第三話 異能解放の儀
二〇二六年五月一五日 全文書き直し
二〇二六年六月一日 大部分文修正
|MPE本部最上階 総督執務室|
「失礼します。第二寮副寮長、カスパルと申します。
バイオニア・ヘルツ総督。新規職員三名の異能解放の儀をお願いできますでしょうか」
「おぉ、カスパルか。第二寮の新入り三名じゃな?」
「はい。ウムヴェルト、ルーク、セレーネの三名をお連れしました。では失礼します」
それだけ言うと、カスパルさんは執務室を出ていく。そして、カスパルさんが出ていったところで、俺はMPE総督にかけよる。
「じいちゃん……」
「ホッホッホッホッ、ここだと総督じゃがな。久しぶりじゃな……、ヴェルト」
俺のじいちゃん、バイオニア・ヘルツ。
代々MPE総督を務めてきたヘルツ家の現総督。
いつぶりに会っただろうか。俺には昔から両親がいなかった。だから家族はじいちゃんだけだ。昔まだ幼いころに田舎でじいちゃんと離れて暮らして、そこからは稀に文通をしていた。
「それにしても……大きくなったのう、もう17か……」
「……じいちゃんが総督なの、本当だったんだな」
「現実味なかったからね……」
ちなみにルークとセレーネはじいちゃんがMPE総督だということを知っている。昔言ったのだが、特に驚かなかった。あまりにも現実味がない上に、そもそもあのころはMPEをよく知らなかった。
「さて……それで、異能解放の儀を、受けに来た、ということでいいか?ヴェルト」
「うん、そうだよ」
やけにあっさりしているが、案外こんなもんだ。そんなに話すこともない。
「カスパルから説明は受けたな。一人ずつワシの前に来い。
異能解放の儀をこれより執り行う。異能は一般的に一人につき一つのみだ」
そして俺、ルーク、セレーネの順番で異能解放の儀を受けた。カスパルさんが言っていた通り、頭に手を置かれ、それで終わった。
「よし。異能解放の儀は完了した。全員才能アリだ」
「えっ、もう……?」
「嘘だろ? 何が変わったのかまっったくわからん!!」
「詳細は……ほれ、これをやる」
そういい、じいちゃんはメモ帳に何かを書くと、メモ帳をちぎり俺たちに三つのメモ帳の切れ端を渡した。
「おぬしらの異能の詳細はここに書いてある。辞令交付式の前にも任務を受けることができる。手ごろな任務をパスカルに頼んで受けさせてもらえ」
「……うん、ありがとうじいちゃん! 」
そう言い俺たちは総督執務室を後にした。
カスパルさんの名前を間違えたことについては触れなかった。
***
|MPE第二寮一階 副寮長室|
「カスパルさん。何か俺達でも受けられる任務ありません?」
「異能を開放したんだ!! 受けてみたいです!!!」
俺たちは第二寮に戻ると、さっそくカスパルさんを訪ね、任務があるかを聞いた。
「やる気あるなぁ……まあ、ならこれでも受けておいて。ほら」
そういい、カスパルさんは俺たちに一枚の紙を投げ、それをセレーネがキャッチする。
そこにはランクⅡ災害生物撃破任務、という任務が書かれていた。
「ん、ランクⅡ災害生物撃破任務⋯⋯カスパルさん、ランクⅡって?」
「いい質問だセレーネ君。災害生物にはランクがある。それでは解説していこう」
「まず、災害生物のランクは合計六つある。だが、今知っておいた方がいいのは四つだけだ。先にこの四つを解説する」
そういい、カスパルさんは解説を始める。
「うむ。まずはランクⅠからだ、一番低いランクであり、不定災害級という。
ランクⅠとはランクが一番低いため一番弱いように見えるが、主には情報が少ない災害生物やまだ発見したばかりの災害生物に使われるランクだ。
もちろんほんとに弱かったりすることもあるし、実はめちゃくちゃ強かったりもする。未確認ランクということさ」
「なるほど⋯⋯」
つまりランクⅠだが実際は超高ランクの可能性もあるわけだ(復唱)。気を付けた方がいいだろう。
……ルークがランクⅠの災害生物に突撃して実は高ランクで、となって大ケガをする、という未来が見える。俺は未来視ができるのかもしれない。
「次にランクⅡ。局地災害級だ。ランクⅠではなく、一般的にランクⅡが最弱のランクとして扱われる。
安心しろ、初戦でも中級職員が二名もいれば善戦はできる」
「善戦って、それ大丈夫なんですか⋯⋯?」
「それにルークは下級ですしね」
「煽りか!?」
「落ち着けお前ら。安心しろ、異能さえうまく使えりゃあ下級でも倒せる。まあうまく使えたら下級じゃねえんだけどな。そんなことよりまずは経験、勝っても負けてもいい」
中級職員二名と下級職員一名で受けに行くが、俺たちはまだ異能を使ったことがなく手に入れたばかりだ。負けて当然、善戦できたらそれでよし、ということだ(復唱)。
「とりあえず、負けそうなら逃げればいいんですか?」
「まあ、そういうことにはなるな。解説続けるぞ。
次。ランクⅢ、都市災害級。
ランクⅢは一般的に上級職員複数名、または最上級戦闘員が対処する。強い個体は結構強い。
そしてお前らが知っておいた方がいい最後のランク、ランクⅣ、広域災害級。
ランクⅢもそんなに多くないが、ランクⅣなんて激レア災害だ。会っても嬉しくないがな。ランクⅣは最上級戦闘員、もしくは特級戦闘員が対処する。
特級戦闘員になる条件のひとつ、それがランクⅣの単独撃破だ」
「ランクⅣの単独撃破⋯⋯」
ランクⅣの単独撃破⋯ナサさんもおそらく撃破したということなのだろうが、全く想像ができない。そもそもランクⅣ以上を想像すること知らできない。
「よし、もっとランクはあるがひとまず説明は以上だ。お前らならランクⅡくらいなら倒せるさ。ほら、任務に行ってこい」
「はい、ありがとうございました」
「ほらヴェルト、ルークを引っ張って⋯⋯」
俺たちはカスパルさんに一礼し、任務に向かう。
またフリーズをしていたルークを連れて。
MPEは大規模戦闘時他に戦闘員を傭兵団から雇うこともあります。




