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爪痕は世界に刻まれるー熊獣人の生存闘争ー  作者: 北高乃窪地
第1章・冒険の始まり
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10/10

10.休日の一幕


 朝、カーテンの隙間から差し込む眩しさで目を覚ましたぼくは清々しい気持ちで伸びをした。ベッドから降り屈伸なんかもしてみる。


「ああ、早起きって素晴らしい」


今日は鬱屈とした気持ちなど一欠片もなく、体調もいつもより良い感じだ。やっぱり気の持ちようっていうのは体にもすごく影響するんだなぁってことを実感しながら、今日なにをしようかと考えを巡らせる。ぼくがこんなに浮かれているのには理由がある。

 そう、待ちわびた休日なのだ。半分だけど。




「ねぇみんな、今日座学が終わったら一緒に町に行かない?」


 朝ごはんを食べながら、まだ眠そうに目を擦っているカルフに聞いてみる。

 ぼくは今日町を回ってみたいのだ。実をいうと、七日に一度全休の日があって、もう三回過ぎたたんだけど、前二日は訓練で疲れ切り、前回は野外訓練の疲れでこれまた一日寝て過ごしてしまったりとで外に出られなかった。一日の半分だけ休みの日もあるけど、それも勉強の復習をしたりと遅れを取り戻していたら潰れたので、この町に来て結構立つというのに町を全然知らない。だから今日の半休を使って町をみて回りたいのである。


「あ~、そういやアレクって町ほとんど行ったことねぇんだっけか。しゃあねぇな、俺が教えてやるよ」

「へぇ、いいじゃないか。この僕が町の名所をいろいろ案内してあげるよ」

「ぼ、ぼくもお気に入りの場所、教えてあげる、よ?」


 よし!みんなからOKももらえたし、これで憂いなく午前の座学に挑める!



「おはようみんな。今日は応急処置と薬草の知識、そして星の動きについて教えるぞ。治療の基礎に距離や方角を把握する天文学、どちらも必ず役立つ知識だからしっかり覚えるように」


 いつもなら楽しく聞いている座学の時間も、今日ばかりはもどかしい。油断すると話が右から左へ抜けていきそうだ。



まだかな?、、、、、そろそろか?、、、、



時間は?、、、、




=========


 ようやく座学が終わり自由な時間がやってきた。さっそく出かける準備を整えて久しぶりに靴も履く。道場で訓練してる間は履く機会もなかったからなぁ。お金はお父さんが持たせてくれたものをあるけど、それを使わなくても日々の術式紙作りで稼いだ分の中から少しだけ、自分で使えるよう残してもらえている。多くはないけど、一回買い食いできるくらいはあるから十分だ。

 道場の門をぬけ、久しぶりに町中へ。やっぱりこの人の多さには浮き足立つな。訓練の時とか、特に夕ごはんの時はみんなで集まって食べてるけど、この人数が通りを行き来しているのにはまだ慣れてないや。


「よし、最初はどこに行くよ?」

「やはり中心街じゃないかい?様々な店があり歩くだけでも楽しめる」

「えっと、教会の時刻鐘(ときがね)、とかどうかな?」


 みんなが色々案を出してくれて、まずは中心街にいくことに。歩いていくとさらに人が増えていき、屋台や店も色々な種類が並んでいる。


「おっ、串焼き売ってる!アレク串焼き食わないか串焼き!」

「へぇ、確かに美味しそう。じゃあ買ってみようかな」

「うーしじゃあいくぞ!」

「少し落ち着きなよ。アレクに町を紹介するために来てるのに君が満喫してどうする」

「こまけーことはいいんだよ!」


 道中でカルフが見つけた串焼きの屋台で、この町でのはじめての買い物をする。買う前から漂ってくる匂いで絶対美味しいと確信。それにこの屋台は目でも楽しめるようになってて面白い。


「へぇ、術式紙の炎で肉を焼いてるのか。術式紙が使われてるのを見るのは二回目だな」

「おっ、兄ちゃん最近この町に来たのかい?どうだ、便利だし人目を引くだろう。翠気が持たないから最後にちょっと炙るだけだけどな!ワハハ!」


奥に薪で焼くセットもあるけど、店の前、紙の上で拳ほどの炎が現れその上で串焼きを焼く姿は確かに目線が引き寄せられる。気前の良いおっちゃんにお礼を言って串焼きを受け取り、近くのベンチに移動してかぶりついた。


「おっ、美味しいなこれ!」

「う、うん!こっちの皮もおいしいよ!」

「ふむ、中々良いじゃないか」

「あー、もう一本買っときゃよかったな。でも金がな~、、」


 思い思いに味わってお腹を満たし、他にも何軒かの店に寄ったりしてゆっくり次に向かった。お金がないから結局串焼きしか買わなかったけど、服に武器屋に飲食店にと、見て回るだけでも楽しかった。

 そしてたどり着いた目的地は教会の時刻鐘。町の中心にあるこの鐘は普段、朝と昼と夕方の三回鳴り、町で暮らす人たちの基準となっている鐘だそう。ぼくもこの町にきてから、鐘を耳にするのが生活の一部に組み込まれている。


「おお~、、」


 外装は神秘的で、白を基調とした歴史を感じる佇まい。民家が縦に二つは入りそうな大きな教会の上には、立派な塔に収まった巨大な鐘が鎮座している。


「これが普段聞いている鐘の正体かぁ」

「えっと、気になるなら中にも入ってみる?」


 とのことなので、せっかくだからと入ってみることに。重厚な木でできた両開きの扉をくぐると、外見に劣らない、厳かな佇まいが目に飛び込んできた。中は吹き抜けで広い空間が確保され、柱一本一本にいたるまで精密な模様が施されている。天井を見上げると絵画が描かれており、また精緻な燭台があちらこちらに配置されていた。


「おや、いらっしゃい。どうされたのかな?」


 その威容に圧倒されていると、奥から神父様がいらっしゃった。


「えっと、実はぼく、まだ町に来て日が浅くって、それで色々な場所を見て回ってるんです」


「ほうほう、それでこの教会にも。ええ、構いませんよ。最近は来訪者が減ったように感じていたところなので、好きなだけ見ていくといいでしょう」

「ありがとうございます。しかし、人が減っているんですか?町にも異変はなかったしそんなことってあるんでしょうか?」

 「ええ、多少の人の増減なら気にすることはないのですが、近頃どうも東からこられる巡礼者の方々が減っているように感じるのですよ。明確に減っているという訳でもなく考えすぎと言われればそれまでなのですが、今までこの時期に人が減ることなどなかったものですから少々心配になりましてね。おっと、お時間をとって申し訳ない。ぜひゆっくりと見て回ってください」


 東から人がこない。その事にぼくは一瞬で心臓が脈打ったのを感じた。心当たりがあるなんてもんじゃない。なにせぼくの村はこの町を東に行った場所にあるのだから。









「どうしたんだアレク?さっきから上の空だぞ?」


 教会を見学した後に町を歩いてる最中、カルフがそんなことを尋ねてきた。どうやら様子がおかしいのを心配してくれてたようで、ススやリオンも眉を寄せてこちらを見ている。それに慌てて手を振って大丈夫だといいかけたけど、もし事態が深刻ならカルフたちだって無関係じゃない。

 そう思い直し、ここらでぼくの村で起きたことを伝えてみようと口を開けた。


「ううんっ、だいじょう、、いや。やっぱりカルフたちにも言っておこうと思う。ぼくがここでお世話になることになった理由を」

「、、そうか。今まで詳しくは聞かなかったが、神父様のあの話と関係があるんだな?」

「そうなんだ。ぼくはこの町から東に行った小さな村で暮らしてたんだけど、ある日突然魔物に襲われて住めなくなったから移り住んできたんだ」

「魔物!?魔獣じゃなくてか!?」

「東、、じゃああの地域から人がこないのは魔物に脅かされているからか?いや、それなら避難民が大勢来てもおかしくない。道を分断されて動けないのか?」

「えっ、それじゃあこの町にも魔物が来るかも知れないの?」


 これにはカルフたちも顔色を変え焦燥感をあらわにした。無理もないだろう。それだけ魔物というのは恐れられているんだから。あの気味の悪い姿は一生忘れない。


「まず、この話をマワリーさんには伝えてて、マワリーさんは心配するなって言ってた。じきに国が動いてくれるし、この町はそう簡単には落ちないさって」

「まぁ、そうゆうことならいいけどよ。俺今まで魔物が現れたことも国が動いてることも知らなかったぜ。水面下で事態が動いてるのがなんつーか不気味だな」

「でも念の為、後でマワリーさんに聞きに行ってみないかい?あまりコトを大きくしたくないみたいだけど、流石に他人事じゃいられないからね」

「う、うん。ぼくも聞いておきたいな」

「そうだね。じゃあ帰ったらみんなで聞いてみようか」

 

 こんな話を自分でしていてなんだけど、魔物に襲われたなんて話をすぐに信じてくれたのがすごい嬉しい。冗談と思われても仕方ないような話でもこうして親身になって心配してくれてとても心強い。仲間がいると気が楽になるし、一人じゃできないようなこともできそうな気がする。






「あー、そうすると、前に強くなりたいって言ってたし、アレクは将来冒険家にでもなるのか?」

「将来?」


 話が一段落した後、微妙な空気を紛らわせるためかカルフがそんな質問を投じた。それは漠然と強くなりたいと思っていたぼくには寝耳に水で、さっきまでのしんみりも忘れ、素ですっとんきょうな声が出た。


「ああ、この道場は戦闘職に向けた訓練をしてるからね。何か希望はあるのかい?例えば、傭兵なら一攫千金を狙えて高名になるチャンスがある。兵士や騎士なら安定した給金と社会的地位、生活の保証がある。冒険家なら、一番の特徴は移動の自由。前人未到の地に挑んで新たな発見をし、魔物を倒して名を挙げる。発見したもの次第では富も手に入るよ」

「俺は冒険家になるね!誰も行ったことがない場所ってワクワクしないか!?」

「ぼ、ぼくはカルフが行くなら一緒に冒険に行くよ」


 そうだよな。いつかは自分の行く末を決めなきゃいけないんだよな。そんな当たり前のこともすっかり頭から抜け落ちてた。


「リオンはもう決まってるの?」

「そうだね、僕も冒険家として栄光を掴むか騎士として華々しい功績を残すか、獣人国で腕に磨きをかけるか色々悩んでいるんだよ」

「あはは、なるほど。そうゆうのもあるのか」


 確かにこの国じゃなきゃいけないってことはないもんな。ぼくはまだ獣人国に行ったこともない。どんなところか気になるな。

 __どんなところか気になる。思えばこの町に来てからも、知らないことの連続ですごく楽しかった。村にいた時には知らなかった思い、もっと色んなことを見て触れて、感じてみたいという思いが確かにぼくの中で芽生えている。それに魔物にはいつかリベンジを果たしたいと思っているけど、町にいたらそんな機会は訪れないんじゃないか?


「世界を旅する冒険家、か」


 この時ぼくの中で、冒険家という職業が明確な形となって居座るようになっていった。


 

========



「ずいぶんと話し込んでしまったね。ここはどこかわかるかい?」

「ああ、もうだいぶ町外れまで来たな。そろそろ戻るか」


 太陽も斜めになってきていい頃合いということで、ぼくらは道場に戻ることに。中心街はとっくに抜けて人通りも少なくなり、どこか寂れた雰囲気のある通りを歩いていた時、その匂いはどこからともなく漂ってきた。


「、、ん?なんか変な匂いしない?」


 薬草のような、でも今まで嗅いだことのない異様な匂い。今日町を回っている時にも一度も嗅がなかった独特な香りが辺りに漂っていた。


「え~と、あの裏路地からだね」

「よく気付いたなアレク。確かによく嗅いだらあるわ」

「僕だって気付いたさ!それにしても、案外エネルギー使うし、色んな匂いが立ち込める町の中じゃ獣人は嗅覚を半分閉じてるというのに、アレクはずっと鼻を効かせているのかい?」

「いやぁ、たまたまだよ」

「ね、ねぇ、でもこの匂いのするとこには近づかないほうがいいよ」


 匂いについて話していると、ススがどこか怯えた様子で忠告する。裏路地を見るその目は嫌悪感すら感じられ、この先にあるものがろくでもないってことがヒシヒシと伝わってきた。


「そうだな。わざわざ不快なもんを見るこたぁねぇ。寄り道せず帰ろうぜ」

「向こうに何があるのか知ってるのかい?」

「、、、。ああ、ゴロツキ共が薬キメてやがんだろ。関わるだけムダだ」


 そう言葉少なに踵を返すカルフの背には多くの思いが渦巻いていて、その言葉には重い実感が籠っていた。ぼくとリオンは何も言えなくなり、もう裏路地に行く気もなくなったので静かにカルフについていく。だけど。



「きゃぁぁあ!!誰かぁぁぁぁあ!!」


 突然聞こえた空気をつんざくような女性の悲鳴。奇しくもそれは、ぼくたちが今の今まで見つめていた裏路地の奥から響いてきた。



「ちぃっ、このタイミングでかよ!」

「カルフっ、四の五の言ってる場合じゃない!すぐ助けに行かないと!」

「アレっ、ああもう、しゃあねぇいくぞ!」


 声を聞いたぼくたちはすぐに走りだし女性の元へと向かう。獣人の感知能力にかかれば迷うなんてことはなく、ひたすら狭い路地を右に左にと曲がっていく。


「あーアレク、これ相手は人間だ。だからやりすぎるなよ?」

「大丈夫だよ、殺さないよう手加減くらいできるって」


 そんな会話を挟みながら、とうとう現場に辿り着いた。そこでは異様な匂いを纏った人間の男が五人いて、その足元には一人の女性が倒れ込んでいる。男達はどこか焦点が合っていないような目とニヤニヤとした笑みを浮かべた顔で、女性に手を伸ばしていた。


「っやめろ!!」


 すぐさま飛び出し男たちを押し退ける。

 「グァァ!?」という悲鳴を上げ壁や床に叩きつけられているが無視。女性の容態を確認する。


「脈は、、ある。息もしてる。殴られたからか意識はないけど、ひとまずは大丈夫そうか」


 座学で応急処置を学んでて助かった。それがないとどうしたらいいかわからなくて右往左往していたところだ。

 女性の安否確認をすませたところで、男たちに向き直る。


「大人が寄ってたかって女性を襲うなんてどうゆう神経してた、ら、、」


 怒りのままに言葉を放とうとしたけど、その言葉は相手に届かなかった。女性の様子を確認してる時に襲ってこなくて静かだったからビビってるのかとも思ったけど、男たちはビビってすらいなかった。


「おーいアルク。もう誰も聞いてないぜ?」

「えぇ、、?人間ってこんなに弱かったっけ?」


 なんと男たちはみんな、ぼくが押し退けた衝撃で伸びていたのである。殺さないような手加減どころか、カルフたちもいるから任せてもいいだろうとホントに軽く押しただけなのに。

 ネッドや村のみんなと遊んでた時、ここまで力を抑えてたっけ?


「まぁおつかれさん。これが人間と獣人の違いってやつだ。アルクの村でのことはしらないが、ここ最近はキロスさんや俺たち、全力でぶつかれる獣人ばっか相手にしてたから加減が分からなかったんだろ」

「そ、そうか。ほんと加減を間違えたら殺しちゃいそうだね」

「この身体能力こそ、人間の国に比べて人口や技術力、経済力が数倍以上劣ってるのに、獣人国が国としてやっていけてる理由さ」


 リオンの説明も、いま目の前で起きたことを考えれば納得しかない。


「まぁ実際は、こんなゴロツキ相手の一方的な展開とは違って、武器や道具を使っての激しい戦いになるだろうけどね。にしても、その、大丈夫かいスス?カルフ?」


 リオンが男たちを一ヵ所に集めながら二人に聞く。二人は顔を見合わせて、平気だと笑みを浮かべて見せた。


「俺は全然。ススは?」

「だ、大丈夫だよ。獣人がいたら別だけど、人間だけなら腕力でどうとでもなるし」

「そうか、ならよかった。じゃあ長居は無用だね。この女性と男達は衛兵に任せよう。僕が読んでくるから少し待っててくれ」










 その後、無事に引き渡しも終わりぼくたちは道場に帰ってきた。なんか今日はトラブル続きで純粋に町を楽しめたのは少しだけだったなぁ。そんなこんなで疲れてたけど、忘れないうちにその足でマワリーさんを訪ねることに。マワリーさんの執務室の前に四人で並び、コンコンとノックをする。


「入っていいぞ」


  留守ではなかったみたいで一安心。扉を開けると、ぼくが初めてここに来た時と同じように、キロスさんは机について変わらない眼光でこちらを見ている。


「どうしたお前ら。何か用か?」

「えっと、今日町の教会で聞いた話なんですけど、、、」


 代表してぼくが今日の出来事を説明する。それを聞いたマワリーさんは一度目を閉じ、悩ましげな表情を浮かべた。


「その事なら俺も聞いた。だがまだ裏付けがとれていないため、確実なことが分かるまでは時間がかかる。他にも調べているが、まずこの町の周囲では魔物の目撃例が一件もなかった。それどころか魔獣の数も例年より減っている。アルクの村が襲われたことで周辺の村も襲われているんじゃないかとも疑った。だが、この町とは反対に魔獣は増えているようだが肝心の魔物は現れていないそうだ。調査隊がまだ帰ってないから、今できること、町にいる村に行ったことのある者の話をまとめただけで情報が古い可能性や誤っている可能性もあるから、これも確実な情報とは言えないがな」


 考えれば考えるほど不思議な状況だった。危機的状況、といいきれる程被害は広がっていないが「何かある」と思わせる不穏さが漂っている。

 あの時現れた魔物。あれはどんな存在だったんだろう。


「今のところは調査隊の報告を待つことと、万一の為に警備を強化するくらいしかやれることがない。原因や魔物を排除しようにも、何のせいなのか、どこにいるのか分からないんじゃ手の出しようがないんだよ」


 そのマワリーさんの結論と説明に、不安やら安堵やらが入り交じったよく分からない思いが胸に飛来する。苦しんでいる人が予想より遥かに少ないことに安堵し、この事態がいつ終わるのか分からない漠然とした不安がぼくを襲う。


「お前らも何かあった時の覚悟だけしておけ。訓練はそろそろ実戦での戦い方を学ぶ頃だろう。二度目の野外訓練もあるはずだ。町の中の方が安全だが、実地で得られる経験は比較にならない。前回と同じ森で、先日から騎士団が警戒のため常駐している。対策も練って危険は限りなく排除するから問題はないはずだ。魔物がいない今のうちに訓練に勤しみ、そして魔物も倒せるくらいの力を身に付けろ」


「わかりました。必ず魔物を倒せる力を身につけます!」


 そうだ、ぼくがやることは変わらない。強くなって魔物を倒す。マワリーさんの言葉に初心を思い出せたぼくが決意をもって返事をすると、不意にマワリーさんが表情を和らげ、ぼくの成長を褒めてくれた。


「アルク、いい顔つきになったな。初めて会った時はまだ親離れもできていない様子だったが、ここでずいぶん揉まれたようだ。男子三日会わざれば、というやつか。お前ならできるさ。ススにカルフにリオン、お前らもしっかり訓練に励めよ」


「はい!」

「了解しました」

「わ、分かりました」



 こうして決意を新たにしたぼくたちは、長い休日になってない休日を終え、これから始まる実戦的な訓練に想いを馳せながらベッドに潜るのだった。

























 ====================================





「隊長、しっかりして下さい。もう王国の領土なんですから」

「分かってるって~。仕事は真面目にやるからさ」

「ほんとですか?このあたりは獣人も多くいるんですから警戒を怠らないようにして下さいよ」

「獣人ね~。そうはいっても所詮(けもの)じゃない?あいつらバカだしさ」

「、、、、、、」

「分かった分かった。ちゃんとやりますよ」




「全ては聖国の未来の為に、ってね」





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