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召転のルディア  作者: NTIO
壊れゆく日常
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たまたまバイバイまた明日

盗賊から隠れ家を聞き出した俺はルディア教に落ちたであろう皆さんを連れ盗賊の言っていた隠れ家の上空に到着した。

確かに森の中にある崖にポッカリと横穴が空いており、そこには2人見張りらしき人が立っている。

あそこが盗賊の言っていた洞窟なんだろう。


「皆さん、此処が盗賊のアジトの様です。 此処からは危ないので、僕1人で行かせてもらいます。 なに、大丈夫です。 攫われている人たちは無事で救い出して見せますよ。」


「「「はい! 」」」


「坊っちゃまお気をつけ下さい。 このアリア、嫌な予感がします。 」


両手を合わせ不安そうに言ってくる。

アリアがそう言うなら気をつけておこう。


「分かったよ。 じゃあ行ってくる。 」


そう言って俺は地面に降り立った。降り立った俺はまず2人の見張りの首を捻じ切る。

バタバタと2つの死体は倒れ、頭がなくなった首からは血が溢れて血溜まりを作る。


声を出されても困るからな。中にいる盗賊にばれて、捕まっている人に酷いことをされるかも知れない。

さあ、行くとするか。 静かに素早く行こう。

足音でばれても嫌なので、浮かび洞窟の中に入っていく。


洞窟の中は一定間隔に松明が灯されているだけで、薄暗い。

それにジメジメしていて、時々虫がガサガサと天井に這い回っている。

しばらく洞窟を進んでいくと、左右に分かれ道が現れた。


どっちに行こうか。 よし、左にしよう。

根拠はない。ただの直感だ。


俺がプカプカと、道を進んでいると野太い男の怒声が聞こえてきた。


「おら! 大人しくしろ! 」


「いやぁ! 離して! 触らないで! 」


「おいおい、あんまり商品を傷つけるなよ? 値段下がるんだからな。」


「分かってるって、ゲヘヘ 最近ご無沙汰で溜まってるんだ。 タップリと楽しませてもらうぜ。」


ビリビリ!


「嫌ぁぁ!! 」


「おお! こりゃあ美味そうだ。」


これは、不味い! 俺は急いで奥へと進む。すると目に入ったのはこの薄暗い中でも怪しく光を反射し輝く金髪にルビーを埋め込んだ様な綺麗な瞳をした10歳ほどの人形の様な少女にまたがり、股間を大きくした髭ズラの男とそれを興味なさそうに傍観している痩せこけた男だ。


女の子の方は上半身の服が破られている。


今にも、その柔肌に食いつこうとしている髭ズラの男を俺は壁に重力を発生させ叩きつける。


ドカン!


「グハ!? 」


壁に叩きつけられ吐血している髭ズラの男を見て、痩せこけている男が目を見開いて驚いているが俺はそれを素通りして女の子に近づき、抱き上げる。


「怖かったね。 すぐ終わらせるから。 」


目をしっかりと見て、もう安全だという意思を込め見つめる。

すると、女の子は目をウルウルとさせ始め俺に抱きついて泣き出してしまった。


「うわぁぁぁん!! こわかったよぉ、こわかったよぉ 」


背中をトントンと叩きながら、この部屋と言っていいのだろうか? とにかく此処を見渡す。彼方此方に置かれた牢屋、その中に入れられている女性と子供を見るに此処が捕まえていた人を閉じ込めておく場所らしい。もうコソコソと動く必要は無さそうだな。此処からは大暴れと行こう。


しかし、俺の直感もバカにできないな。 あの分かれ道で右を選んでいたらこの子がどうなっていた事か。


俺が女の子を救えたことに安堵していると、先程吹き飛ばした髭ズラの男が立ち上がった。

顔を真っ赤にさせている。 かなりお怒りの様だ。


「おい、てめぇ! 何しやがる! 」


「溜まっているんですよね。 」


「は? 何言ってやがる。」


俺が唐突に言ったことが分からないのか、怒気が抜け、聞き返してくが俺は構わずに続ける。


「なら、軽くしてあげますよ。 玉ごと。」


俺はそう言ってからさり気なく泣きついている女の子を抱きしめて耳を塞ぎ、男の股間だけ徐々に重力を加えていく。


「な、なんだ! 俺の魔剣がどんどん重くなって行くぞ!? 」


髭ズラの男が自分股間を抑え、悶え始めた。


レヴィあの髭ズラの抑えている奴、お前の親戚か?


(バカ言わないでちょうだい。あんなバターナイフと一緒にしないで。)


レヴィまじ怒りだ。 流石に冗談でも言い過ぎたか。


「いてぇ! 取れる、取れる! 俺の息子よぉぉ!! 」


ブチ


最後にそう叫んだのと同時に息子が親離れをしてしまったからなのか泡を吹いて倒れた。

よほど息子が親離れしたのがショックだった様だ。

まあ、自分の息子に魔剣なんて大層な名前をつけてたんだ。相当な親バカだったんだろう。


俺は泡を吹いて倒れた髭ズラの男から腰が抜けへたり込んでいる痩せこけた男に視線を向ける。すると、痩せこけた男はヒッと悲鳴を上げた。


こいつはどうしようかな? 考えるのがめんどくさくなってきたな。 口と鼻を重力で無理やり閉じて窒息死でいいか。


俺は指を鳴らし、考えた通りに重力を発生させる。

痩せこけた男は暫く悶えてパタリと倒れた。


さて、此処にいる盗賊は片付けたな。他の盗賊を殺す前に捕まっている人を此処から出してやるか。今すぐにでも此処を出たいだろう。


そうと決まれば、俺は片手を上に掲げる。


するとゴゴゴ!! と地響きが鳴り始め天井が次々と崩れ光が差し込む。

そう、俺がこの洞窟の天井を崖ごと崩し、持ち上げているのだ。

青々とした空が視界いっぱいになるまで崖を崩したところで俺は女の子を抱きしめたまま振り返る。


「さあ、皆さん此処を出ましょう! 」


輝く様な笑顔で捕まっている人たちにそう言ったのだった。






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