二次試験
「これより二次試験を開始する。 二次試験の試験官を担当する、シュバルツ・ミストだ。
二次試験の内容だが私と一対一で戦ってもらう。 勿論、勝てとは言わない。 この試験で見る所は格上に対して如何に自分の力を工夫し挑むかだ。 試合の順番は一次試験1位の受験生から行う。なにか質問のあるものは? 」
5人の試験官を引き連れてきたシュバルツさんはそう言った。
ふむ、つまり戦って勝てばいいんだな。
でもそれじゃあ順位が下がれば下がるほど有利じゃないか?
俺がそう思っていると同じ結論に達したのか1人の受験生が手を挙げる。
「質問いいか? 」
「なんだね? 」
「それは一次試験の順位が高いほど不利ではないか? 」
それを聞いたシュバルツさんはニヤリと笑う。
「安心したまえ、私は君たち程度に消耗などしない。よって1位も150位も変わらない。」
次の瞬間、受験者の内の何人からか殺気がブワッと吹き出す。
俺もその中の1人だ。
隣のクロエも口元を歪ませて殺気を出している。
つまりこの人は俺が弱いと言いたいと、フフフ‥‥。
いいだろう! 戦争だ!
「おお、すごい殺気だ。特に君、私じゃなかったらショック死してるんじゃないかな? 」
だが数々の殺気を物ともせず俺を指差してきた。
口だけじゃないようだ。
「そうですか、じゃあ始めましょうよ。ちょうど僕が1位ですし。」
俺はシュバルツさんのところに進みでる。
他の生徒たちが俺を見て、あいつが測定不能かとか少しでも体力削ってくれないかなとか言っているがその期待には沿わない。
俺が此処で倒すからな。
「成る程、君が‥‥。 いいだろう、他に質問もないみたいだしな。 勝利条件は寸止めか、気絶せることだ。 準備はいいのかな? 魔剣を召喚してもいいんだよ? 」
とことん俺を舐めているようだ。その余裕、後悔させてやる。
「お言葉に甘えて。 いくぞレヴィ。」
(ええ、私も舐められたままじゃ魔剣の名が廃るわ。 殺るわよ。)
「分かってるよ。 【顕現せよ我が力、世界を恐怖のどん底に叩き込め、魔剣のレーヴァテイン】! 」
俺が魔剣召喚をする言葉を唱えると、胸に銀色の魔方陣が浮かび上がりそこから魔剣の柄が出てくる。
それを俺は掴み取り引き抜く。
「【観測眼】 【身体強化】 【聖具召喚lv.4】 」
目が金色に変わり、体がキラキラと輝いて最後に全て黄金に輝く鉱物で造られた聖具を纏う。
纏った聖具はピカピカと輝いている。もう眩しいくらいに。
はじめてlv.4で召喚したが、もしかしてlvごとに聖具は変わるのだろうか?
今の俺は黄金に輝き、これまた金色のオーラを出す聖具を纏い手に怪しい紫色のオーラを出す魔剣を持っているなんともアンバランスな姿になっているだろう。
もう最近ではこれはこれでかっこいいのでは? と思い始めた。
俺は、はじめて召喚した聖具の調子を確かめるように爪先でコツンと地面を叩くとドゴォォォォン!! と大きく陥没してしまった。
性能も桁が違うようだ。
レヴィと同じく舐められて結構腹が立っていた俺は、聖具召喚を11000程魔力を込めて発動したのだ。
俺がお言葉に甘えてスキルを全て発動し、全力全開になったところでシュバルツさんに目を向ける。
少し冷や汗をかいているようだ。
俺を舐めるからそういうことになる。ざまあみろ。
「魔剣とその聖具を召喚する能力は聞いていたが、魔眼もとは。それに聖具は色も形状も違う。それが君の本気か? 」
「さあどうでしょう。まだまだかも知れませんよ? 」
「流石に馬鹿正直に言ってはくれないか。 これは私も本気を出さなければな。【身体強化】 【武闘気】 【韋駄天】 」
シュバルツさんの体から白いオーラが吹き出し脚が赤く光っている。
武闘気は分からないが韋駄天は移動速度が上がるスキルだろう、名前的に。
「合図、頼むぞ。」
シュバルツさんが引き連れてきた1人の男の人にそう言った。
「はい、それでは二次試験開始! 」
開始の合図と同時にシュバルツさんが消え、ただ俺にまっすぐ伸びる赤い予測線だけが見えた。
その予測線を屈んで避ける。するとシュバルツさんの元いた場所がズゥゥゥン!!と凹む。
俺が開始と同時に重力をかけたのだ。どうやら重力をかける僅かな間に攻撃されたらしい。
しかしなんて早さだ。観測眼がなかったら攻撃を受けていたかも知れない。
俺は振り向いて、剣を振り抜いた姿勢をしていたシュバルツさんに話しかける。
「早いですね、避けられて尚且つ攻撃までされるとは。 」
「君こそ私の一撃を初見で避けるとはな。 これでも、閃光のシュバルツと呼ばれているのだが、自信がなくなるよ。」
剣を振り抜いた体勢を解き、こちらに剣を構えて言う。
また突っ込んでくるようだ。
しかし困った、俺はまだ重量操作が完璧ではない。 普通の相手なら何にも問題はないが、これ程まで速く動く相手には重力による直接攻撃はきついだろう。それなら‥‥。
「そうはさせませんよ。 【グラビティソード】 」
魔剣を振った方向に超重力を掛けるグラビティソードならいける。
グラビティソードを発動した俺は、シュバルツさんにむけズドン!と踏み込む。
魔剣を振り下ろすが既にそこにいない。
ただ地面をえぐり土煙を上げるだけだ。
俺は後ろに回り込んでいる赤い予測線を見て、危険を感じ独楽のように回り魔剣を振う。
だがまたいない。飛んで避けたようだ。
俺の攻撃は遠くの壁を破壊するだけに終わる。完全に翻弄されているな。
スピードが違いすぎるのだろう。
俺がそう考えていると、トンとシュバルツさんが着地した。
「なんて破壊力だ。 一振り一振りが一撃必殺、この会場も壊す気か? 」
「避けなきゃいいんですよ、避けなきゃ。 」
この人本当に強い。 これまで格下ばかり相手にしていて苦戦したことがないんだ。
ここで、存分に楽しませてもらおう。
俺は話している隙に遠くで見ている受験者、試験官達ギリギリの範囲で潰れてしまわない程度の重力を込める。
ズゥゥゥン!! ベキベキ
どこからどこまで能力が発動しているのかわかるほど、地面が陥没した。
シュバルツさんは勢いよく両手両足を地面につく。
上手くいったようだ。
「シュバルツさんの強みはスピード。それを封じられて何ができますかね? 」
俺は顔に凶悪な笑みが、浮かぶのがわかる。
が、シュバルツさんは脚を震えさせながらも立ち上がり剣を構える。
「まだまだこの程度な、ら君と同じくらいのスピードだ。 大人を舐めるんじゃない。」
凄いな、これなら全力の6割くらいの重力までなら体は持つんじゃないか?
もっと上げるか?
‥‥いやこのままでいい、シュバルツさんの話が本当なら重力で勝負をつけるのは面白くない。
このままでいこう。
「行きますよ。 」
そう言って地面を踏み砕いて背後に回り込み、なぎ払いをしたが背中に剣を持ってきてキン!と防がれてしまった。
どうやら本当に俺と同じくらいのスピードらしい。
「面白い! 」
振り向きざまに剣を振ってくるのを受け止め後ろに流そうとするがそう簡単にはいかないらしい。
流す前に剣を引かれてしまった。
流そうと斜めに構えている体勢から流れるように回転して腹を横に切り裂く。
だがまた受け止められる。グラビティソードを受けて、折れてない骨の方が少ないはずなのになぜ受け止められるんだ。
受け止められた魔剣を引き、顔、腹、足に三連突きを繰り出す。
それをシュバルツさんは顔を横にそらしてかわし、腹と足は持っている剣で弾く。
「グッ! 」
今ので腕も折れたはずだ。ボキ!と感触が伝わってきた。
剣を取り落とさまいと腕に意識が向いたところで俺はスキルを発動させる。
「【体術:翠月 】! 」
高速の足払いを避けられず受けたシュバルツさんは宙に舞う。
これならいける。
「【剣術:山崩し】」
目にも止まらないスピードで魔剣を振り下ろすが、シュバルツさんは空中で体を捻り直撃を避ける。
だが避けられることは想定済みだ。
俺の狙いはグラビティソードと山崩し、そして聖具で底上げされた身体能力で振り下ろされる魔剣の衝撃波!
ドガァァァァン!!
地面に直撃したその一撃は俺を中心としてまるで隕石が激突したような衝撃波を生む。
シュバルツさんは俺の狙いに気づいたのか、腕をクロスして防御するも会場の壁を破り外まで吹っ飛ばされた。 外で倒れ気絶しているようだ。
いつまでもたっても来ない試合終了の合図に俺は、試験開始の合図を出した試験官に目を向けて促す。
「‥‥しょ、勝者ルディア・ゾディック。」
こうして俺はシュバルツさんに勝利した。
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