‥‥確定だ。
「おい、あいつ剣聖じゃないか? 」
「可愛いな。」
「ああ、萌える。」
俺とクロエが一緒にA会場に向かっていると周りの受験生達がこちらを見てヒソヒソ話してる。
最後のやつは、将来危ないだろう。
要チェックだ。
最初のうちはクロエのことを見ていたが次第に一緒に歩いていた俺に視線が集まる。
「おい、なんだあいつ誰だ。 」
「クロエ様と一緒に歩くとは‥‥。シメるか? 」
1人の男の子が俺を指差し、危ない目で物騒なことを言ってくる。
しかし、別の受験生がその男の子の腕をはたき落とした。
「何すんだよ! モゴモゴ 」
「バカ! あいつを刺激するな! あいつはルディア・ゾディックだぞ! 」
腕を叩き落とされた男の子は激昂するが、別の受験生は必至の形相で口を押さえつける。
「俺はあいつと一緒の会場だったから見てたんだ! たった一回の攻撃で地面には大穴が開き、その余波で会場までぶっ壊れちまったことを! 」
どうやら別の受験者は俺たちと同じ会場だったらしい。
そう言い切った別の受験者は男の子の口から手を離す。
「死にたかったら別だけど他所でやってくれ。巻き添えで死にたくない。 」
「あ、あいつがルディア・ゾディック‥‥。 危なかったぜ、シメるどころかシメ返されるとこだった。 ありがとう助かった。」
「危ない時は助け合う。 当たり前だろ? 」
別の受験者は男の子に向けサムズアップする。
「ああそうだな。 俺と同じやつが出ないように広めてくるぜ! 」
そう言ってガシッと固く握手をする。
それを見た俺は、何俺をだしにして友情芽生えさせてんだと、怒りを芽生えさせたのだった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
A会場にたどり着いた俺たちは、C会場よりいくらか大きいドアを開き中の入る。A会場の中にはまだ人は少なく20人いればいいほうだろう。
俺は既に入っていた一次試験突破者に視線を巡らせる。
そして探していた人影を見つけた。エルザちゃんだ。エルザちゃんは見知らぬ女の子と話している。友達ができたようだ。
「クロエ、知り合いを見つけたから行ってくる。 お前も来るか? 」
「その知り合いって、さっき言ってたエルザって子でしょ。 行くわよ。 」
闘志をみなぎらせ、拳をバキバキと鳴らしてそんなことを言うクロエ。
戦闘でもするつもりなのだろうか?
「おいクロエ、戦闘するわけじゃないんだ。 その闘志戻せよ。」
「切った張ったの戦闘はしないわよ。 これは女の戦い、男の出る幕はないわ。口出ししないで。」
バックにゴゴゴと文字を浮かび上がらせ、目の光を消し、そう言ってくる。
もう確定だ。 女という生物にはこの恐ろしい能力が生まれつき備わっている!
俺が今まで見ないようにしてきた真実に俺は目を向ける決心をした。
「‥‥はい。 」
「よろしい。 じゃあそのエルザって子のところに行くわよ。 」
「わかった、俺についてきてよ。」
俺はそうクロエに言って、さっき見えたエルザちゃんのところに歩いて行く。
「え〜! うそ! 本当にその人、裸でニワトリの真似してたの!? 」
俺たちがエルザちゃんと見知らぬ女の子がいるところに近ずいていくとそうエルザちゃんが驚愕の声を上げたところだった。
え!? 何それ物凄い気になるんですけど‥‥。
俺は裸でニワトリ、と心の中で連呼しながらエルザちゃんの肩を叩き話しかける。
「エルザちゃん。」
「え、何ですか、ってルディ!? 」
後ろから肩を叩いたので最初は気づかなかったが振り向いて気づいたようだ。
「エルザちゃんも一次試験、通過したんだよね。 おめでとう。 」
「ありがとう! ルディも一次試験突破おめでとう! でもどうやって測定不能なんて数値出したの? もしかしてあのスゴイ音? 」
エルザちゃんと話していた女の子がえ!? この人がルディア・ゾディック!? と驚いているが後でいいだろう。
今はエルザちゃんの質問に答える。
「それは‥‥ 」
「会場ごとぶっ壊したのよ。」
エルザちゃんの質問に答えようしたがクロエに割り込まれてしまった。
それを見たエルザちゃんは目を鋭くする。
「あなたは? 」
「クロエ・アークライトよ。 あなたの事はルディから聞いわ、エルザ・ワーライト。」
「そうなんですかクロエ・アークライトさん。 剣聖さんがどうしてルディと知り合いなのか知りたいけどルディって少し気安すぎない? 今日初めて会ったんでしょ? 」
「何でも私と親しくなりたいからルディと呼んでですって。だから呼ばせてもらってるわ。
ルディってね。」
勝ち誇った顔で言ったクロエから顔をこちらに向けたエルザちゃんは、俺に視線で人を殺せるのではないかというほどの視線を向けてきた。
やめて! 私のために争わないで! っと冗談はさておき、会って早々こんなに喧嘩腰とは犬と猿もビックリの犬猿の仲だ。
「ルディそれは本当? 」
「本当だよ、友達としてが抜けてるけど。」
俺の補足を聞いたエルザちゃんは再びクロエに顔を戻す。
「クロエ・アークライト、 故意に言葉を改ざんするなんて感心しないわ。 将来が楽しみね。」
「それは褒め言葉かしら? エルザ・ワーライト。 」
どうしてさっきから必ずフルネームを呼び合ってるんですか?お兄さんとても気になります。
「そう聞こえたらそうなんじゃない? クロエ・アークライト。」
至近距離でにらみ合っているエルザちゃんとクロエはお互いに微動だにしない。
俺がそれをもうどうにでもなれ、と眺めているとエルザちゃんと話していた子が2人を避け俺に話しかけてきた。
「大変ですね。 私、フラン・レーベルシュタインって言います。 エルザとは一次試験の時に仲良くなりました。」
「もう最近慣れてきたよ。僕はルディア・ゾディック、エルザちゃんとは学園都市に来る間に知り合ったかな。」
今初めてしっかりとこの子を見たが、ピンク色の髪を肩まで伸ばしピンク色の目をしている。
こっちの世界には地球ではあり得ない髪の色をした人が普通にいるがピンクとは‥‥。
初めて見た。
「私もルディって呼んでいいですか? 私のことはフランでいいんで。 」
「いいよ、フラン。フランも敬語やめていいよ? 疲れるでしょ。」
「有難うございます。 ですが、これが地なんですよ。それよりルディ、会場壊したって本当ですか? 」
「そうだね、全力で攻撃したら余波で全て壊れちゃったよ。 」
「そ、そうですか。 とんでもない威力ですね。 」
質問の答えを聞いたフランはそう言って顎に手を当てブツブツと呟き始めた。
おれも聞きたいことがあったので、神妙な顔を作りフランに質問する。
さっきから気になっていたのだそんな顔にもなる。
「フラン、僕も聞いていい? 」
フランは顎に手を当てたまま、なんですか? と答える。
「さっきの裸でニワトリの真似をしていた人の話聞かせて欲しいんだけど、いいかな? 」
「ップ、神妙な顔で何を言うかと思ったら、そんなことですか。構えた私がバカでした。
あれは1ヶ月前‥‥」
何気に今初めて笑った気がする。笑ったら可愛いなと思いながら気になってた話を二次試験の試験官が来るまで聞くのだった。
‥‥エルザちゃんとクロエはそれまでずっと同じ姿勢をキープしていた。
感想、評価お願いします




