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のりにのってみた

『恋する乙女に口づけを~ドキドキ☆スクールライフ!!~』通称『恋おつ』


これは十代女子を中心に社会現象にもなった恋愛シュミレーションゲーム。所謂、乙女ゲームである。


舞台は良家の子息令嬢を集めた私立高校。其処に特待生として入学した一般庶民のヒロインと金持ちイケメン達をメインとした青春ラブストーリー。


テンプレである。


攻略対象のキャラクターは、俺様、鬼畜眼鏡、無口、金髪チャラ男、腹黒弟系、猫好き不良、異国からきた王子様、エトセトラエトセトラ。


よくあるキャラクター。

これまたテンプレである。


このように選り取りみどりなイケメン達を侍らす主人公には恋のライバルが存在する。

俺様の婚約者、鬼畜眼鏡の幼なじみ、無口の妹、金髪チャラ男の従兄弟、腹黒弟系の姉、猫好き不良の義理の母、異国からきた王子様の正室候補。


こりゃまたテンプレである。


え?こんな長々しい話を何故俺がしたかって??


それは俺が、主人公の恋のライバル。俺様の婚約者『西園寺│美鶴みつる』そのものだからだよ。言わせんな、気色悪い。



☆★☆


「ついにこのひがきてしまったか…」


フリルにリボン、レースで飾られた少女趣味全開の子供部屋。ピンクの天蓋が吊るされたベッドの上でゴロゴロと暴れる俺はついに決心した。




俺には前世の記憶がある。



「中二病乙」だとか「頭大丈夫?」だとか色々言いたいことはあるかもしれないが実際あるんだからしょうがない。


気づいたのは三歳のとき。庭にあるブランコから転げ落ち、地面に頭を強く打ち付けてしまったのが原因だ。むしろそれがなかったら『恋おつ』と同じ未来を歩んでいたのだからよかったのだと思う。頭ぶつけて良かった。


前世の俺は優しさと穏やかさが取り柄のごくごく普通の男子高校生、西野 みつるだった。平凡な容姿、平凡な成績の男子高校生だった。

唯一の趣味はゲームで格ゲー、育ゲー、音ゲーと様々なジャンルのゲームを好んだ。同じくゲーム好きの妹に薦められプレイした『恋おつ』のキャラクターやストーリーはよく知っていた。個別ルートは

もちろん、ハーレムルート、友情ルート、バットエンドルート、隠しルート…全部攻略済みなのだ。


そして今世の俺、『西園寺 美鶴みつる』は『恋おつ』のメイン攻略キャラである『東條 紅葉もみじ』の婚約者でありヒロイン『乙女川 桃華』のライバルだ。


長く腰まで伸ばされた烏の濡れ羽のような黒髪のサイドを所謂姫カット。小さな顔のなかにバランスよく配置された、紅く大きな瞳は美しく、淡い桜色の唇はぽってりと愛らしい。そしてスタイルも日本人離れした均衡の取れた完璧さ。

美しいキャラクターデザインが魅力の一つであった『恋おつ』の中でもダントツの美少女なのだ。


※ただし、性格は下衆の極み。


紅葉もみじに愛されるヒロインに嫉妬し、ありとあらゆる虐めを繰り返す諸悪の権化。

それが今世の俺なのだ。





ノック音が三回。



「おはようございます、美鶴みつるお嬢様。さぁ、お着替えをいたしましょう。」


西園寺家の俺付きのメイドをしている遥が可愛らしい笑顔で俺を起こしにやってきたのだ。

遥は『恋おつ』の世界でも美鶴みつるに付き従うメイドであった。ただし、今とは比べ物にならないほど酷い性格だった美鶴みつるに怯えている設定だったが。

前世の記憶を手に入れてからの俺は、『恋おつ』のストーリーを辿らないよう、心優しい穏やかな子供であるようにしている。出来るだけ前世の俺のままでいるのだ。そのかいあってか、美鶴みつると遥は実の姉妹のように仲が良い。


「おはようはるか、きょうもおねがいね?」


俺も遥に笑顔を返すと彼女は頬を赤らめてはい、と小さく呟いた。嗚呼、可愛い。


遥に手伝ってもらいながら身につけたのは今日から六年間着用する制服。

白地に黒のラインが走る清楚なセーラーワンピースに、

これまた清楚な白のハイソックスが目に眩しい。


私立天照学園初等科。


今日から俺こと『西園寺 美鶴みつる』が大学まで通う超有名金持ち学校の初等科だ。

とはいっても『恋おつ』のストーリー通りにいくと高校一年生の冬に主人公を苛めた首謀者の一人として退学処分を受けてしまうのだが。退学となった、その後の『西園寺 美鶴みつる』は学園退学と『東條 紅葉もみじ』との婚約解消、実家には見に覚えのない汚職の罪を着せられ、多くの借金を背負った後に風俗嬢に身を落とすのだ。それだけは避けたい。


それに、俺にはこの学園での目標があるのだ。






それは…



ヒロインにことごとく敗れてしまう悪女ライバル達を俺のハーレム要員とすること!!!



なのである!えっへん!!


みつるから美鶴へ変更しました


他にもいくつか変更箇所あります

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