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ぶつだんはワープ穴☆  作者: 有羽妃
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低次の輪

手作りのものが、目に見えて長持ちする、ということはサユリにもわかる。

というか、大量生産された安物など、こちらとしても古くなったら使い捨てるもの、としてしか見ない。

でも、高いものはそれだけ大事にするから長持ちするのだろう、とおもっていた。

大事にさせているのは、払った金額だとばかり、サユリはおもっていたが。

無意識に、その品が持つ波動にふさわしい扱いをさせられていた、ということだろうか。

気づいてないだけで、波動というものを、サユリ自身も感じとっていたというのか?


「わかっている人間は、高くてもいいものを、ちゃんと選ぶ。選ぶためには、豊かであることが必要で、そういうものを愛用することでさらに高次になるっていうな。豊かさの中で循環してるんだが、どこかで無理をしてでもその流れに入らないことには、延々と低次の次元に囚われたままになってしまう。例え安物だろうと大事に、喜ばしく使っていればな、実はその物も自分も波動が上がって、そうすると金はなくても、人から贈られたり、安くいいものが舞い込んだりはしてくる。そういう道もあるけど、どちらが速いかといえば、最初に金を出してしまう方なんだ」


本当に、耳が痛い。

安物だから、大事に使わず、粗雑に扱い、ダメになったら使い捨てる──

低次とやらの輪をぐるぐるとまわりつづけている自分が、目に見えるようだった。

もう、真偽がどうとかいう問題ではない。

意識を変える必要がある、と強くおもう。

サユリには、高価な仏壇をぽんと買うような金も、勇気も、まったくない。

けれど、今持っているものを大事に使うくらいのことはできるはずだ。


「職人の中でも、仏壇を作ってる職人のルーツは、宮大工だっていうから。言ってみれば、神社仏閣を家の中にぽんと置いたようなもんじゃないか。仏壇を買うのに、必要だから、邪魔だけど、仕方なく……なんておもってるのは、本当にもったいない。必要だ、とおもってた人間までは、ちゃんとその有り難みをわかってたんだろうにな。でも、どうして必要なのか、を伝え損ねたんだ」

「あー……」


たしかに、母にはてんで伝わっていない。

祖父には伝わっているのだろうか。

わかっているのなら、どうして母におしえなかったのだろう。



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