ご、5万越えだと!?
「うふふふ、ルディ〜。 ルディ〜。」
攫われた人たちが檻に閉じ込められていた部屋から来た道をプカプカと浮かび先ほどの分かれ道に戻ってきた。 もうコソコソしなくていいのになんで浮いているかというと、アイリスがくっついて離れないので地面に降りたくとも降りれないのだ。
なんとか説得を試みるも、俺が地面に降りるには一旦アイリスが俺から離れないといけないのでそれがどうにも許容出来ないらしいく、首を縦に振らない。
そこをなんとかと迫ると、ルディは私が邪魔なの? アハハ 私、いらない子なんだと黒いオーラを出し始めたので諦めた。
「多分これから盗賊と戦闘する事になるから絶対離れないでね。 」
アイリスは意地でも離れなそうだが一応言っておく。
「大丈夫、例え体が無くなっても手だけは離さないから。」
‥‥。 予想を軽く超えてきやがった。
アイリス、冗談でもそんなこと言わないでくれ。想像しちゃったじゃないか。
しかし、あれだけ派手に洞窟を壊したのに今の所、盗賊と1人たりとも会ってないというのは奇妙な話だ。奥で待ち構えてでも居るのだろうか?
いつ奇襲が来てもいい様にしておかないとな。
俺は気を引き締めて右の通路に入り進んでいく。
すると、前方にかなり明るい部屋が見えてきた。そしてそこに大きなテーブルや、椅子をバリケードにしてクロスボウを構えた盗賊達がいる。 なるほどかなりの数だ。あの部屋に集まっていたのか。コソコソ隠れられるよりやりやすいな。
「アイリス行くよ。 」
「うん。」
俺はアイリスに声をかけその部屋に向かって歩き出した。
そんな俺たちにあちらも気付いたのか緊張が走る。
「と、止まれ! それ以上動いたらハリネズミにするぞ! 」
1人の男が声を震わせながらもクロスボウを構えて威嚇して来る。
しかし、ただの子供にそこまで怯えるとはどういう事だろうか。普通は油断するものなんだが。
俺はそれを疑問に思い立ち止まる。
「お頭、相手はガキですぜ。 侵入者じゃないんじゃないですかい? 」
威嚇してきた男の隣にいた若い男がそう言った。
そうだよな、普通そう思うよな。だが、そう聞かれたお頭は声を荒らげる。
「バカ言え! ヴィクティムのジャックさんから貰ったこの5万まで魔力を測定できる装置が振り切れてるんだぞ! そんな子供が普通なわけないだろ! 」
円形のコンパスの様なものを取り出してそう言うお頭。 入試の時の攻撃威力測定装置の上位互換の様なものか。
しかし、ヴィクティムはこんな下っ端みたいな連中にそんなのをポンと渡せるほどの組織なのか。だが、唯の人身売買をやっている組織ができる事なのか?
疑問が尽きない。 決めた、あのお頭と数名は生かしてあとは恐怖を味あわせてから殺そう。
そうと決めた俺は再びバリケードの向こう側でクロスボウを構えている盗賊達に向かって歩き始める。
「きたぞ! 野郎共クロスボウ、構え! 」
お頭の合図とともに一斉に俺に向かって構える。
凄い統率力だ。本当にこいつら盗賊か? まるで軍隊の様だ。
「総員撃て! 」
発車の合図と共に矢が放たれる。
全てが俺とアイリスに向かって飛んできているが‥‥。
「な、なに!? 」
「矢の軌道が逸らされていますお頭‥‥。」
俺は全ての矢を重力で操り全て俺とアイリスを避ける様に軌道を変えたのだ。
だがこれで終わりではない。
そらした矢を全て俺の後方に集める。
「僕がもっと威力が出る打ち方を教えてあげますよ。真似できないでしょうが。」
浮かべている矢達に物凄い勢いで回転運動をかけてから、重力をかける事によって加速させ
打ち出した。
ヒュン!
ズドドドド!!
打ち出された矢達は、バリケードを容易く貫き盗賊達の体を勢いよく穿つ。
防具をつけているものもいる様だが、無意味だった様だ。
俺のたった一撃の一斉掃射でお頭と他数名を残して盗賊達は全滅した。
よし尋問するかとお頭に歩み寄ろうとすると突然後方に危険察知が反応する。
俺は急いで俺とアイリスを囲む様に外側に重力をかけ、重力バリアと言えるものを展開した。
ズドォォォン!!
どうやら俺たちを攻撃したやつは重力バリアに吹っ飛ばされ壁に勢いよく激突した様だ。
「いきなり攻撃して来るなんて礼儀がなっていないんじゃないのか? 」
俺は崩れた壁の瓦礫の山に向かって問いかける。
すると、瓦礫が勢いよく吹き飛んだ。彼方さんはピンピンしているらしい。
「おいおい、なんてガキだよ。 俺の不意打ちを受けて生きているとはなぁ〜 」
肩を回し首をゴキゴキとしている。なかなか骨のあるやつが出てきた様だ。
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