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77.軍服のデザイン。

 次は軍服のデザインですよ。

 予め黒で作りたいので、見本の布があれば持ってきて欲しいと言付けていたので、服屋さん、いや、お針子工房さんが布を持ち込んできた。テーブルを運んでもらうと、助手の人達なのかテーブルに布を並べはじめた。


 黒と言ったはずなのにグレーとかもあって、なんで? と思ったが黙っておく。グレーは弾けばいいだけだもんね。

 黒の布が並ぶとエルが正気か? という顔で私を見ていた。正気ですとも!


「リーディア・ブラダエナ・ツィブルカです。今日は布まで持参してくれて面倒をかけましたね」

「いえ、大口の注文をいただけるかも、というお話でしたので当然の事です。ビーラーお針子工房のミルシュカ・ビーラーと申します」


 私のドレスを頼む工房とはまた別のお針子工房らしい。確かにドレスとは違うだろうしね。男性服向けの工房って事かな? よく分からないけど。

 ミルシュカさんは若いと言っていい方だった。店主とは言わなかったから店主ではないのかな? 家族経営か? 髪の色が真っ赤で見るからに勝ち気そうな女性だ。


「すみません」


 テオドルが口を挟んできた。


「店主は?」


 途端にミルシュカさんが唇を噛みしめ、顔を顰めた。ああ……女性が代表で来た事をテオドルは指摘しているのか……女性は家庭を守るのが仕事とかエルが言ってたもんね。


「テオドル、私はやる気があるならミルシュカさんと話がしたいと思います」


 ミルシュカさんが意気込んでいるのは来た時から見えた事だ。キリッとしててきぱきと指示し、言葉遣いも態度もきちんとしている。意欲的に働きたいという思いが見える。

 女性でもやりたい事が出来るようにして欲しいよね!


「失礼致しました」


 テオドルがすっと引いた。もしかしたらテオドルが話をしたのは店主にだったのかもしれないけど、私は女性相手の方が話しし易いかも。


「リーディア様、ありがとうございます」


 ミルシュカさんが丁寧にお辞儀をした。


「私は仕事をきちんとしてくれる方なら誰でも構いません。さあ、早速ですが……」


 私は椅子から立ち上がりテーブルに向かった。座ったままじゃデザイン決められないもーん!

 作れるデザインか、動くのに支障はないか、聞きたい事は沢山あるのだ。


「ちょっと私が描いてみたのを見て欲しいのです」


 ミルシュカさんが並んでいいの? え? って顔をしたけれど離れていちゃ話にならぬ。こっちに来て、とテーブルの側に立ち、ミルシュカさんも並んだ。


「ダナ」


 ダナが私が描いておいたデザインの紙を並べる。失礼します、とミルシュカさんが紙を見ている間私は布を確かめてみた。

 真っ黒でしっかりした生地がいいよね。ぺらぺらなのはダメー。だからといって肌触りがよくなければチクチクしたりするし。

 いいと思ったのは濃いグレーの生地だった。


「この生地を黒に染められますか? これ位に」


 黒は人気がないのか種類が少なかった。グレーの方が多いんだよね。だが私が求めているのは真っ黒だ。


「え? …………はい、それは出来ます」


 周りの視線が本当に黒にするのか!? と言っているが無視。私の独断と偏見で黒は決定なんです! 私が稼いだお金を使うつもりだしいいよね!


「お嬢様、こちらなんですが……」


 ミルシュカさんと細かい話をはじめた。段々とミルシュカさんも遠慮がなくなってきて色々質問してくる。


「襟や袖口には縁取りをして、あ、折り返して、です」

「縁取り………糸を太くしたら生地に針が通りませんが?」

「予め紐状に編んで縫いつける事は出来ませんか?」

「あ、出来そうです」


 高い襟に縁取り。外套の代わりにコートみたいにばさっとした上着。邪魔にならないかな? と思ったけど今だって皆外套を着てたりするんだから大丈夫だろう。

 金モールみたいなので飾って黒一色にはしないで、ボタンも金メッキみたいなのが欲しい。

 腰はベルトで締めて。

 靴も勿論黒で編み上げブーツ、靴は服屋さんに頼むものじゃなかった! と思ったらミルシュカさんが知り合いの靴屋さんに頼んでくれるとの事。


 見本を作るのに護衛騎士一人の採寸を別室でしてもらい、もし騎士達の分を注文する事になったら一人一人採寸のオーダーメイドではなく平均的体型であれば同じサイズで何着も作り、サイズが合わない人だけオーダー出来るような感じにしたいとも伝えた。

 オーダーで作ってたら時間がかかりすぎるもんね!


「黒で、と言われた時は驚きましたが……これは……いいかも……」


 ミルシュカさんの頭にはしっかりと出来上がりが想像されているのかもしれない。顔が少し紅潮しているようだ。

 だよね! カッコいいよね! 皆そう思って欲しいよ!


「出来が良ければうちの騎士隊服にしたいと思ってますので頑張ってください」


 だがエルも護衛騎士達も皆微妙……と言わんばかりの顔をしている。エルなんて自分黒ばっか着てるくせに微妙な顔っておかしくない!? なんで!?

 私は出来上がりが楽しみすぎる! 揃いの軍服着た護衛騎士に囲まれる私って美味しすぎると思うんだけど!


 ただ、最近固定されている私の護衛騎士達の髪の色がカラフルなんだよね……。緑にオレンジに黄色に赤に青……絵の具か? って感じだよ! 黒の騎士服にカラフル頭って合わなくはないんだろうけど微妙な気がしないでもない……。


 

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