計画どうり
アリアを連れ外に出ると、昨日とは打って変わって凄い人だ。
もしかしてこの全員がそうだと言うのだろうか?
「あの子が、ゲインコングが言っていたルディア様か? まだ子供じゃないか。 本当に盗賊を退治出来るんだろうな。」
「何でもいいよ。 こちとりゃ、もうかつかつなんだ。 藁にも縋るってやつさね。」
「どうか妻を助けてくれ! 」
疑いの眼差し、希望に縋る様な眼差しetc‥‥
人それぞれの眼差しを向けてくる。 しかし、そのどれにも共通して期待が含まれている。
これは、滑り出し上々だな。
「坊っちゃまこれは一体どういうことでしょう? 皆さま私たちについて来ます。」
ゾロゾロとついてくる住民たちを見てアリアがきみが悪そうにしている。
まあ何も知らないで、こうなればそうなるか。
「ついて来れば分かるよ。 」
「はあ。 」
俺はただそう言って歩き出す。冒険者ギルドについてからの方が説明もしやすいだろう。
俺たちが人をゾロゾロと連れ冒険者ギルドに着くと、そこには建物にも入り切らないほどの人がひしめき合っていた。
かなり多いな。
「おお! ルディア様がおいでになったぞ! 」
「儂等の救世主じゃ! 孫を助けてくだされ! 」
「盗賊共に裁きの鉄槌を! 」
俺を見つけた人たちは次々と歓声を上げていく。俺はそれを手を挙げることによって静まらせる。さあ、始めるとするか。
「初めての人もいるでしょからまず自己紹介を。 僕の名はルディア・ゾディックです。これから僕は盗賊の殲滅、攫われた人の救出を開始します。 いろいろと言いたいことがありますが、それはやる事をやった後に話すとしましょう。さあ、早速行きますよ。」
「早速ってどういう‥‥。」
1人の男の人が疑問に思ったのかそう聞き返してくるが、俺は言葉を遮る様にスキルを発動する。
「【聖具召喚:lv.4 】 」
俺の体を全てを黄金に輝く鉱物で造られた聖具が包む。
ピカピカと輝き、まだ薄暗いエイバの街並みを照らしている。
「行くぞレヴィ。【顕現せよ我が力、世界を恐怖のどん底に叩き込め、魔剣レーヴァテイン】 」
(どうぞ〜)
俺が魔剣召喚をする言葉を唱えると、胸に銀色の魔方陣が浮かび上がりそこから魔剣の柄が出てくる。
それを俺は掴み取り引き抜く。
それを見た人たちは頬をつねっていたり、泣崩れたり、ただ叫びを上げていたりしている。
「はぁ何てことでしょう。あの、魔剣レーヴァテインを屈服させてたとはさすがルディア様。」
「神々しい‥‥。本当にルディア、いやルディア様は神なのか? 」
「ルディア様、世界を照らしてください。」
「神 神ぃぃぃ!! 」
よし、最高の演出が出来たな。 これで幾人かは落ちただろう。
聖具召喚のlv4は本当に神々しいから使えると思ったんだ。
さて、仕上げと行こう。
「地上から行くのでは少々危険ですので、僕が運ばさせてもらいます。」
指をくいっと上げて此処にきている人たちを全員を上空に浮かせる。
進化によって重力操作が完璧になった俺にとってこの程度造作もない。
突然浮かばれた人達は最初は驚き戸惑っていたが徐々にその声は歓声に変わっていく。
「これは神の為せる技じゃ! ルディア様は神なのじゃ! 」
「「「ルディア! ルディア! ルディア! 」」」
全員落ちたな。 ちょろい。
冒険者ギルドに集まった人達がエイバの上空に浮かびながら俺の名前を大声で連呼しているので街並みがにわかに騒がしくなり始めている。
恐らく、今頃空を指差して驚いている人が大勢居ることだろう。
この騒ぎを上手く操ることができれば、エイバはルディア教の信者で埋め尽くされ事になるな。
俺は空に浮かびながら口元に笑みを浮かべる。
俺がエイバの街並みを眺めながらほくそ笑んでいると隣に浮かべているアリアが動揺しながらも聞いてきた。
「ぼ、ぼ、坊っちゃまこれは一体どういう状況でしょうか!? 来てみたらわかると仰いましたよね!? 」
「ん? これはこれから盗賊退治にいく僕を皆さんが応援してくれると言うから、僕もそれに応えるためにね。」
「そ、それにしてもこれは‥‥。」
そう言って浮かべている人達を見て目を回す。どうやら許容量オーバーらしい。
「じゃあ行くとするか。 盗賊狩りだ。」




