43日目 陽菜…お世話になります
2月12日、日曜日…桐屋家には青空が広がっている…
主にガレージ。
昨日発生した桐屋家ガレージ爆発事故。当事故により我が家のガレージは地球より先に吹き飛び隣接する壁や天井の一部が消失した。
青空ホームです。
ついでにお隣の松浦さん家の被害は我が家の家屋より甚大で半壊した。幸い怪我人は居なかったけど帰宅した時に家が半分消えてた松浦夫人の顔は見ものだったよ。
…ギャグ小説だから愉快な感じで語ってるけど洒落にならない。
「はい、はい…弁償します、はい」
「信じられないんですけど!?!?」
今最寄りのホテルで弁護士を交えて松浦夫人とお母さんが首脳会談。家の修繕は全額我が桐屋家が請け負うことになった。
当たり前。
松浦一家の泊まるホテルから脱出した桐屋ご一行。流石に母も参ってるのかいつもより化粧ノリが悪い…
「おかあさん、おうち、いつなおるの?」
「……さぁ、いつかしらねぇ…」
「……お母さん、昨日も言ったけど、ごめんなさいってカンパルノ妹が謝ってたよ」
「あなたが謝りなさい?(怒)」
流石に今回ばかりはこの桐屋蘭子も反省しました。火を使う時次からは人気のない山林でやります……
「まぁ……あなたやこーちゃんに怪我がなくて良かったわ。あなたのお友達にもね…本当にそれだけが救いよ」
まさにその通りである。
爆心地に居た私や孫、カンパルノ妹は吹き飛ばされたが無傷。3人とも超合金で出来てるんですか?って警察に言われました。
…さて。
「……で、家だけどさ」
「うちもそうだけどまず松浦さん家を直さなくっちゃ……家の修理はその後ね…そうね、弁護士さんの話では1,000万円はかかるだろうって…」
「いっせんまん……(汗)」
「こーちゃん、おかねたくさんもってるよ」
こーちゃんの全財産、お子様銀行発行の万札では役に立たない。
しかも松浦夫人はホテル代まで出せというのだ。
それに我が家の修繕もある。
桐屋家にかつてない危機が迫っていた。
「流石に参ったわ……あの人に頼ろうかしら……でも……」
「あの人?」
「お父さん」
お父さん……?それって段田呂巣輝幸のこと?
「おとうさん!」
「だめっ!!」
「……蘭子?」
私の大声に驚いたおじいちゃんがコケた。腰を打ったらしく「あああっ!!」って悲鳴をあげてる。これ以上賠償請求されたら桐屋家は崩壊するぞ。
「こーちゃん行くんだ!」
「いたいのいたいのとんでけー」
「ほっほっ、こりゃありがと。おかげで痛いの飛んでったわい」
おじいちゃんの腰は無事らしい。
お母さんは取り乱した私を見つめてる。そんなお母さんに私は気持ちを吐露する。
「お父さんは私達を捨てたんだよ…?それも、こーちゃんが産まれたばっかりだっていうのに…っ!」
「蘭子……」
「いくらお母さんがペチャパイだからって……っ!!」
「おい」
「そんなお父さんに頼るくらいなら……私が払うっ!」
お母さんは「は?」みたいな顔をして私を見た。こいつは何を言ってるんだ?社会に出たこともないガキがナマ言ってんじゃねーよ、って顔で……
「そんなに言わなくてもいいじゃんっ!!」
「まだ何も言ってないけど……」
「大丈夫……私が何とかするから…元はと言えば私の友達の牡蠣が原因だし……」
「いや原因はあなたよ?」
「おねえちゃんかっこいい」
「あてがあるんだ……大金を稼ぐあてが」
「蘭子」
お母さんが突然私に抱きついてきた。悲鳴をあげようかと思ったけど実の母故見逃してやることにする。
セクハラに甘んじる私にお母さんは耳元でASMRする。
「大丈夫よ。お母さんが何とかするから…蘭子は心配しないで、受験勉強でもしてなさい」
「お母さん……」
「いいわね?」
その一言が蘭子に決意を固めさせたのだ。
「……お母さん、とりあえず300万あるからこれ使って」
「そんな大金どうしたの!?」
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他人の家ぶっ壊しといてホテルに泊まってる場合じゃねーけど我が家も住める状態じゃねーんです。
じゃあどーすんのか……
「陽菜……来ちゃった」
「……え?なんで?」
友達に頼るよね。
寝食を共にしても苦にならない友…それは美堂陽菜。桐屋一家、美堂家にお邪魔します。
困惑する陽菜にリビングまで通してもらって、一家三人、美堂家の一同と介する。
「おねえちゃん、せまいね」
「マンションだからね。でも大丈夫。陽菜の部屋が空いてるからね」
「空いてない…」
「……えっと…初めまして(汗)」
「お久しぶりです奥さん。桐屋蘭子の母です」
「おとうとです」
「……初めまして(汗)」
「旦那様はどちらに?」
「ゴルフに……」
「あらあらまぁ……うふふ」
「え?……なんですか?」
「別に……」
「……(汗)」
陽菜のお母さん。会うのは2年ぶりくらい。確か陽菜と映画観に行った時車出してくれたっけな。陽菜のお母さんと言うだけあってシートベルトがおっぱいに食い込んでたのを覚えてる。
あと目が死んでる。
さて。
「奥さん、今日からお世話になります」
「どういう事でしょうか?」
「実は我が家が吹き飛びまして…」
「ふ、吹き飛んだ…?(汗)」
「なので家が直るまでこちらのご厄介になる事になりました」
陽菜ママが私らの大荷物と交互に顔を見つめる。そして隣の娘を見る。陽菜はこーちゃんを略奪して膝の上に乗せて、髪の毛で遊ばせてた。
「ホテル代がないんです」
「はぁ(汗)」
「お願いします」
「急に言われましても……その…」
「娘さんの了承は頂いてると伺ってます」
陽菜ママが陽菜を腐った目で見るけど陽菜は私知らないとすっとぼけ。でも分かってる。親友が困ってる時この女は見捨てたりしないってことを…
愛してるぜ相棒。
「てなわけでよろしくお願いします」
「お願いしますおばさん」
「よろちく」
「……(汗)」
「……蘭子…」
「あのちなみに」と陽菜ママが切り込んだ。晩御飯の話だろうか?お母さんがすかさず交渉に出る。相手に先んじて切り込む、交渉の基本だ。
「あ、今晩はチキンライスがいいです。息子の好物でして…」
「こーちゃん、ちきんらいす、たべたい」
「……いや(流石蘭子ちゃんのご家族…変な人達…)チキンライスは構わないんですけど」
「え?お母さん…受け入れるの?正気?」
「お家が直るまでどのくらいかかるんですか?」
「……大体3ヶ月くらいですかね?」
一番気になってたところだった。ガレージと隣接する壁と屋根の一部。修繕にかかる時間は3ヶ月…つまり5月中旬くらい。
地球滅亡が4月10日…
桐屋家の家が直らないことが確定した。
「……でもお隣さんの家を直すのが優先になるので下手したら一年以上かかるかもしれませんね」
「「一年!?!?」」
桐屋家が直る前に地球が滅亡するまであと57日…




