付されていた写真は、これが元人間だなんて認識できない程に形が歪み、ドロドロになっていた。
こんなことになってしまう何故か。そもそもこのテレポーテーションの原理というのが、空間に裂け目を入れた上でそれを捻じ曲げ、無理矢理別の座標の空間を繋ぎ、移動することができる架空空間を作るというものだからだ。
その架空空間を通して移動するという部分。この転移時の架空空間というものに、魔力を持つ生物は耐えられない。魔力の塊である架空空間に体の中の魔力が引きずられるのだ。
具体的にどうなるかというと、魔力の塊である人間は架空空間で魔力が攪拌され、かつ空間全方位から引っ張られた上に、圧縮される。そして体内の体液という体液が身体の外に出て――。とにかく思い出したくもない程に、気持ちが悪いことになってしまうのだ。
また、今現在の物体のみの最新のテレポーテーションの魔道具ですら、それなりの頻度で一部のものがバラけて、目的座標に届かなかったりすることがある。だからあまり実用的ではない。今現在のテレポーテーションの魔道具はロマン的な魔道具なのである。
とにかく今までのこのテレポーテーションというものには難点が多かった。
しかしこのテレポーテーションの魔道具、要は、引きずられないように対象を守ることができればいいことが既に分かっている。そんな強度の盾や魔法を使える者が今までいなかっただけだ。だが、それにお誂え向きのものも私は持っている。
結界だ。これは、中身のものを魔力や物理攻撃といったものから守る。しかも強度も途轍もなく高い。原理的には問題ないはずだ。
村で実際に実証実験をしようとしたら止められる……ということが何度もあった実験だったので、少しワクワクしていた。




