Cold Steel -4-
集合地点であり、いざという時には泊まる予定にしていた神社まで来ると、前方がかなり騒がしいことに気付いた。どうやら戦闘が行われている。
現場に急行すると、半数近くまで減った仲間達が血みどろになって戦っていた。千代がこちらに気付き、大声で報告してくる。
「すまぬ、送り狼にやられた!敵も味方もここに居る者だけだ。もうすぐカタはつくが…」
切り結ぶ千代の横から、新たな敵が躍り出てきた。
「千代、下がれ!」咄嗟に拳銃を抜き、発砲した。1発は逸れて道端の灯籠に当たり、煙を撒く。
鎧に小さな穴を開け、4発の銃弾が敵を無力化した。千代と斬り合っていた敵は、発砲音に怯んだ隙に千代が斬り捨てていた。
「助かったぞ!よし、皆の者、頭も戻ったことだ。ここで敵を一掃する!」
返り血と泥にまみれた千代が喝を入れる。一同も士気が上がった。
「ところで、もう刀がボロボロでな、よければお主の小刀を貸してはくれぬか?」
千代の申し出にすぐ応え、ナイフを差し出した。
「後で返せ」
「無論だ。砥石を用意しておけ」
千代はニヤリと笑った。
右手に太刀、左手にナイフを持った千代はさながら阿修羅のようだった。
間もなく敵が全滅、という所で山肌を縫って数騎の敵が新たに現れた。どこに隠れていたのか、瞬く間に味方が数人討たれてしまった。かなりの手練れだ。
こちらの分が悪いのは見て取れる。すると千代が叫んだ。
「若造!動ける者と共に先に行け!あの手を使って食い止める」
「莫迦なことを言うな!」
この場所には敵を迎え討つには大袈裟すぎる、崖を崩落させて道を塞ぐ罠が仕掛けられている。仕掛けは簡単に作動するものの、当然ながら道が塞がれてしまえば合流はかなり困難になる。
「既に命じてある、早う行け!」
「千代、退け!」
「退かぬ!ここで退けば皆が危うくなる。先に行って待っておれ!」
ガラガラと音を立てて斜面が崩れ、土煙の向こうに千代の姿が消えた。
崩壊した道を背に、ほぼ無傷の敵を前にした千代が名乗りを上げた。
「やあやあ、我こそは武蔵が森守の末裔にして鼎源氏が一の家臣、羽村鈴千代!腕に覚えのある者はとく参れ、刀の錆にしてくれよう!」
敵を睨みつけた千代は、かつて見せたことのない獰猛な笑みを浮かべた。




