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29.使用人と面談ですよ。

 面談はまずは長のつく役職からいかがでしょう? とテオドルから提案があったのでなるほど、と頷いた。

 ついでに長として下の者の評価もしてもらおうかな。そうしたら役職としての資質も見られるだろうし、下の使用人の人物像も少しは見えるかもしれないからね。

 一石二鳥だね!


「厨房の料理長からでよろしいでしょうか? 早い時間じゃないとお昼の仕込みに影響が出るとの事でしたので」


 うん。ちゃんと意見を言えるのも大事だもんね。


「構いません」


 面談は昨日と同じ会議室みたいな所で、エルが私の横の窓側に立ち、ダナは入り口近くで待機。テオドルは私の助手的立場で私の後ろだ。

 廊下の護衛騎士一人に控えてもらっていた料理長を呼んでもらう。

 ノックの音がしてどうぞと促すとのっそりと体の大きいクマみたいな人が入ってきた。


 ……味気ない料理を作る人!

 まぁ、屋台でも味が足りない位だったのでこの世界のデフォな味なんだろうけど。味は微妙でも見た目はさすがに貴族屋敷の料理って感じで綺麗なんだけど、味がアレなので残念なんだよねぇ。


「料理長のデニスです」

「リーディア・ブラダエナ・ツィブルカです。デニス、座ってちょうだい」


 デニスは不遜という程ではないけれど臆した所もなく堂々とした態度で椅子に座った。

 ……椅子が小さくない? 大丈夫?


「働いていて何か不満や改善して欲しい事、やりたい事何でもよいのですが何かありますか?」

「…………ない、とは言いませんが……お嬢様にお聞きしたい事が……」


 おずおずとデニスが口を開いた。


「何でしょう?」

「あの……食事は、どうでしょう……?」

「……………………どうでしょう、とは?」


 あー……どうしようかな……おいしくない、とか言ったらダメだよねぇ。


「やはりご不満なのですね……」


 がくりとデニスが項垂れた。


「お嬢様においしい、と言っていただける食事をお出ししたいのですが……」


 おや? やる気満々なのかしら?


「以前からよく残されてましたし。帰ってこられてからは食べていただけてはおりますが、テオドルからご様子をお聞きすれば……」


 あー……不満たらたらなのバレてたー……。ごめんなさい。デニスの所為ではないのよ! 日本人の血が悪いんだと思う!

 この体に日本人の血は一滴も流れてないだろうけども!


「デニスは新しい調理法があったとしたらどうします? 拒否しますか? 受け入れられますか?」


 もうこうなったら直接聞いちゃえ!


「新しい調理法……? お嬢様はご存じで?」


 デニスがものすごく不思議そうにして首を傾げている。

 ……すんごい無理あるよね! 分かってる! でも躊躇はしない! 食事の改善は大事だもん!


「新しい調理法というかどうか分かりませんが、誰もがおいしい! と笑顔になれる料理に改良する事は可能かと思います。デニスが受け入れるつもりがあるのならば、ですけど」


 料理もした事のない子供が何を言う! と怒って当然だと思うんだけどデニスは少しの間だけ考えて、そして神妙に頷いた。


「受け入れます。是非」


 嫌々受け入れている様子ではない。料理人なんて頑な考えを持っている者も少なくないだろうにうちの料理長は柔軟に対応出来るらしい。


「では、早速午後からはじめましょう! お昼を終えたら厨房に行きますね」


 他には特に問題はないです、と言うので料理人達の評価を聞いてからデニスには退出してもらった。


「……ディア、料理出来るのか?」

「うーん……さあ?」


 エルが聞いてきたが私にも分からない。元日本人の自分は料理した事はあったのだろうか? 個人的な事覚えていないからなー。でもなんとなく料理の仕方とか包丁の使い方は分かるので料理した事あったのかもね。


「じゃ次!」


 なんかね……テオドルもダナもエルも何も突っ込んでこないんだけど、どう思っているんだろうね?

 まぁ、エルは多分私が子供にしては変って思ってるだけかもしれないけど、テオドルやダナ、この館の人は私が我儘言ったり泣いて叫んで地団駄踏んでってな所をずっと見ていただろうに、未だに誰も突っ込んで来ないんだよね。

 領主の娘だから? どうなんだろね? まあ、私も知らんぷりしてスルーしていこっと。


 じゃないと何も進まなくなるし。とりあえずエルと家令のテオドル、私付きの侍女にしたダナが何も言ってこないならいいかな……。


「次は私兵を纏めているツィブルカの騎士団長です」

「はい」


 テオドルに促されて私は頷いた。


「兵は何人いるのかしら?」


 あ、そういえば門兵ってうちの兵? それとも国? 通行料ぼったくり案件があったよね。


「テオドル、領都門の兵の所属はどこなのかしら? ツィブルカ?」

「いえ、領地門は国の管理です」

「マジかー……」


 あー……うちの私兵じゃなかったらしいけど、兵達もどうにかしなきゃないのー?


「ディア」


 どうするかなー、と思っていたらエルが苦笑を浮かべながら呼びかけてきた。


「兵関係は俺に任せてもらってもいいか?」

「え? いいの? 兵関係は全然分からないから助かるけど」

「テオドルも俺が口出しして問題ないか?」

「将来のリーディア様のご夫君ですのでお好きになさって下さって大丈夫です」


 ……いや、まだその話題引っ張ってたのかい!


 

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