黎明の胎動
5年後
太陽はまだ東の地平線から完全に目覚めてはいなかったが、うっすらとした朝焼けの光が、ベルダンティア大陸の空を包む夜の帳を静かに削り取り始めていた。
レグタはゆっくりと目を開けた。大きくあくびをし、一晩中眠って凝り固まった身体の筋肉を伸ばす。裸足の足が、孤児院の寄宿舎の冷たい床板を踏み締めた。その寄宿舎は簡素な造りで、並んだ二段ベッドが男子エリアと女子エリアを区切っている。部屋を出る前に、レグタは上のベッドを覗き込んだ。そこでは、幼い頃から彼をからかうのが趣味の金髪の少年・ディルンが、だらしのない体勢でまだ静かにいびきをかいていた。
レグタは薄く笑みを浮かべ、足音を忍ばせて部屋を抜け出した。回廊を通り過ぎる時、彼の耳がかすかな水の音と、厨房の方から聞こえる調理器具の触れ合う音を捉えた。好奇心に駆られて足を向ける。開いた扉の隙間から覗くと、ラナ先生とマリ先生が、湯気を立ち昇らせる巨大な銅鍋の前で忙しそうに動いていた。孤児院という大所帯の分量を賄うため、毎朝の朝食作りは(育ての親)たちにとって、まさにそれ自体が一つの戦場だった。
「お前は本当にユニークね、レグタ。太陽が頭の上に昇るまで朝寝坊することもあれば、こんなに早起きすることもあるなんて」
マリ先生は振り返ることもなく、そう口にした。彼女の鋭い感覚は、入り口に立つ者の気配を瞬時に察知していたのだ。
「おはようございます、マリ先生、ラナ先生」
レグタは気まずそうに笑いながら、完全に厨房の中へと足を踏み入れた。「何か手伝えることはありますか?」
ラナ先生は温かく微笑み、レグタの頭を優しく撫でた。「気持ちだけで十分よ、レグタ。お前は今日、アルニカの『ロイヤル・アカデミー』での初日のために準備をしなければならないでしょう? 早く準備をしなさい。もうすぐクララがみんなを起こす時間よ」
「あ、そうだった……」
レグタは少しきょとんとした後、慌てて自分の部屋へと引き返した。
五年の歳月は、スヌル村のいたずらっ子だった少年を、引き締まった体躯を持つ十六歳の逞しい若者へと成長させていた。しかし、彼の最大の特徴である、いたずらっぽく輝く青い瞳と、まるで朝日の光をそのまま浴びたかのような鮮やかな金髪は、あの頃と全く変わっていなかった。
今日という日は、レグタの人生において非常に重要な節目だった。彼はついに、プラディプタ王国の全土から集まった選りすぐりの若者たちが、本物の高位騎士や魔導師になるための訓練を受ける場所——王都の最高学府『ロイヤル・アカデミー』への入学を許可されたのだ。
「おい、バカレグタ! 早くしろ! 馬車がもう村の境界まで来てるぞ!」
ディルンの大声が寄宿舎の廊下に響き渡った。彼はすでにアカデミーの真新しい制服に身を包んでいた。濃紺の生地に金色の刺繍が施されたその制服は、彼の金髪と実に見事に調和していた。
「うるさいな、ディルン! 今行くよ!」
レグタは制服の襟を整えながら、急いで部屋から飛び出した。背中には、必要な魔導書やいくつかの私物を詰め込んだ革のバッグを背負っている。
孤児院のホールの前では、クララが静かに立って彼らを待っていた。彼女もまた、見違えるほど美しい少女へと成長していた。かつての短い髪は今や肩まで美しく伸び、その制服姿は洗練された淑女の雰囲気を醸し出している。
「二人とも、初日から遅刻するつもりですか?」
クララは呆れたように息を吐きながらも、その目には幼馴染の二人に対する深い誇りと喜びが滲んでいた。
「クララ、レグタのやつが部屋の中でグズグズしてたんだぜ!」
ディルンはすぐに罪をなすりつけた。
「おい! 誰がグズグズしてたって?!」
レグタは反論しようと拳を握りしめた。
「そこまでにしなさい、二人とも」
ホールの奥から、アリス先生の穏やかで威厳のある声が響いた。彼女の手には、丁寧に包まれた長方形の荷物と、小さな一通の手紙が握られていた。
三人の若者はすぐに口を閉じ、自分たちを育ててくれた最長老の(育ての親)に向かって深く一礼した。
「レグタ、お前にこれを持たせておきます」
アリス先生は長方形の荷物をレグタに手渡した。「これはお前の父親が残した、古い訓練用の鉄剣です。ロイヤル・アカデミーでの過酷な訓練において、きっとお前の助けになるでしょう」
レグタはその剣を受け取った。布の包み越しからでも、長年使い込まれた武器特有のずっしりとした重みと、かすかな魔力の残滓が伝わってきた。彼の胸に、言い知れぬ熱い感情が込み上げる。
「そして、この手紙は王宮のリアナ王女殿下からのものです」
アリス先生は続けて小さな封筒を差し出した。「今朝早く、伝書鳩の知らせが届きました。彼女の直属の精鋭部隊が、大陸外での長期遠征を終え、ちょうど王国へ帰還したとのことです」
レグタは驚きで眉をひそめながら、その二つの品を受け取った。「どうしてさっき、厨房にいた時にくくれなかったのですか? ディルンやクララと一緒に、通学の馬車にまとめて預けられたのに」
アリス先生は謎めいた笑みを浮かべ、金髪の若者の肩を優しく叩いた。「この心地よい晴れ渡った朝に、王都まで少しばかり徒歩の旅をするのも、悪くない冒険だと思わないかい?」
「はぁ……わかりました、わかりました……。それじゃあ、俺は先に出発します、先生!」
レグタは諦めて大きな溜め息をついたが、その顔には抑えきれない高揚の笑みが浮かんでいた。時間を無駄にしないよう、彼は荷物の位置をしっかりと固定すると、すぐさま深く腰を落として素晴らしいスタートダッシュを決めた。彼は村の未舗装の細い道を猛烈な速度で駆け抜け、緑の地平線の彼方へと一瞬にして姿を消した。
アリス先生は村の門の前に静かに佇み、遠ざかり、そしてヴェリダンティアの瑞々しい丘陵の向こうへと小さくなっていくレグタの背中を見つめ続けていた。彼の走る姿を見ていると、アリスの記憶は唐突に十数年前の過去へと引き戻される。この場所でよく転んでは泣いていた、あの小さくて無力だったボーズの姿に。
老いた (預言者)の顔に、深い慈愛に満ちた笑みが刻まれた。
「時の流れというのは、本当に早いものですね……」
彼女は、夜の冷気から完全に朝の温もりへと移り変わった穏やかな風に向かって、ぽつりと静かに呟いた。
第一話:黎明の胎動 ——完——




