39.お昼ですよー! そして厨房再び!
時間が過ぎるのが早すぎなんですけどー!
あっという間に午前が終わりました。
何故時間が分かるかって、二時間おき位に街中に鐘が鳴り響いてお知らせしてくれるんですよ。
そういえばカレシュの町でも鐘が鳴ってたわ。その鐘も魔法具なんだって! どんな仕組みなんだろうね。
町が出来ると王宮から時計の魔法具が貰えるらしいです。エルに教えてもらいました。
ホント魔法って不思議。
魔法陣の魔法は消えてなくなるのに魔法を付与した魔法具はずっと使えるみたいなのはなんでなんだろうね。エルのズルいバッグとか。私も欲しいよ!
で、お昼です。
また料理と一緒に料理長デニスが来ました。出来上がりが不安だったんだね。気持ちは分かるよ。はい、出されたガーリックトーストとミルクスープをいただきますね。
うん、スープにはちゃんとゴロゴロ野菜だね。お肉は鶏肉を使ったらしい。ジューシーでおいしいね。野菜も彩りが綺麗だし。シチューにしたいところだったけど、小麦粉をバターで炒めて、とか口での説明が難しかったので、さわさわミルクスープです。
ガーリックトーストもちゃんと言った通りに出来ている。
「うん。これもおいしく出来ています」
デニスがほうっと安心した様に息を吐き出した。
「デニスは作ってから味見をしますよね? 自分で食べてみておいしいと感じたら大丈夫だと思いますよ?」
「はい」
デニスがこくりと頷いた。
「午前に頼んでいたお肉を細かくする作業は出来ましたか?」
「はい。まだ館の人数全員分ではないですが」
「とりあえず味見の分があれば大丈夫です。玉ねぎとトマトは?」
「切り終わってます。お嬢様に言われた通り酒や調味料を入れてトマトは火にかけてあります」
「はい、分かりました。ではお茶をいただいてから厨房に行きますね」
「お待ちしております」
デニスが礼をして辞していく。私がデニスと話している間もエルはパクパクと食べ、ガーリックトーストとスープを何度もおかわりしていた。
……食いしん坊すぎないか? 今までおかわりとかしてなかったのに。おいしいもんね! 気持ちは分かるけど。
「いやー……本当に毎回うまい……」
サロンでお茶を飲みながらゆっくりとしているとエルがしみじみと言った。
「どうしようか……他の所にもう行けないかも……」
「ずっといていいよー。まだ全然魔法も教わってないし、エルにはいてもらわないと」
胃袋掴んじゃった?
「午後も楽しみだ」
でしょうね。私もご飯がおいしくなっていくので楽しいです。
サロンで私が休んでいる間にダナがお昼を食べてきて、戻ってくるとまた私に向かって手を組み拝んでくる。
本当になぜ料理を発展させようとしないのか分からないよね。皆が涙ながらにおいしいと言いながら食べるらしいんだけど。味覚があるなら研究すればいいのにね。
あ、料理を広めればツィブルカに人を呼び込む事が出来るかな? でもレシピや調理法が知られる様になったら誰でも作れるようになるだろうから無理か。
ま、いいや。とりあえず私は自分が食べるご飯を美味しくしたいのだ! さ、今日も厨房に行きましょう!
朝に料理長が来た時に、今日の夜の献立予定のハンバーグを作る為に肉を細かくする作業を頼んであるし、トマトソースを作るのも頼んでいたので段取りは昨日よりもいいよね。
あ、唐揚げも食べたいなー。魔物の鶏肉は確かに美味しいし、唐揚げにしたらすごく美味しくなるかも。
油を大量に使うかもだけど……。明日の夜かな。
「テオドル」
「はい、何でございましょうか」
厨房までテオドルが先行して案内してくれているんだけど、テオドル今まであまり姿見てなかったのに私が元日本人の私になってから割とついているんだけど仕事滞らないのかな?
「食材で高いものはなんですか? 砂糖とか塩とか油とか、どうです?」
「特にない、と思いますが……? あの、あまり高価な食材はツィブルカではちょっと……使えないので」
「あら、そうなの?」
ふむ……手頃なお値段で手に入るって事なのか。異世界ものだと砂糖とか塩とか高価だったりするけど。
「塩や砂糖は高めではありますがツィブルカでも手に入りますし」
「え!」
ツィブルカに海あるの!?
「海あるんですかっ?」
海があるなら魚がー食べられるー!
「え? 海?」
テオドルが振り返って首を傾げた。
「ディア、塩は塩の木の実から摂れるし、砂糖は砂糖の木の若い枝を煮詰めれば作れる」
エスコートしてくれていたエルが苦笑しながら教えてくれた。
はあっ!? マジっすか! 何だ? 塩の木って! 砂糖の木って! そんなヘンテコ世界だから料理が発展しないのか!!? あ、いや砂糖はサトウキビとか考えれば木でもおかしくはないのか? でも塩の実はおかしいだろ! 塩の実ってどういう風になってるのよ?
他にもヘンテコ食材あるのかも……。あ、ダイズは? 重要だぞ?
「……ダイズは、畑?」
「はい」
テオドルが頷いたのでほっとした。ダイズ作っている農家さんから詳しく話を聞いた方がいいかもしれない。畑で熟さないと大豆にならないよね? ここで言うダイズって枝豆なんだもん! アレは枝豆で大豆ではない!




