ルディアは気づいた
涙を流しながら俺に跪いている人たちを見て顔を引き攣らせていると、はたと気づく。
このルディア教は、俺があのクソ野郎に復讐した時にいい盾になるかもしれないと。
あいつはあれでも勇者として召喚されたんだ。 それを殺したとなれば王国は黙っていないだろう。殺った俺を殺しに来る。まあ来た所で全滅させる自信はあるが、父さん達や学園都市のみんなは別だ。人質として取られると非常に厄介。
そこでルディア教だ。俺を信仰しているならばみんなを任せることもできるだろう。
そして、そのルディア教が大きければ大きいほどその安心性は大きくなる。
フフフ、これは王都まで忙しくなりそうだ。
(悪だわ。 ここに真っ黒な悪がいるわ。)
何を言っているんだよ、レヴィ。
俺は信者達を守り、信者達はみんなの盾となる。
ウィンウィンな関係じゃないか。
(そ、そうね。うん。 )
まずはこのエイバからルディア教を広げていくとしよう。
そうと決まれば‥‥。
「皆さん、明日僕は盗賊を殲滅しに行きます。 そこでどうでしょう、皆さんも来ませんか? 大切な人を殺された人、攫われた人は盗賊共が憎いですよね。 目の前で盗賊共が惨たらしく死ぬのを見たくありませんか? 」
俺が全てを包み込む様な笑みを浮かべそう問いかけると、跪いていた人達は困惑顔になる。
「そ、それはそうですがルディア様の邪魔をしてしまうのでは無いでしょうか? 」
ああ、そういう事か。でも俺の計画にはこの行為が重要なんだ。
来てもらわないと困る。
「そんな事はありません。 何ならこのエイバに住んでいる人達を守りながらでも殲滅する事は可能です。 傷1つつけない事を保証しましょう。」
「「「おお! 」」」
「そういう事なら、俺知り合いに声かけてみます! 」
「私も! 」
「俺も! 」
よし上々だ。 派手な演出もしないとな。
「では明日の明朝また冒険者ギルドに来ます。その時に僕と一緒に来る人は来て下さい。
皆さんの望んでいるものをお見せしましょう。 受付嬢のお姉さん、盗賊の情報を貰えますか? 」
下を俯いてポロポロと涙を流している受付嬢の女の子の肩に手を置き、そう問いかける。
「ひっく、盗賊達は、このエイバ近郊にのみ頻繁に現れている事からそれほど遠くない位置にかなり大きな隠れ家があると思われます。何処にあるかまでは‥‥。」
つまり全くわからないという事か。 まあ、盗賊達に聞き出せばいいだろう。 聞く相手は余りあるほどいるみたいだしな。
「ありがとう。 とても為になりました。 では皆さん僕はそろそろ帰るとします。 また、明日の明朝に‥‥。」
俺はそう言って冒険者ギルドを後にする。
後ろから、早くみんなに呼びかけないと、と聞こえてくる。
そうそう、どんどん呼んでくれ。 その全てをルディア教信者にして見せよう。
フハハハハ!!
(もうあなた、魔王できるんじゃないかしら。 )
レヴィが何かを言っているが俺は無視して、どんな演出をしようか考えるのだった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「坊っちゃま、こんな朝早くにどちらに行かれるのですか? 」
朝早く起きた俺は同室のアリアにばれない様にそーっと部屋を出ようとしたがいつの間に起きていたのかばれてしまった。俺は頭を掻きながら振り返る。
「ちょっと、トイレに。」
「嘘ですね。」
即答かよ。 これはバレていると言っていいのか?
「盗賊退治に行くおつもりですね。 」
「‥‥はい。」
「私も連れてって下さい。」
はぁ、そう言うと思ったからこっそりと出ようと思ったのに。
俺は真剣な顔を作る。
「ダメだ。 アリアに残酷な光景を見せたくない。」
「嫌です。坊っちゃま昨日何でも言う事聞くと仰いました。坊っちゃまは約束を破りませんよね。」
いい笑顔で昨日言った何でも言う事を聞くというのを持ち出してきた。
う、迂闊に何でも言う事を聞くなんて言わなきゃ良かったな。
でも約束破るわけにはいかない。
「ぐぬぬぬ、分かったよ。 でも気分悪くなっても知らないからね。」
「はい、大丈夫です。 私は坊っちゃまさえいればどんな事でも幸せになりますから。」
俺が許可した事が嬉しいのか、満面の笑みだ。
「じゃあ行くよ。冒険者ギルドで待たせている人たちがいるからね。」
「お供します。」
俺はアリアを連れ、冒険者ギルドに向かう。
感想、評価お願いします。




