二次試験終了
「なんて強さなの。閃光のシュバルツと言えば元Sランク冒険者じゃない。それを無傷で‥‥。」
ルディとシュバルツの応酬がブレて見えるのがやっとだった。
剣聖の職業を持つ私が‥‥こんなことはお爺ちゃん以外で初めてだ。
それにルディはきっと余力を残している。
まだ私の心理眼じゃスキルの詳細は見えないけどそのくらい分かるわ。
ここまで差があるの? 生まれ持った才能でここまで‥‥。
ダメよ、才能せいにしちゃ。 ルディも才能の甘んじているはずがない。
そうじゃなきゃここまで使いこなせることなんて出来ないもの。
ルディ待ってなさい、いつか私もその高みに行くわ。
そして、あなたを超える!
「おい剣聖、なんだあの化け物は。 お前の知り合いか? 」
私がスキルを解いたルディを見て、心に決意を刻み込んでいると後ろから話しかけられる。
この声は‥‥。
「今日知り合ったわ。珍しいわね、轟魔が人に興味を示すなんて。 」
この轟魔が自分以外に興味が湧くなんて今日は槍でも降るのかしら。
「はぁ? あれ見せられて興味示さねぇ奴がいるのか? 」
「それもそうね、ルディとは今日知り合ったわ。会場を壊した後にね。」
それを聞いてはぁ〜、と溜息をつく。
「あの化け物は、一々会場を壊さないと気が済まないのか。 此処も既に半分消し飛んでんぞ。 」
たしかに、と辺りを見渡す。
壁はもう意味を無くしているし、地面に至っては無事なところを探すのが難しい。
「それより試験官は如何するのかしら? ルディが倒しちゃったけど。 」
「それなら大丈夫じゃねえか? さっきお前がボーッとしてる時に、1人呼びに行ってたし。」
「なら安心ね、しばらく待つとしましょうか。」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
勝利が決まって俺はスキルを全て解く。
今回の戦いでかなり問題点が見つかった、これだけでもかなりの収穫だ。
よしよしと頷いて受験者達の所に戻る。
倒れているシュバルツさんは、他の試験官の人が回収していたので大丈夫だろう。
でも、シュバルツさん倒しちゃったけど二次試験どうなるんだろうなと考えていると、エルザちゃん達が駆け寄ってきた。
「ルディ! 凄かったよ! 」
「ありがとう。 エルザちゃんも頑張ってね。 」
「倒すことはできないけど、出来るだけやってみるよ。」
「当たり前です。 試験官は、そんなホイホイ倒せるものじゃありません。」
「ああ、それなんだけど。これどうなるのかな? 」
「これとは? 」
「これからの試験どうなるのかってこと。」
「それなら大丈夫ですよ。 さっき人を呼びに行ってましたから。」
それを聞いてホッと胸をなでおろす。
カッとなってやってしまったが、もし代わりがいなかったらどうしようかと思ってたところだ。
俺がホッと胸を撫で下ろしていると壊れた壁から白ひげを蓄えた爺さんが入ってきた。
なんだあの人と、思っていると重圧を感じる程の殺気が放たれる。
俺は咄嗟に観測眼を発動して構えた。
(やめなさい、今のあなたでは敵わない。それに本当に殺す気はないわ。)
マジか、そんなに強いのかあの爺さん。
俺はレヴィの言葉に驚きながらも構えを解き周りを見渡す。
俺は動けたが大半生徒が失神若しくは、意識を保てているが立ち上がれないでいる。
良くても立っているのがチラホラとだ。
何者だ? と思っていると唐突に殺気を解き、口を開いた。
「立っているものはSクラス。 意識を保っているものはAクラス。 お? ものともしないで動いとるものもおるわい。 こやつをSクラスにするのは、ちとSクラスの子達が可哀想じゃ。そうじゃの〜Zクラスを新設するとしよう。」
そうまくしたてるように一気に言う。
「お主、名は? 」
俺を指差して聞いてきたので答える。
「ルディア・ゾディックです。」
「じゃあお主、Zクラスな。 ほらすぐ決まったじゃろ、一々面倒くさい試験なんてしないでこれで決めればいいのじゃよ。」
振り返り後ろに向かって声を上げる爺さん。
「はぁはぁ。 そういう訳には、いかないのですよ、学園長。 今回は特例ですが。」
するとシュバルツさんが引き連れてきたうちの1人が息を切らせ壊れた壁から入ってきた。
あの爺さん学園長なのかどうりで‥‥。
「はぁ〜面倒くさいのう。理事会のクソジジ共め、毎回毎回ネチネチと邪魔してきおって。老害が! 」
「理事会の方々より理事長の方がお年を召されてると思いますが。」
「何言っとる。 わしは永遠の16じゃよ。 昨日も風にめくれたスカートに心を躍らせたものじゃ。」
ただのエロジジイじゃねえかよ。
「まあいい。 それよりほれ、合格者を確認しに行ってこい。 気絶しているのが目を覚ましてしまったらどうする。バッシングされたら責任なすりつけるからの。」
「はぁ〜、分かりました。」
そう言って会場に残っていた他の試験官と意識を保っているかどうかを確認していく。
その間俺は動いてはいけないらしい。不正防止だそうだ。
出来てもしないし、する意味もない。
エルザちゃんとフランは意識を何とか保っているようだし、クロエは立っている。
みんな合格したようだ。
しばらくしてようやく確認が終わる。
「学園長確認終わりました。 Zクラス1名、Sクラス23名、Aクラス76名です。」
「ほぉ〜、今年は豊作じゃの。」
「ええ。 しかし本当にZクラスを新設するので? 」
「お主、ドラゴンとトカゲを同じ分類にするのか? 残酷じゃの。」
「いいえそうではなく、理事会への説明はという事でして。」
理事会という言葉を聞いて眉間に血管を浮かび上がらせる爺さん。
理事会が本当に嫌いらしい。
「わしから老害どもには説明するから安心せい。 いざとなれば実力行使じゃ。」
「そ、そうですか。」
「では合格者は、5日後制服を受け取りに来るように。解散! 」
そう言って去っていく爺さん。
それに続く試験官達。嵐のような人だ。
俺はただ呆然と出て行った爺さん達を見送る事しかできなかったのだった。
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